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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
307/313

(306)祝杯

「ミルバ君!やったね。間違いなく高速思考が発動していたよ!」


「ミ、ミルバ君!おめでとうございます。私もロイ君と同じ考えです。それに結果も満点ですから、これは高速思考がなければなし得ないことです!ほ、本当におめでとうございます。今までの努力が・・・努力が・・・」


 なぜかヨーレイが泣き始めてしまい、生徒のことを必死に考えてくれていたと理解したロイは心底尊敬の眼差しを向けていた。


「ふははははは、ミルバ君の今までの努力をもってすれば至極当然の結果と言えるな。今後は更にヨーレイ先生から魔力に関して知識を得て実践し、より高みを目指すが良いだろう!」


「皆・・・先生、本当にありがとう!私がここまで来られたのは、折れずにできたのは皆のおかげであることは間違いない!感謝してもしきれない!」


「ほ、本当に・・・嬉しい・です!今まで必死に努力していたのを知っていますから!そうだ!今日の授業は終わりにして、ミルバ君の能力発現をお祝いしませんか?」


「ふはははは。大賛成だぞ、ヨーレイ先生。実に柔軟な対応で私も見習うべきことが沢山ある!魔力の可視化から能力発動の関係まで、素晴らしい考察の時点で感激していたが他の部分も相当だ!」


 ロイが尊敬している眼差しを向けていたのは知っている上、正直自らも相当な知識を貰っていると理解している以上は本心から褒め称えている。


「ジ、ジャッ君から言われると恐縮しちゃいます。あれ程の道具を難なく出せる人って、自分の事をちゃんと理解していますか?」


「む?それは確かにそうかもしれないが、分野が異なれば優秀と言われる成果も異なるのではないか?ヨーレイ先生は自分が全く持っていない知識をお持ちなのは間違いない。故に私が尊敬しても全くおかしなことではないぞ?」


 教師も一体になって悩み、喜び、究極の理想とも言えるクラスになっている魔力分野ではこの流れのままミルバの能力発現祝いが始まる。


「ふはははは。ではクラスメイトのミルバ君の能力発現を祝い、自分のほうで準備をさせていただこう」


 誰にも気が付かれない様にロイの表情の変化を確認して宣言しているダイヤジャックは、僅かに笑顔になったのを確認して自分の行動は間違っていなかったと収納魔法から食事やお酒、ジュースを取り出す。


 ダイヤジャックからしてみれば普通に出しただけなのだが、他のメンバーからは突如として対象の食材が出てきたことに腰が抜けそうになる。


 少し前に魔力可視化の道具が出現したことは分かっておりこぶし大の大きさであったことからこれほど驚くことはなかったが、これだけ大量の品が一気に出てくれば常識を軽く超えているので動揺してしまう。


「む?どうしたのだ、お二方?そうだ!パーミア先生も同席して頂いては如何だろうか?祝杯は大勢で上げたほうが楽しいと思うぞ?」


「そ、それはそうですね。ですがあちらはまだ授業中だと思いますので、じ、授業が終わった時間に一度声をかけに行きましょう!」


 当たり前の事を言われてそれはそうだと少しだけ恥ずかしくなったダイヤジャックは、気分を変える為か少し大声で強制的に祝杯を挙げる。


「今日は目出度いミルバ君の能力発現祝いだ!ここにある品が無くなってもおかわりもあるので、遠慮しないで飲んで食べてもらいたい!」


 誰が見ても照れ隠しなのはわかるので、特に突っ込まずにそのまま宴会に突入した。


「だから私は本当にうれしいんだよ、ロイ君。長い間魔力だけがある無能と言われ続け、挙句弟にも立場を奪われる。確かに錬金術は有用で国家の発展に寄与しているけど、ヨーレイ先生の授業を理解すれば魔力が全ての基礎になっているのはわかるはずだ!」


「そ、そうなのですよ!私もそこに関しては正直声を大にして言いたいです!やっぱり魔力は全ての礎になっている学問なので、も、もっと深く知るべきですよね?」


 酒が入ると結構絡むタイプだったのか、ミルバとヨーレイはロイとダイヤジャックに絡み始めている。


 そこに授業終了の鐘が鳴ったので、ロイはこれ幸いとパーミアを呼びに行く体でこの場から離脱する。


「あ?授業が終わりましたね。俺、パーミア先生を呼んできます!」


 正直ダイヤジャックもこの場から逃げたい気持ちがないわけではないのだが、主であるロイを差し置いて行動できるわけもなく二人から集中攻撃を受けている。


「そ、そういえばジャッ君!君は本当にすごいでしゅ。あれだけの錬成ができるのに、なんで底辺と認識されてしまった魔力のクラスにいるのでしゅか?」


「私も知りたいぞぉ!ジャッ君程の実力者は見たことがないぃ。ヒック。今の国の基準を考えればぁ、相当優遇されるだろぉ」


 一応意味は通じるが色々おかしくなっているので、一刻も早くロイがパーミアを連れてきてくれることを願っているダイヤジャック。


 圧倒的な力で民の願いを叶えると宣言している万屋の一人とは思えない感情だが、対人関係をこれだけ直接的に築いた経験がない以上は仕方がない。


「お待たせ!あぁ、ずるい!随分と高そうなお酒じゃない?見たことのない品ばかりだけど、美味しそう!」


 ダイヤジャックにとって救世主であるパーミアが登場したのだが、食事よりも酒に目が行った時点で敵の戦力が増えた可能性に思い至り思わず眉が寄ってしまう。


「ジャッ君。今のところ真面なのは君だけかな?早速ミルバ君の能力発現を祝って乾杯しようよ?」


 明るく言われては断れないので何故か未だに教室に来ないロイを案じながら乾杯するとその後も同じセリフで何度も乾杯させられているダイヤジャックは、常人であればもうへべれけになっているのに・・・と思いながら、初めて蟒蛇を目の前にして驚愕していた。


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