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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(284)学校へ②

 あまりの対応に呆れていたロイは多少強引な手段に出ているのだが、第三者も目の前の試験官のような存在である可能性が高いかもしれないと思いつつ素材を懐に入れる。


「お前!横領だぞ?」


「はいはい、わかりましたよ。周囲の素材を見る限りではこのあたりですかね?」


 勝手に値段を想像して少し多めの価値があると思われる黄金を足元に潜んでいるスペードキングから出してもらうと、そのまま机に置く。


 あまりの速さに突然机の上に黄金が出現したように見えるので、まさに錬金術で無から錬成したと数人から思われている。


「お前・・・」


 怒りの表情を隠しもしないが、きっちりと黄金は懐にしまいつつ退席する試験監督。


「何だったのかな?まさか他の科目もあのレベルの試験官が来るのであれば、この学校から学ぶことは何もないかな?」


 想像の上を行く人物しかいないのであれば嫌な思いをしてまで学校に留まる意義を見出せないので、さっさと離脱して旅に出たほうが有意義だと思っている。


 少しだけハルバン伯爵には申し訳ない気持ちになっているが、これだけは決定事項だと次の試験を待っているロイ。


「随分と静かな教室なのね。最後の追い込みをしている様子はないので、今回の受験者の皆さんは余裕なのかしら?」


 次の試験官が入室すると今回の騒動絡みでロイが何をしたのか聞きたがっている人が半分、残りは最も重要な錬金のテストが上手く行ったと肩の荷が下りて少々だらけている人と何も考えずにボーっとしているロイが見えたので、必死さが伝わってこないと少々嘆いている。


「確かに錬金術の試験が終了すればこうなるのも仕方がないけど、しっかりと知能に関するテストも受けてもらうわよ?」


 今回は紙に書かれた問題を記入式で回答するようで、その中には錬金に関する問題や演算問題、歴史問題と政治に関する問題の他、交渉能力を見る為かとある商品をどのように高値で売るべきかを検討する論文形式の問題もある。


 一つ目の試験官が最悪だったこともあって真面目な対応の二つ目の試験は真剣に受けているロイだが、歴史はこの大陸に関する話しなので分かるわけもなく演算と商売に関する論文だけを回答している。


 同じように道具からベルが鳴り響くと、本当に久しぶりに真剣に頭を使ったためなのか少しだけ疲労感を覚えている。


「次が最後の試験になりますから、頑張ってください」


 一般的な対応ではあるが一人目があまりにもふざけた態度であったことから、この対応だけでロイから良い人認定された試験官は六人分の答案用紙を持って退室していく。


「・・・あれ?次が最後と言うことは、今の論文の部分が交渉能力のテストだったのかな?となると、最後は魔力か」


 これだけは自信がある・・・表現を変えればこれしか自信がないロイなので真剣な表情で今の自分の状態を確認しているが、他の面々は魔力の試験は最も無駄だと思っているのか相当だらけた姿勢になっている。


 あれだけ頭を使う問題が出たので仕方がないよな?と考えながらも、魔法が使えるわけではないが魔力が体をしっかりと覆っていることを確認したロイ。


「これならば大丈夫かな?どのような試験かわからないけど・・・」


「お、お待たせしました!私が魔力担当教官のヨーレイです。試験は簡単です!どれだけ魔力をお持ちか、この道具を使って計測させていただくだけです。魔力の量を数値化しますが、公開せずに私のほうで記録するだけの簡単なテストになります。よろしくお願いします!」


 今度は随分と腰が低いと思いながら、誰も反応しないのでロイは自らを担当教官と名乗った女性が来るのを待っている。


 既に前方にいる数人は魔力の計測が終了しており、今から計測を行う面々はけだるそうにしながら担当教官が勝手に近づいてくるのを待っており、教官は何かの道具を各人の手に持たせて数値を記録している。


「お、お待たせしました。これで最後の試験なので、よろしくお願いします!」


 近教官は一人一人にこのように声をかけているのだが、最後のロイに至るまで返事をした人物はいない。


「あ、こちらこそありがとうございます。これを持てば良いですか?」


 この国で最も価値がないと認識されている魔力に関する技術を伸ばすクラスになるので誰しもが嫌悪して避けている為にロイの様な反応は珍しく、思わず動きが止まってしまう。


「あの・・・これで良いですか?」


「え?は、はい。ご協力、ありがとうございま・・・・!」


 間違いなく数値があり得ないほどに高いからだろうか、絶句したのちに慌てて取り繕って何かを書き込んで一番前の教壇に戻る教官。


「み、皆様、お疲れさまでした。今日の各試験の結果は直ぐにまとまりますので、もう少々ここでお待ちください。その結果をもとに自らの分類を申請し、そこでクラスが決定します」


 すると最初に錬金の試験をした程度の低い試験監督が突然入室し、いまだ魔力の担当教官が話し終えていないのに強引に壇上からどかすと成績を口頭で言い始める。


「どこかの異分子以外は錬金術師としての最低基準を満たしている。一般的な常識があれば、クラスはどうあれ錬金分野を選ぶだろう?希望する者は起立!」


 ロイ以外の五人が安堵の表情で立ち上がるので、これまでの情報からそうなるのだろうと思いつつもこれは良い機会だとロイはあえて大声で懐の素材を出しながらこう告げた。


「魔力分野の先生!この素材は錬金のテストにふさわしい品ですか?」


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