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思惑と判断

リストランテに潜入している工作員の手によってチャイルドシリーズのリーダーであるアルファの元に果し状が届けられた


アルファは他のメンバー達にもこの事実を伝え果し状に応じて指定場所に向かう事を告げる。


「で、奴が指定してきた日時と場所はどこなのですか?」


「決闘の日は明日の午前十時、指定場所はスワリロ湿地だな」


 デルタの質問にアルファが淡々と答える。


「なるほど、スワリロ湿地といえば常に霧もやがかかっていて視界が悪い上に硫黄の匂いが立ち込めていて鼻も効かない


隠れる場所も多いしゲリラ的な戦い方をするにはうってつけという訳ですか」


 デルタの分析にアルファも無言で頷く、そこにイプシロンが口を挟んできた。


「でもさあ、どうして私達が不利になりそうなところにわざわざ行くわけ?


負けるとは思わないけれど約束の期限まであと三日でしょ?


向こうにしてみれば戦うか降伏するかの二択なのだからそんな果し状無視して決着をつければいいじゃない


私としては相手が一人の決闘より全面戦争の方が嬉しいのだけれどな、相手の兵隊を一人づつ殺せるし」


「まあいいじゃねーか、奴と戦えるのだから、どんな場所を選んだとしても俺たちに勝てるわけないのだからよ」


 口を尖らせて不満顔のイプシロンと戦える事に満足げなベータ


対照的な二人の態度にやれやれといった感じでため息をつくガンマ、イプシロンの不満を解消するべくアルファが説明を始めた。


「俺たちが果し状に応じたのは理由がある、なあイプシロン、もし連合側が降伏し奴が投降してきた場合の処分はどうなると思う?」


 突然質問されたイプシロンは驚く。


「えっ、そうね……いくら国王陛下の孫とはいえリストランテの敵に周ったのだから処刑じゃないの?生かしておいても危険だし」


 イプシロンの返答に無言で頷くアルファ、そして話を続けた。


「じゃあもし全面戦争になった場合、奴が真正面からぶつかってきた場合、俺たちに勝てると思うか?」


「それは無理でしょう、私達五人に勝てるわけないじゃない、もしそうなったらボッコボコにした上で惨めに殺してやるわ」


 サディスティックな笑みを浮かべペロリと舌を出すイプシロン、そんな彼女の姿をアルファは愛おしげな目で見つめている。


「その通りだ、つまり連合側が降伏しようが戦おうが奴は殺されるのだ、だったら奴が取る行動は一つしかない」


「どうするの?」


「逃げるという選択だ」


 アルファの言葉にイプシロンは再び驚きの表情を見せる。


「えっ、逃げるの?連合の奴らを見捨てて?」


 イプシロンの問いかけにアルファはコクリと頷く。


「ああ、そもそも奴が連合に加担している理由も定かではないし命運を共にする必然性がない


したがって奴が連合の為に命を捨てる事などあり得ない


奴にとっては連合が降伏しようが滅亡しようがどうでもいい事だろう、だがそうなると厄介なことが一つある」


「何?何が厄介なのよアルファ?」


 意味深な言い回しに思わず問いかけるイプシロン、アルファはその質問に静かに答える。


「奴が一旦身を隠し密かに俺たちを狙ってくるという危険性だ」


 アルファの推察にデルタ以外のメンバー達も驚いていた。


「ちょっ、何よそれ⁉︎こっそりと隠れながら私達が一人になるところを狙ってくるって事?それってキモくない」


「ちっ、姑息なやり方だな、男なら正々堂々と戦えってんだ‼︎」


「確かにそれは困るな……」


 今度はアルファの代わりにデルタが補足の説明を始める。


「つまり奴は我々が一人になる瞬間を狙ってゲリラ的な暗殺行為を仕掛けてくるという事です


我々も生活している以上常に五人一緒というわけではありません


必ず一人になる瞬間があります、そこを狙われたらまずいという事ですよ」


「しかしデルタ、城の中では各自別行動だとしても外に出る時だけは五人で行動すればいいんじゃね?


まあ俺ならば一人でも奴をぶち殺してやるけれどな」


 ベータはイプシロンに向かってアピールするように語る


すると普段はあまり喋らないガンマが反論するように口を挟んできた。


「いや、外でだけ五人一緒ならば安心というわけではない


普段俺たちは城の中の人間達に嫌われている、となると俺たちを殺すために奴をこっそり城の中へと招き入れる裏切り者が出ないとは限らない


普段気を抜いている一人の時を狙われたらいくら俺たちでもひとたまりもないからな」


 思い当たる節があるメンバー達は思わず顔をしかめた。


「四六時中奴の暗殺を警戒し私生活でも常に五人一緒とか私は御免ですからね


私生活でも常に無神経な人と一緒とか、気が変になってしまいますよ」


 デルタはそう言いながらチラリとベータの方を見た。


「あ⁉︎それは俺の事を言っているのか?ぶち殺すぞテメエ‼︎」


 いつもの二人のいがみ合いにガンマが無言のまま割って入り仲裁をする、そんな見慣れた光景を呆れ顔で見つめるイプシロン。


「いつもいつも飽きないわねアンタら、でも私はアルファとだったら常に一緒でもいいわ」


 嬉しそうにアルファの腕に抱きつくイプシロン、アルファもまんざらでもない様子である


そんな二人の反応を見て面白くない表情を浮かべるベータとデルタ


そんな空気を察したのかアルファがメンバー全員に向かって語り始めた。


「決闘を受ける理由はわかったな、奴の暗殺を警戒しながら常に五人一緒の生活は誰も望まないだろう、だからこそ奴とはここで決着をつける


地の利を得た程度で俺たちを倒せると考えている愚かな先輩に現実と言うものを思い知らせてやろうじゃないか‼︎」


 アルファの言葉にメンバー全員が頷いた


世界の命運を決める史上初の生態魔導人間兵器同士の決戦が行われようとしていたのである。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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