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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(286)学校へ④

 想像以上のダメ教官もいたが逆に想像以上に良い教官もいたので帳尻があっていると思いながら、自分としては自信のある魔力の結果が気になっているロイ。


 視線が担当教官の方を向いているので嫌でも成績が知りたいと理解できたのか、直ぐに得られた結果を伝える。


「あ、あの・・・正直過去に類を見ないほどに高い魔力をお持ちです、ハイ。ちょっと驚きですが、ロイさんは何か魔法を使えますか?」


「え?それほどなの?ヨーちゃんがそこまで断言するなんて、ロイ君は相当な力を持っているのね?凄いじゃない!」


 ここまで手放しで褒めてくれるので少しだけ嬉しくなっているが、本当の能力を明かすわけにはいかないので嘘でもなければ真実でもない範囲で返事をする。


「えっと・・・正直魔力があるのは知っていましたけど、何も使える能力を持っていません。祖国でも特殊な能力を持つ人は非常に稀で、俺の他にも魔力があっても何も能力がない人はいましたから」


「そ、そうですか。でも、私の授業を受けることで能力が目覚めるのかもしれませんね。当然これだけの魔力があるのであれば最上級の1組になりますよ?」


「ヨーちゃんのクラスって、1組しかないでしょう?」


 意外と抜けていると思いながらも、選択肢は魔力しかないと元から思っていたのでヨーちゃんと呼ばれている担当教官ヨーレイに入学を申し出る。


「あの、俺は魔力の分野でお願いします。なんとお呼びすれば良いですか?先生」


「わ、私はヨーレイと言います。ロイさんの加入を歓迎します!私のクラスにはミルバさんと言うこれまた優秀な人がいますよ?」


「あの・・・さ?ヨーちゃんのクラスって、ミルバ君しかいないでしょ?」


 これからお世話になる教官のヨーレイがテヘへと聞こえてきそうなほどの表情をしているのを見て少しだけ不安になったロイだが、悪い人ではないのはわかるので楽しく過ごせそうだと頭を切り替える。


 と同時に、船長の言葉も踏まえるとミルバと呼ばれている人物が第一王子だと確定した。


「ついでに私も自己紹介させてね?一応知能や交渉を含めた分野を受け持っているパーミアよ。お気づきの通りに私達は錬金術のクラスとは教官も含めて疎遠なの。本当は生徒にそんなことを言っちゃいけないけど、異国からせっかく来てくれているので現実を早い段階で知って欲しいと思ったの」


「ご配慮ありがとうございます。変えたいけど変えられない事って結構ありますからね。俺は気にしません!それよりも、パーミア先生もこれからよろしくお願いします!」


「じ、じゃあ、明日から魔力のクラスで一緒に学びましょう。時折パーミア先生とのクラスと共に学ぶ時もありますので、色々なことが学べると思います」


 そのまま宿に戻ってゴミ以下の品と言われている素材をそのまま顕現したダイヤキングに渡すと、全てを知って少々怒りが抑えきれないダイヤキングはその場で無駄に錬金術を行使してゴミ以下の品を瞬時に黄金に変えて見せた。


「これこそが我が主のお力です。あの無能・・・いいえ、ゴミ屑以下の存在が影すら踏めない位置にいらっしゃるのです!」


「わかった・・・ありがとう。でもまだ抑えておいてね?」


「・・・・・・・・・承知しました」


 態度からも相当な我慢を強いているのはわかっているが、せっかく異大陸に来たのに万屋が大暴れしては素のままの状態が体験できないので堪えてもらっている。


「時折力が必要な時は、スペードキングに呟くからさ?」


「承知しました。その時をお待ちしております。あのふざけた蛆虫を始末する際にも、ぜひともこのダイヤキングにお命じください!」


「いやいや、そんな物騒なことはしないから!でも力を借りることはあると思うよ?何せこの国では錬金術が全てのような考え方みたいだからね」


 話しが終わると明日に備えて眠るロイは、横になりながら今のところ第一王子派の推薦を受けていると認識されて露骨に態度を変えたのは学校だけなのでとある推測をしている。


 自らの経験と知識から考えた結論は・・・王侯貴族は第一王子の競争相手である第二王子を推しており、そこに連なっているのが学校。


 一方民は第一王子を推しているので、この宿も含めて第一王子派が歓迎されている。


 口に出しては最近動く機会がないカードの者たちが我先にと勝手に調査をしかねないと思っているので、考えるだけでそのまま眠ってしまう。


 奇しくもこの想像はこの国の状態を正確に捉えているのだが、だからと言って何をどうするでもなく・・・リーンのように収納以外の力も発現するかもしれないと淡い期待を持っている。


 こちらの期待は残念ながら絶対に叶うことのない願望であり、そもそも収納と名の付く能力であっても国家を掌握できるほどの各種能力が使えているのと同義なのでそれ以上の能力が使えるわけがない。


 ロイも本気で思っているわけではなく、自分で魔法が使えると楽しいだろうな!程度の気持ちではある。


 翌朝、指定された時間に指定された教室に向かうとお約束の教室がボロボロ・・・と言うことはなく、扉を開けるとどう見ても高貴な人物だろうという服装とオーラを纏った人が座っていたので、この人が第一王子だと一応丁寧に挨拶するロイ。


「あ、おはようございます。俺、昨日試験を受けたロイと言います。よろしくお願いします」


「こちらこそ初めまして。せっかくクラスメイトになれたのだから、私のことも気さくにミルバと呼んでくれるかな?ロイ君!同年代のクラスメイトらしく楽しく学ぼうよ?」


「あ、そうですか。じゃあ、ミルバ君。これから宜しくね?俺はこの国、町、全部が初めてだから、そこも含めて色々教えてくれると嬉しいな」


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