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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(310)全員の会議④

 タッシュは目的の素材を労せず手に入れる事が出来たので、やはり自分は選ばれた存在なのだと勝手に高揚して研究室に急ぎ戻り始めている。


 赤兜を入手した場所で練成を行う事も出来たのだが、魔力を供給する道具は周囲の警戒の道具を起動する為に使用していたので高度な練成を行うには魔力が不足している。


 魔力供給を周囲の警戒のための道具に使用するのを中止して練成を行う為に自らに供給すれば良いのだが、この場で警戒を解くわけには行かないと思い急いで研究室に戻ってから練成を行う事にしていた。


 陰ながら護衛をしている存在がいるので何も危うい事は無く、当然のように周囲に不穏な気配すら一切無い状態で学校に到着する。


 急いでいたので道具の力を借りていたとしても多少息が上がっているので、ここまでくれば絶対に危険はないと全ての道具の起動を止めてゆっくりと研究室に向かう。


「おぉ、これ程遅くまで活動されているとは、明日の準備ですか?」


「流石はタッシュ先生ですね。私も明日の会議を楽しみにしています。前回は一瞬ですが素晴らしい魔力の可視化でしたので、今回はあの素晴らしい可視化状態を長く見られると確信していますよ?タッシュ先生であれば改善するのも容易でしょうから」


「はははは、当然ですね。この私にかかればあの程度の道具を改善するのにそう時間はかかりませんよ。是非とも明日は楽しみにしていてください。皆さんの期待にしっかりと応えて御覧にいれます」


 夜も遅いが明日以降の授業の準備か今日の課題に関する採点かは不明だが、相当数の教官が未だ学校に残っている状態の為に短い距離ではあるが同じような言葉を多数かけられているタッシュ。


 一息つくために誰もいない研究室に入って椅子に座り、体を解すように伸びをした後に素材の赤兜と持ち運んでいた道具を机の上に置く。


 温かい飲み物を準備して飲みながら、二つの品が混ざり合って完全な道具として起動する様をイメージしている。


 練成にはイメージが大切なのは間違いないのでタッシュが自然に行っているこの行動も正しいと言えるのだが、イメージ通りに事が進むかは練成の難易度に対する術者の力量に委ねられる。


 奇しくもダイヤジャックが想定していた破壊カ所に関してはその一部分を赤兜の素材によって補修できるのだが、それもほんの一部で実際に起動するまでには至らない。


 更に言えば3つのクラスの担当教官夫々が本来の機能とは全く異なる効果を得る為の練成を強引に実施する事で更に内部を破壊しているので、その結果当初の破壊カ所を修復するのも困難な状態になっている。


 ダイヤ部隊であれば難なく・・・それも素材を必要とせずに修復する程の力があるのだが、優秀と言われていても常識の範囲内に収まっているタッシュでは絶対に実行できない。


 世間一般の理から大きく外れている事象など理解できるわけもないタッシュはコップの中の残りを一気に飲み込むと、二つの品を持って普段練成を行っている場所に移動する。


 僅かな不純物も練成に影響を及ぼし研究結果に影響を与えるので、常日頃から綺麗に消毒されている台の上に二つの素材を置く。


「念のため、魔力は想定以上の供給が必要な状況になると考えた方が良いだろうな」


 魔力供給の道具を近くの棚から複数取り出して、一般的な練成では過剰とも言える魔力供給体制を整えたタッシュ。


「改めてイメージは・・・完璧だな。この私にかかればあの落ちこぼれクラスの有象無象が練成した品を修復する等、目を瞑っても可能だ!」


 強気な言葉を吐きながらも緊張しているのか、深く息を吸い込んで吐き出すと魔力供給の道具から過剰な魔力を得た状態で錬金術を発動する。


 破壊済みの道具と赤兜の素材が重なり合って眩い光を発しており、赤兜の素材はタッシュが発動している術によって道具に徐々に吸収されてその姿が消えるが未だに練成は完了していない。


 術者であれば練成が完了しているか否かはすぐに分かるので、イメージを維持しつつ魔力を消費して錬金術を発動し続けているタッシュ。


 魔力の消費が想定よりも多い為に、事前に準備していた過剰とも思われる魔力供給体制でも不足してしまう可能性が出始める。


 中途半端に練成を止めてしまうと再度実行しても目的の練成が行われない可能性がある為に焦り始めるが、研究室にはタッシュ以外の人がいないので棚から魔力供給の道具を渡してくれる存在もいない。


 過去に素材が見かけ上完全に混ざり合ってから練成が完了するまでにこれだけ時間を必要とした経験が無いので、祈る気持ちで練成が終了するのを待っているタッシュ。


 何となく練成が完了したと感じた時と魔力供給が無くなった時と同じタイミングであった為、不安そうに台の上にある道具を眺める汗だくのタッシュ。


「一応・・・成功したのか?」


 タッシュがイメージしているのはこの道具の破壊カ所が修復される事であり、本来は道具の機能のどの部分を修復するのかもう少し具体的にイメージする必要がある。


 更なる改善や構造を把握して自らの功績にするべく事前に解析していたがその一切が不明のままであった為に、具体的なイメージが出来ないまま修復練成作業が行われた結果・・・素材のレベルが高かったからか1組の教官が破壊した部分だけが修復されていた。


 過剰な魔力供給と素材の品質の高さ、そして中途半端なイメージによって練成を実行した奇跡の成果とも言える。


「実際に起動を・・・」


 道具を手に取って動くか否かを確認しようとした所、魔力供給が途切れて自らの魔力をその勢いのまま奪われていたので突然意識が飛んで倒れ込み、目を覚ましたのは全体会議に顔を出さないタッシュを心配して研究室に他の教官が様子を見に来た時だった。


「先生!大丈夫ですか?もう会議は始まっていますので宜しくお願いしますね?」


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