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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(288)学校へ⑥

 ヨーレイは指先に軽く灯した程度の炎を行使しているが、最初に見せた魔法とは異なって右手の魔力が淀みなく(・・・・)指先に移動している。


「お、おそらくですが、魔法に長けている人物であれば魔法自体を見て、ある程度の威力は経験から把握することができるでしょう。で、ですが、この可視化を行えればより正確な情報を得ることができます。残念な事に魔法の能力を持つ人は非常に稀ですが・・・」


 教師のレベルの高さにも驚いているのだが、ロイはふと疑問に思っていたことを問いかける。


「先生!魔法を行使できる人が稀なのは理解しました。祖国でも同じでしたので。でも、だからと言って何故魔法を学ぶ人が少なく錬金術がこれほど重要視されているのですか?」


 この国の方針に対する質問と言っても良いのだが、ある程度の立場にいる人から聞かなければ真の情報は得られないだろうと普通に聞いている。


 ヨーレイは少しだけ不安そうな表情でミルバ第一王子を見ると、ミルバも一生徒としてこの場にいると割り切っているので笑顔でいたために説明を始めた。


「こ、この国では確かにロイさんの指摘の通りに錬金術が非常に重要視されております。錬成だけではなく魔力可視化の道具を含めて生活に必要な道具も作り出しているからです。た、例えば、この教室は暑くもなく寒くもない。この制御も錬金術を使用してとある道具を作成し、魔力を消費しながら動いています」


「わかりました。生活に必要な便利道具を錬金術で作成しているので、国家繁栄のためにそこに力を入れているということですね?」


「そ、そうですね。例えば部屋を暖めるのは私の炎魔法でも可能ですが個人の魔力量によって継続時間は異なりますし、私では冷却することはできません。そもそも魔法を使える人材が稀なので、せ、生活の一部としては認められないのが現状です」


「そこは理解しました。もう一つあって、魔法であれば種類によっては外的排除の有効な手段になると思います。錬金術には素材が必要であり、その素材入手には危険が伴うことがあるでしょう。つまりそこに関しては魔法・・・魔力関係者も貢献できるのではないですか?」


「は、はい。私もそう思いますが・・・正直錬金術関係者の力が強すぎるので、現状立場を上げるのは非常に難しいのです。それに最近では、錬金術で作成した道具を使用して難なく素材を手に入れられる環境になっているようですので・・・」


 本来は立場があるのに錬金術の能力がない為にその立場が危うくなっている存在の第一王子がこのクラスにいるので、これ以上の質問は良くないと判断したロイは表面上納得したかのような姿勢になり質問の内容を敢えて変える。


「えっと、先程実演していただいた魔法ですが、一か所魔力の流れが悪く見えた件について教えていただけますか?」


「は、はい。今回は敢えてそのように制御して見せましたが、何も意識できていなければ大半の人は魔力の流れは悪いままです。そのせいで能力があるのに想定された威力が出せないのです。修練を積めば威力が上がるのは・・・し、修練することで何度も魔力の移行が行われるので、強制的に流れがスムーズになるのです」


「成程、納得できます!ですが錬金術も能力の一つですよね?当然魔力を使っていると思いますけど、そこはどうですか?」


「そ、その通りです!推測になるのですが、錬金術の力を上げるためにタッシュ先生はこの道具を作られたのだと思います」


 それならば錬金術の能力を持っている面々も余計に魔力の分野の知識を得て学んだほうが良いのでは・・・と思ったロイだが、国の指針でこのような状態になっている以上は一教師に言うのは酷だし、被害にあっている王子にも申し訳ないと口をつぐむ。


 錬金術もれっきとした能力なので、そもそも能力を持つ人物はこの大陸でも稀であることが明白になった今、同時に受験した五人全てが能力持ちであった可能性が高く何かしらの遺伝なのか錬金術の能力が発現し易い土地柄なのか・・・と、勝手なことを考えていた。


 リーンを鍛えて強制的に能力を発現させた時のように、この国でも最も重要視されて立場も上がる錬金術は誰しもがチャレンジしているので能力が発現し易い環境になってはいる。


 先天的に内包されてとある年齢になると発現する能力と一部リーンのように後天的に発現する能力があり両者共に非常に稀であることは間違いなく、特に後天的な能力に関してはカードの超常の力の補助があって成し得ることができるレベルの為に、この国の面々は錬金術に対してのみだが発現者数から推測すると過酷な修練を行っているとも言える。


 魔力可視化の道具を指し示すヨーレイは、想定以上にロイが自分の授業に対して真摯に向き合い熱意があることに喜びを感じていた。


 ミルバも同じことを思っていたようで、そこから魔力は本来全ての学問に通じる基礎的な学問であると各自が持論を楽しく展開していた。


「そうだよ!確かにロイ君や先生の言うとおりに何らかの特殊能力を行使する際には、魔力の消費は必須!だからこそ、消費についての知識を得ておくべきだ」


「そうそう。ミルバ君の指摘の通りだと思うよ?だから全ての能力を効率良く使用するには、魔力について初めに学ぶべきだと断言しても良いかもしれないね?」


「ほ、本当にその通りです。今後魔力に関する学問が広まれば、ひょっとしたら能力を発現していない人の中にも新たに能力に目覚める方が出てくるかもしれませんね」


 そして話しは各自が持っている魔力の話題に移行し、ヨーレイ以外のロイとミルバが同じように道具を使って魔力の可視化を行った。


「や、やっぱり計測結果の通りですね。ロイさんもミルバさんも素晴らしい魔力量です」


 体を覆っている魔力が明らかに多く、特にロイはカードを収納から取り出す右手の魔力の流れが良くなっているのか、その部分だけ過剰に流れが良くなっている様に見える。


「ロイ君の能力は・・・右手に関係する能力なのかな?いや、能力を持っているのであれば秘匿するのは当然だよ。ゴメン、失言だった!」


 学ぶ楽しさの流れで思わず発言してしまったミルバは慌てて前言撤回するが、何れは明らかになるのである程度事実を話すロイ。


「大丈夫だよ、ミルバ君。確かに右手に関係する能力があるのかもしれないけど・・・正直に言えば俺が持っている能力は収納なんだ。でも、何も収納できないので名前だけ立派な能力と祖国では言われていたね」


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