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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
304/319

(303)困惑①

「お前たち、私が別件で必死に研究している最中もしっかりと課題に対処できるように学んでいたのだろうな?」


 最も退学が近い3組の教官は、のっけから威圧的に対応している。


 当然のように久しぶりに見た教官の威力に生徒は漏れなく委縮して誰も肯定も否定もできずに静寂だけがこの場を支配しているのだが、この静寂を否定と強制的に解釈した教案は目の色が変わる。


 仮にここで生徒が肯定して課題に向けて必死に学んでいたと言われた場合には、強制的にダイヤジャックが準備した既に壊れている道具の解析を実行させるつもりでいた。


「どうやら相当たるんでいたようだな。今回は時間が空いてしまった分少しだけ(・・・・)難しい課題を出す。期限は一週間!この道具を改良するべく構造を解析し、改善点を手法と共にレポートに纏めろ!」


 自分でも手も足も出なかった癖に随分と上から目線の物言いだが、仮に生徒の誰かがそれらしいレポートを出してくれば当然のように自らの功績としてタッシュに提出するつもりでいる。


 そのタッシュも教官から上がってくるレポートを自らの功績とするつもりなので、同類ばかりが集まっている。


 道具は一つでクラスは三つなので成績の悪い順から解析のために貸し出されており、上位クラスになるほど解決できる可能性が高いので貸し出す期間は長くなる。


 一週間の間生徒は必死に道具を解析しているのだが、過去から今まで全て基本的な錬金術に対する講義もない中で完全に独自の技術で実行しているために誰一人として解析の手がかりすら掴めずに一週間は終了する。


「おい。どうする?」


 本来退学の危機に最も直面していたのはロイと同時に入学試験を受けた二人だったのだが、突然降ってわいた課題は誰一人として達成できていないのでアッという間に全員が同列になっている。


「どうこうも・・・ないだろう?できることは試したが時間がない。レポートとしては想定した手順が今回の道具に対してふさわしくなかったと正直に書く他ないだろう?」


 通常の課題であれば情報の共有などありえないのだが、今回は全員が全く手も足も出ていないので抜け駆けする存在がいるわけもなく形だけレポートらしくなるように一致団結して作業を始めた。


 初と言って良い程にクラスが一丸となって全力で作業をして、担当教官にレポートが提出される。


「この程度か?しっかりと他の手法も多角的に考えたのか?」


 さっと目を通すだけで内容的には何もできていないと理解できるので自分にも言える事を偉そうに生徒に告げているが、生徒としても道筋すら見えないこの課題について引っ張っても碌なことはないのでアッサリと引き下がる。


「申し訳ありません。これが3組の総意になります」


 悩む素振りすらない返答だったので仮にこれ以上突っ込んでしまえば、クラス全員を退学にせざるを得ない。


 いくら錬金術分野のクラスは入学希望者で溢れているとは言っても、一クラス丸々退学にさせるわけにもいかないので教官も厳しく対応することができなかった。


「わかった。お前等がその程度であることを改めて理解することができた。もう下がれ」


 淡い期待を持っていたがその期待は裏切られ、結局自分でもできなかったのだから3組の面々ができるわけもないと強制的に自分を納得させてはいるが、だからと言って他のクラスの担当教官が成果を出すのも面白くない。


「だったら、これだな」


 あえて強制的に錬金術を行使して破壊済みの道具を更に破壊した上で、外観上は全く変化がない道具を2組の教官に渡した3組の教官。


「先生、どうでしたか?何かしらの糸口は掴めましたか?」


「えぇ。まあボチボチですよ?」


 2組の教官は3組の教官と比べると当然タッシュからの覚えが良い上に立場も上なので、3組の教官としては非常に面白くない事から素直に手も足も出なかったとは言えない。


 一方3組にだけは負けるわけにはいかないと思っている2組の教官は、3組の教官の余裕の態度を見て一気に不安になる。


 自分で解析を実行した際には全く理解できなかった道具を、あろうことから3組が何となく手がかりを掴んだと匂わせているのだから危機感が募る。


 そのはけ口はもちろん生徒に向かい、今度は二週間という期限で何かしらのレポートの提出を求められた。


 生徒に告げる際の内容も全く同じでレベルが知れる教官陣だが、その話しを受けた生徒は3組とは異なって選民意識が強くなっているのか、はたまた1組に上がる野望があるのか何があっても互いに協力することはないだろう。


 2週間の期限が区切られているので各人が丸一日道具を完全に自由にできる為、一人が一日別室で四苦八苦して翌日の担当に渡し・・・が繰り返され、最終的に全員からレポートが上がってくる。


「どれどれ?3組にだけは負けるわけにはいきませんからね。最悪の時には・・・1組も巻き込んでしまうのが正解でしょう」


 悪い方向に同じレベルなのでレポートを見る前に1組に渡る道具に錬金術を行使し、更に無駄に破壊した2組の教官。


 道具を1組の教官に渡した後に部屋に戻りゆっくりとレポートを確認するのだが、どのレポートもこれまで試したこと、そして今後試せる可能性のある手法が記載されているだけで有効な結果は何もなかった。


「この程度をこの私が試していないわけがないでしょう!心底使えない連中ですね!」


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