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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(408)授業開始

 授業への同席を求められたダイヤクィーンは何故?と言う気持ちがないわけでもないが、特段否定する事も無いのでパーミアの要望に応えようと回答している。


 授業自体は自分でも可能だが正直あまりにも簡単すぎる内容で実は本気を出せば教官のタッシュでさえも全く理解できない程の知識があるのだが、少し前の個人情報云々を含めて常識をもっと学ぶ必要があると考えている事から授業を進めるのはタッシュであるか確認している。


「はい。私の方で進めさせていただきます。つたない授業ではありますが、是非ともお楽しみいただければと思います!」


「あの・・・割り込んですみません。その授業、俺も参加させて頂いて良いですか?」


 使用限界を加えて劣化させているとは言え過去に類を見ない成果を一部発表する事になるので、問題が起きないか把握しておきたい気持ちから参加を表明するロイ。


「ロイ君が出るのであれば私も聞いてみたいなぁ。私に錬金は出来ないけれど、知識としては是非とも持っておきたいし!」


「あ、じゃあ私も!」


 なし崩し的にミルバ、シェーンも参加する事になっているのだが、三人は錬金に対する技術や経験はない。


 ダイヤジャックはダイヤクィーンがいれば全く問題になる事は無いだろうと思っているし、ダイヤクィーンからの厳しい視線で“お前は来るな”と言われている事を理解したので参加を表明する事は無い。


 まぁお約束だが、こうしてダイヤクィーンはロイと幸せな時間が過ごせると喜んでいる。


 そして当日・・・魔力生成の道具の完成品を手に持って教室に入るタッシュと、後ろから授業を聞くためにロイ、ミルバ、シェーン、1組の担当教官モルダン、最後にダイヤクィーンが入室している。


 ミルバが入ってきた瞬間に立ち上がって文句を言おうとしたゼシューだが、続いてダイヤクィーンが入ってくると途端に大人しくなる。


 再び肥溜めに投げ込まれては目も当てられないと思ったからで、今回に関しては美貌にやられたわけでは無い。


「それでは皆さん。前回のテスト結果を踏まえて基礎を改めて学ぶ必要があるのは御承知の通りです。基礎無くして応用は有り得ませんからね。とは言え教科書通りの授業では面白くない為に身に入らない事も理解しています。そこで今日はこのような道具を準備してみました」


 外観は何となく今迄の魔力保管・供給の道具に似ているのだが、既存の道具に魔力を供給する以上は接続する部分が必要でどうしても外観は似通ってしまうのだが大きく異なるのは・・・接続部は変わらないがその先についている道具が極めて小さい事だ。


 保管・供給の道具であればサイズは各種存在しているが、最小の道具と比較してもかなり小さくなっている。


 ケーブルの先に小さい玉が付いている様な状態になっており、少々アンバランスだ。


「はっ、なんだその道具は?先端だけを見ると既存の各種の道具に接続する様だが、その小さな球から何を供給するのだ?魔力の通りを良くする潤滑剤か?」


 魔力の通りを良くする品は存在しておらず、またそのようなものが必要だと考えられた事も無い為に新たな視点であるその一点をしっかりと褒めるタッシュ。


「非常に面白い着眼点ですね、ゼシュー君。これまでにない発想は新たな道具の練成に無くてはならない貴重な能力になります。基礎は極めて重要ですが、そこをしっかりと押さえておけば皆さんも固定概念にとらわれずに新たな発想で物事を考えて頂ければと思います」


 タッシュが持ち込んだ道具に文句を言ったはずが何故か褒められてしまったゼシューだが、あくまで基礎がしっかりしていることが前提になっているので手放しで喜べない為に続きを促す。


「で?その道具は何なのだ?授業に必要な道具である事は理解しているがな」


「コレは現状大多数の方が非常に困っている状況を改善できる唯一にして絶対の道具です。詳細に関しては非常に難しい理論を理解する必要がありますので省きますが、複数回練成を繰り返す事でこのような状態になります」


 先端の小さい玉は交換用に着脱可能になっているので、外して綺麗な球体を生徒に見せるタッシュ。


 説明の内容は複数練成部分に関して言えば本当だが、理論についてはタッシュですら理解できないのでこのような言い回しをしている。


「それで?肝心の道具の説明はそれで良いのか?本当にお前の説明は理解し辛い」


「ゼシュー王子のご指摘の通りですね。全く進歩の無い教官が偉そうに居続ける事自体が国の損失です!」


 腰巾着筆頭であるボッシュ伯爵子息ボナンが追随しているのだが、正直この二人は改善の見込みがないと判定されているので不条理な攻撃的な言動に関して反応される事は無いままタッシュの話しは続いている。


「皆さんが現状困っている状況とは何でしょうか。ハロン君、答えられますか?」


 ハロンも貴族である事からゼシューの前で明確に反抗するような言葉は出せない可能性が高い事を配慮し、回答可能かを問いかけているタッシュ。


「・・・正直に言いますと、当家でも複数の道具が稼働できない状況になっており困っています。この教室はゼシュー王子のご配慮で今迄通りの環境が維持されていますが、一度廊下に出ると相当暑いですよね?」


 何とか本音を言いたいがゼシューの機嫌を損ねたくない気持ちもあって、無駄に中途半端になっているが言いたい事は伝わっている。


 タッシュも貴族と王族に亀裂を入れる事が目的ではなく、あくまで錬金に対する基礎知識を教える事が目的なのでこれ以上の追求はしない。


「ありがとうございました、ハロン君。この質問はこれ以上続けませんが、かなり高い確率で他の皆さんも同じ事を思っているかと思います」


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