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勇者がヒモになったなら  作者: ひーらぎ
5章「勇者の使命・ヒモの役目・おれの人生」
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5章「勇者の使命・ヒモの役目・おれの人生」5

今作品は、C90「よろづ屋本舗」にて販売した作品となります。


「おいおい、どういうことだこりゃ!」

 鋼鉄の拳がこの世界、日本において異形と呼ばれる怪物を吹き飛ばした。

「どういうことって、どう言う意味かしらっ!」

 黒いマントを翻させて、くるりと回ったコトハが魔法石を光らせる杖から無数と呼べる数の氷を撃ち出す。怪物の肉片が周囲の木々へコベリついて、強力な酸で溶かされたように蒸気と消える。

「わかんねぇか? どうしてこんなに余裕がないのかって言ってんだ、よッ!!!」

 背中へ引っ掛けていた神官ロッドを抜き、眼前の怪物を殴りつけた。どす黒い体液が頬を汚し、飛沫がただでさえ悪い視界を一度遮断させる。ギブソンが一歩後退。

「アイツの魔力は無尽蔵かよ……どんなトリック使ってやがんだ!!」

 ロッドを下へ構え直し、雨や怪物の体液でどす黒く汚れたコートの内側からリボルバー式拳銃を引っこ抜き、構える。腹の底へ響く炸裂音が怪物の脳天をぶち抜いた。

「この世界の武器も悪くないな」

 ギブソンが口笛混じりに言うと、背後から魔法音と一緒にコトハの声がする。

「知らないわよ、魔王だからじゃないのっ?」

「だったらこっちだって勇者がいるぜ? 条件なら同じだろ?」

 いつしか怪物へ四方を囲まれていた。

 ギブソンは左手下段のロッドを正面へ持ち直し、右手リボルバーの銃口を上へ向けた。怪物との間合いを図るようにじりじり後退。コトハの背中とぶつかる。

「アルくんが同じ条件なら……こいつらみたいに増援も出せるんじゃないの?」

「だったらどれだけ楽か。ったく、こんなことならアイツ等も連れてくりゃよかった」

「アレボスはどうするのかしら?」

「……だよなぁ」

 やれやれ。

 ギブソンは今もなお増え続ける怪物へ溜息し、引き金を絞った。

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