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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
309/315

(308)全員の会議②

 ダイヤジャックから的確な指摘・・・ダイヤジャックが何らかの方法で入手した(・・・・)道具を奪って自らの功績にしようとしている事を正確に言われてしまい、言い返せずに睨み返している。


 この場に教官であるヨーレイがいなければ強引に奪う予定だったのだが、可能かどうかは別にして生徒以外の目がある場所で強行する事は出来ない。


「どうした?そう言えば会議は明日だったな。いやはや、これ程楽しみな会議はないな。自分が聞く限りでは、全ての先生が非常に有能なタッシュとか言う教官の成果を楽しみにしている様だぞ?ふははははは、そもそも起動すらしないゴミを未だ後生大事に保管している所も滑稽だな!」


「何故起動しないと知っている?より一層魔力が必要になっているのか?」


「はぁ。やはり無能の考える事は簡単に把握できてしまうな。あの道具は一度、良くて二度程度の起動にしか耐えられん粗悪品だ。従って返却は不要だぞ?ふはははは」


 衝撃的な事実を告げられてしまったのだが、そこに光明を見出したタッシュ。


「そこまで自信があるのであれば、当然改善した品・・・さっきの品か?一度や二度では壊れないし、起動に必要な魔力も抑えているのだろうな?」


「それをお前が知って何になる?自分は明日の会議が楽しみで仕方がない事は伝えておこう。無能がどのような言い訳をするのか・・・演技でも良いぞ?とにかく自分を楽しませてくれる事を祈っているからな」


「一生徒が会議に参加できるわけがないだろうが!」


 問題はそこではないが余りにもふざけた物言いの為に思わず指摘してしまったタッシュだが、ダイヤジャックは平然としている。


「ふはははは!自分程の実力があれば、どこぞの無能が無様を曝け出すさまをリアルタイムで鑑賞する事は容易い。本来は直接目の前で喜劇を見たい所ではあるが、そこは遠慮しておいてやろう。自分の素晴らしい配慮に感謝するんだな!」


 常に煽っているが・・・これは本心から煽り倒したい気持ちもあるが、タッシュの意識を道具やヨーレイから逸らす事が目的だ。


「お前等・・・底辺が必死に飛び上がっても底辺なんだよ!この私、タッシュ様をここまでコケにしておいてタダで済むと思うなよ?」


 あまりにも過剰に行動しすぎたせいで再びヨーレイが攻撃対象に含まれてしまったと感じたダイヤジャックは、敢えて少し譲歩する姿勢を見せる。


「おぉ、それは恐ろしいな。では一つだけヒントをやろう。この品を練成する為に必要な品の一つは、赤兜の内蔵だ。それも新鮮な状態の・・・な。ついでに最も壊れ易い部分の補修も赤兜の内蔵で修理できる事を公開してやろう」


 譲歩と言ってもやはり上から目線だが、今まで何をどうしても切欠すらつかめなかったタッシュからすれば値千金の情報になる。


 ダイヤジャックの言葉を聞いた直後に走り去り、破壊されていると認識した道具を掴んで一気に学外だけではなく町からも出て行った。


「あ、あの・・・ジャッ君?その情報は本当ですか?」


「ふはははは、大丈夫だヨーレイ先生。偽の情報を渡すほど落ちぶれてはおらん」


「そ、そうですか。でも、それはそれで問題ですよね?」


「む?何故だ?自分は正直に素材の一部を教えたし、故障し易い箇所の補修に必要な素材である事も事実だぞ?素材が有ってもあの無能教官では練成できるわけはないが、そこはどうあっても覆せないので仕方がないだろう?」


 これこそがロイが恐れているカード基準の常識になるのだが、ダイヤジャックが平然と口に出した素材の赤兜とは相当危険な魔獣であり、更に言えば見つける事も極めて難しい部類に入る。


 故に一般的な素材入手を行う際に外敵となり得る赤兜対策として過剰な準備をしなくて済んでいるとも言えるのだが、仮に討伐する場合には一般的に言えばこの国ではあまりいなくなっている実力のある経験豊かな冒険者が多数のメンバーでパーティーを組んだ上にそれなりの武器を含む討伐に必要な道具を準備し、それでも尚危険と言える存在だ。


 その常識が全くないダイヤジャックなので、ヨーレイの指摘を受けても不思議そうな顔をしている。


「ジ、ジャッ君?そこでは無くて・・・赤兜と言えば相当危険な相手ですよ?それに探そうと思っても見つかる様な相手ではないので、そ、その素材を入手するのは不可能ですね」


「・・・・・・」


 自らの収納魔法だけではなく他のカードの面々の収納魔法の中にも山ほどあるとは言えなくなってしまったダイヤジャックだが、最大の目的であるタッシュの攻撃からヨーレイを保護する事は達成できたので一応カードのダイヤキングに報告だけして気持ちを切り替える。


「そ、そのようだな?よくわからんが明日が楽しみなのは変わらない。では、自分はこれで失礼する!ヨーレイ先生も明日に備えて十分休息をとってもらいたい。素晴らしい席で喜劇が見られるからな。意外と笑う事にも体力がいるのだぞ?」


 こうしてダイヤジャックは悠々とヨーレイの私室から離れて行くのだが、報告を受けたダイヤキングからスペードキングに情報が渡り、危険度や希少性を含めた上で報告を受けたロイは頭を抱えている。


「って事は、タッシュ先生は明日には戻れない可能性が高いのかな?」


「恐らく・・・いいえ、間違いなく戻れないでしょう。その理由は赤兜を見つける事が出来ないか反撃されて致命傷を負うかですが、明日の会議に間に合わないと言う結論は変わりません」


「いやいや、それはまずいよ!前半はかろうじて許せるけどさ?素材採取の為に動いて返り討ちなんて絶対にダメでしょ?」


 生命に直結する常識はまだ一般水準を保っているロイなのでこの報告を受けたおかげで最悪の事態にならずに済んだタッシュだが、だからと言って教官会議を無事に乗り越えられる状態になったかと言えば否だ。


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