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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆


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(369)祝?

 高速思考を持っているミルバであってもまさか国王がクィーンズに会いたいがために追加の招待状を出したとは理解できない中で、ダイヤジャックの一言で方針は決定する。


「ふははは、ミルバ君!行く必要があるのであれば行けば良いのではないか?何らかの策があったとして、それで何か問題になるのか?」


 王族としての立ち位置は低いままなので、これ以上落ちる事はない上に力強い味方もいると背中を後押しされたミルバは参加を決意する。


「そうだよね。参加しよう。でも貴族の同伴者・・・シェーンさんにお願いする他ないのかな。っと、ロイ君とジャッ君も参加してくれるよね?」


「もちろん!喜んで。前回の食事は美味しかったからね。そこは楽しみだよ!」


「ふはははは、当然だな。同伴者も前回同様にしようと思う。そこにシェーン殿を加える形であれば、一応敵対心は薄まるのではないか?」


 チラッとロイを見るダイヤジャックは、ロイが軽く頷いたので改めて明言する。


「あの三人は間違いなく喜んでパーティーに参加するからな。今から楽しみだ!」


 国王だろうが力のあるゼシューであろうが脅威とは感じないので、主であるロイと友人であるミルバと共にパーティーに参加できることが嬉しいダイヤジャック。


 今回は貴族令嬢と共に行動する必要があるミルバなので同行を申し出てくれていたリンド子爵令嬢シェーンと共に向かう事とし、懸念材料だったパーティー後のリンド子爵家に対する王侯貴族からの圧力に対しては都度対応すれば良いかと思っている。


 クィーンを三人連れて行く以上は視線が間違いなく過去同様にそちらに集中するので、シェーンには申し訳ないがミルバの同行者として意識されない可能性が高いと判断した事もある。


「ありがとう。早速ロイ君とジャッ君を含めた参加の返事を書いておくよ。それと明日、シェーンさんにも同行をお願いするね」


 その後数日は平穏な時間が経過し、王城側では無駄に過剰な装飾を含めたパーティーの準備が行われている。


 本来ボッシュが仕切る予定だったのだが、道具やタッシュの復活に気を良くした国王がクィーンズの参加を耳にしたために権威を見せつけたい思いだけで暴走している。


 配置のバランスも何もあったモノではなく・・・無駄に煌びやかな装飾や調和の取れていない色調の調度品がこれでもかと言わんばかりに巨大なホールに並べられている。


 競りにかけられる品を見る場であれば許容できるレベルの会場が出来上がっており、ボッシュは呆れ顔だが何も言えずに黙っているとゼシューから声をかけられる。


「ボッシュ。お前の目から見てどうだ?正直余としては・・・多分に思う所がある」


「ゼシュー王子。感性は個人の感覚に大きく委ねられますので私の口からは何とも申し上げられません。今回開催の目的はミルバ王子の立ち位置をしっかりと認識させる事です。何故か道具が使用できる環境に戻った事を祝う所が目立っていますが、本来の目的を達成できれば大きな問題ではありません」


「そうだな。それでアイツ(ミルバ)からは参加すると連絡があったのだろう?誰が同伴するのだ?貴族当主限定にしている以上、ハルバン以外に手を上げそうな存在はいないはずだがな?」


「事前調査では不明でしたが、誰が来るにしても泥船に乗る程度の貴族であればゼシュー王子の敵ではありません。そもそもハルバンがいてもゼシュー王子の支持が揺るぎない事は誰の目からも明らかです」


 国王とはパーティー開催の目的意識が大きく異なる二人は、なるべく見苦しい装飾を見たくないので直ぐにこの場を後にしていた。


 その数日後・・・夕方から王城には馬車が列をなしている。


「ようこそお越しくださいました。どうぞ、こちらでございます」


 案内人が各馬車に対して対応しており、続々と貴族達が王城のホールに入場している。


「コレがパーティー・・・か。私にはあまり関係ないがどうやらターゲット(ジャッ君)が来るようなので、情報収集にはもってこいか?」


 黒の存在は酒の力や場の雰囲気によって情報統制が緩む事実を知っており、場合によっては学校では知る事の出来ない新たな情報を直接本人から得られるかもしれないと思っている。


 これだけ王侯貴族が揃って騎士もいるのであれば滅多な事は起きないだろうと言う常識から来ているのだが、この常識がカードの者に通用するのかは別の話しだ。


「ようこそお越しください・・・」


 一際豪華な馬車の対応をしている案内人だが、ミルバ、ロイ、ダイヤジャックに続いてリンド子爵家一家が降りてきた所までは普通に対応できたのだが、続くクィーンズが視界に入ると見惚れてしまい言葉が続かなくなっている。


 同性のシェーンでさえも話すのに緊張していたほどなので、異性であれば猶更だろう。


「フム。予想通り言えば予想通りだが、これであればシェーン殿やリンド子爵ご夫妻の安全も担保出来ると思うぞ?」


「ジャッ君、ありがとう。やっぱりお父さんの事も心配だから・・・正直に言えば覚悟はしているけど、騒動は起きない方が良いからね」


 ダイヤジャックと話しをしているシェーンは、敢えてミルバの近くに行って子爵家の立場を強調する必要は無いと思い半歩引いている。


 本来ミルバは貴族当主であるリンド子爵を伴い入場する様に指示されているのだが、城の関係者は全て揃ってクィーンズに見惚れているので何も指摘はされていない。


 クィーンズ側としてもロイからの指示でリンド子爵に王侯貴族の意識が向かない様に行動してほしいと言われているので、無駄に笑顔を振りまきながら入場する。


 この笑顔にやられているのは国王やゼシューだけではなく、ゼシュー派筆頭のボッシュ伯爵も含まれていた。


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