(304)困惑②
2組の生徒から出たレポートにも解析に必要な解決策など記載されておらずに仮定の解析手法が山のように記載されているのだが、その殆どを教官は実施しており・・・現在に至る迄まるで成果が出ていない。
2組と言う上にも下にも行ける位置で格下の3組が解析の糸口を掴んだと匂わせているので、最悪は教官としての立ち位置が悪くなることを最大限危惧している。
「どのみち解析できていたとしても再現性はないはず。私が錬金術を行使して内部構造を破壊していますからね。絶対に大丈夫です」
もとから破壊されている道具を3組の教官が破壊し、その上に2組の教官も破壊するために錬金術を行使したのだから真面に解析できる状態にはならないだろう。
こうして道具は一組に向かう。
「では先生、確かにお渡ししましたよ?」
本来はもう少し時間を貰って何とか解析を実行したいところだが、ここでゴネでは手も足も出なかったと教えることになるので平然と道具を渡す。
「・・・その様子であれば、ある程度の成果は出たようですね?こちらもうかうかしていられないかな?」
探るように表情を見ながら牽制している1組の教官だが、2組の教官はこうなることを想定していたので全く表情に変化はない。
「頑張ってください!繰り返しになりますが確かにお渡ししましたよ?では、私は纏めがありますのでこれで失礼させていただきます」
纏めと聞けば成果を纏める以外には有り得ないので、どう考えても何かしらの成果を得たと確信した1組の担当教官は焦り始める。
「お前ら!わかっているな!!期限は三週間!他の無能クラスとは異なって三週間もあるのだ!この間に解析をして道具の構造、制御、全てでなくとも構わない。各々が得意な分野に集中して解析した上でレポートを出せ!中途半端なレポートであった場合、クラスの降格もある」
「おい!当然私は免除だろうな?」
「これはゼシュー王子。もちろんです」
1組にいるべき存在としては実力不足だがコネと権力によって過剰に嵩増しされてこの位置にいるゼシューは、この道具が全く解析できない異常な品だと知っているので今回のレポートの対象から外れるよう動き、言われた担当教官もゼシューの機嫌を損ねるわけにはいかないので素直に受け入れる。
クラスメイトもゼシューの立場を認識しているのでこの件に対しては異を唱えることはないが、誰しもが他の生徒を出し抜いてやろうと躍起になっている。
だからこそ碌に基本を学べなくともこのクラスに留まる事ができるほどの実力を独自で身に着けているのだが、今回もその溢れんばかりの熱意によって解決できるのかと言えば答えは否だ。
「今後のことも理解しているだろうから、そこを踏まえてしっかりと解析に励むように。重ねての説明になるが得意な分野に絞って構わないが、レポートの提出期限は三週間後だ!」
担当教官は道具の解析だけを漠然と指示しても上手くいかないと分かっているので、各自が最も得意な分野に絞って解析を実行するように指示をした。
一点集中で各自が動けばひょっとしたら・・・と言う希望があり、時折指導の名目で教室に顔を出して自らも再び解析について真剣に検討すれば光は見えると確信している。
いや、しているというよりも確信したい気持ちが大きく、2組の担当教官の余裕の態度から絶対にそうならなければならないと最早強迫観念と言っても良い状態になっている。
1組は選抜されている意識をより持たせるためにどのクラスよりも人数が少ないので、3週間もあれば最低でも二日は道具を独占できる。
全てを知る人物であれば結果は考えるまでもないのだが、各自が必死に得意と思われる部分で何とか解析を実行しようと目を血走らせていた。




