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『創造と創造の創造で、~セーフゾーンしちゃった~』

神界中央創造局、午前3時。

ソウゾウのスマートな指先が、神がかったエレガントさでキーボードを滑り、最終の論理コードを打ち込んだ。

カチリ。

4つ目の奇抜な世界『空しかない世界』が完璧に完成を迎えた。マルチモニターの青いデータ群の中、カイゾウが裏から仕込んだ再生パッチが美しく脈動している。これにより、次元の壁を越えてどんな跳躍者がこの世界へ飛び込んできても、その身体を優しく受け止める完璧な上昇気流のクッションが、全方位に鉄壁の精度で張り巡らされた。

「フッ……完成したな。重力の呪縛を消滅させた、新たなる天上の階梯スカイ・オアシスが……。これで彼女も、いつでも我が領域で羽を休めることができよう……」

ソウゾウが劇画調の深い達成感に浸りながら眼鏡をクイと上げた、その時だった。

完成した画面をじっと見つめていたカイゾウが、ふと顎をさすりながら、ある重大な事実に気づいてポツリと呟いた。

「なぁ、ソウゾウ。お前さ……最初のおしゃべり植物世界に、次の海底ドーム世界。で、今回のこの空中世界だろ? ……これ、気づけば神界のシステムをすり抜けて次元を渡り歩く奴らにとって、最高の『隠れセーフゾーン』になってね?」

「な……何だと……っ!?」

ソウゾウの動きが完全に凍りついた。

顔面が凄まじい劇画調の陰影に染まり、額からドロッとした大粒の冷や汗が流れ落ちる。

カイゾウの言葉によって、ソウゾウの脳内でこれまでのすべての点と点が、とんでもない方向へと一本の線に繋がってしまった。

自分はただ、神界の規律通りの退屈な通常世界に飽き飽きし、己の尖った情熱のままに奇抜な箱庭をコソコソと創り続けていただけだった。しかし、自らの技術力が有能すぎたがゆえに、監視グループの目を完璧に欺く偽装外皮を施してしまった。その結果、実質ソウゾウただ一人の手によって――神界の上層部の監視網が1ミリも届かない、次元漂流者たちのための『絶対安全なセーフゾーンネットワーク』が裏で完璧にプロデュースされてしまっていたのだ。

(ま、まさか……! 私はただ、己のパッションに従ってクリエイトしていただけのはず……! なのに、神界の上層部の裏をかき、世界の渡り人たちを匿う闇の救世主セーフゾーン・メーカーになっていただと……!?)

圧倒的な勘違いと中二病脳が臨界点を突破し、ソウゾウは冷や汗を流しながらも、かつてない知的な悦びと世界の裏の支配者になったかのような全能感に打ち震えていた。

「ふ、ふん……。結果として我が至高の芸術が、迷えるイレギュラーどもの救いとなったか。……良かろう。これもまた、万物の創造主ソウゾウたる私の宿命カルマだ……!」

「あはは! 相変わらず受け入れ方が最高にポジティブだな。まぁ面白そうだし、次のセーフゾーン創る時も裏から手伝ってやるよ」

翌朝。

「おはようございます! みなさん、今日も世界に愛を注ぎましょう!」

第3クリエイティブ・オフィスに、ソウゾウのいつも通り暑苦しいほど爽やかな声が響き渡る。

同僚の神々は「今日もソウゾウは完璧な通常世界を創っているな」と称賛の眼差しを向けるが、彼の脳内はすでに「次はどんな奇抜なセーフゾーンを創造するか」のパッションでパンパンに膨れ上がっていた。

廊下のガラス越しに、完璧に偽装された通常世界の外殻を見つめるソウゾウ。その劇画調の最高にシリアスなドヤ顔にカメラがズームインし、彼は冷や汗を流しながら、真剣な顔でぽつりと呟いた。

「……創造しちゃったな。創造と創造の創造で……世界を渡る者たちのセーフゾーンを、創造しちゃった」



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