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境鳥村立中学および小学校

野咲ミク 中学担任

相原リョウコ 小学担任

霧山ユリ 中2

藤アラシ 中2

藤タイスケ 中2

星ホクト 中1

杜人イズミ 中1

霧山アン 小6

藤サクラ 小5

星ミナミ 小4

天城マヤ 小2

射手ヒロ 小1


「境鳥村」の情報が希薄なのはホクトも感じていた。

夏休みの課題である災害マップ作りの際、

学校の図書室で「郷土の歴史」的な書籍を探したが見当たらず

同じく図書室のパソコンで検索をかけたが

ウィキペディアにも掲載されていない。

検索サイトでヒットしたのは

郵便番号検索と境鳥村役場の公式サイト。

観光地や温泉街としての「境鳥村」も同様で

それぞれのホテルや旅館も各自オリジナルサイトを開設しておらず

大手の旅行サイトにも情報はない。

八手湖、八手ダム、境鳥川、横向山は

かろうじて地図上に記載はあるものの

ストリートビューでは閲覧範囲外となっており、

天文台に至っては存在自体が載っていない。

何より不可解なのは

個人のSNSやブログに殆ど(まったくではないが)投稿されていないことだ。

ダムや渓谷では観光客を目にするし

温泉街に宿泊客はいる。

「映え」を意識している店が無いのも事実だが

観光地しとして盛り上げようとする気概も感じない。

だからと言って排他的でもないし

余所者であるホクトが疎外感を抱いたこともない。

(むしろ手厚いと感じることすらある)


黒式団のリーダー、ワイアール氏は

「この村の情報が入手でぎず直接来日した。」

「日本は初めてだ。」

「キョトやアキハバラを差し置いてきたのは」

「このモンスターに興味を抱いたからだ。」

「このモンスターの名前はあるのか?」

「どのような形状だ?どのような特徴がある?」

「モンスターはどこから現れた?」

からかっているのではない。真剣だ。

あ、厄介者だ。この人は厄介者だ。

ホクトが思ったのは目の前の大人のワイアール氏に対してではなく

隣の1つ年上の霧山ユリに対してだ。

案の定、ユリは身を乗り出しワイアールに語る。熱弁する。

「名は決めていない。」

「形態はクマムシのようだと推測。」

「そしてやって来たのは」

ユリは腕を目いっぱい上に伸ばし、天を指さす。

「宇宙だ。」


来日した黒式団の七人は

出身も年齢も性別も様々ではあるが

全員同じ「黒式」と書かれたTシャツを着用し

全員同じ目の輝きをしている。

ように、少なくともホクトにはそう見えた。

教室で自分以外のクラスメイトが騒いでいる時と同じ目。

何かを想像し、創造し、企む者達。

「ホクトっ。」

いつどのタイミングで逃げようかだけを考えていたホクトに

突然霧山ユリが振り返り叫んだ。

「お前の情報をこの人たちに聞かせてさしあげて。」

「そんなイヤそうな顔をするなっ。」

「顔に出てましたか。」


場所はホテル大太楼。

黒式団は全員このホテルに宿泊している。

1Fの広いロビー。

黒式団リーダー、ワイアールは会議室をレンタルしようとしたが

2F村役場で使用中とのことで

ロビー内のローテーブルを囲むことになった。

「その前に、ホクト。」

霧山ユリはホクトを連れカウンターへ。

「霧山壮の霧山ユリと申します。

「トシちゃん、じゃあない村松様はいらっしやいますか?」

フロントの女性が少々お待ちくださいと内線電話。

「今参ります。」

「ありがとうございます。」

すぐにエレベーターから女性が現れユリに駆け寄る。

老人と呼ぶには颯爽としているが

ホクトは彼女が自分の祖母と同級生だと知っている。

ホテル大太楼支配人、境鳥温泉組合長、村松トシ。

彼女はホクトに目もくれず隣のユリに抱き着き

「もっと会いに来なさいよ。」

「いやあイロイロと忙しくて。」

挨拶を交わしてようやくホクトに向き、

「こんにちはホクト君。」

ホクトも頭を下げる。

この村に来てすぐ、挨拶回りをした日

昼近く最後に訪れたのがホテル大太楼。

「そうしろ」と祖父星タツゴロウから言われそれに従っただけだったが

支配人村松トシはそれを面白くないようだった。

「態々この時間に来るなんてね。」

キツイ口調に感じて

「申し訳ありません」と答え挨拶だけ済ませて帰ろうとしたが

「貴方が謝る必要はないわ。」

応接室に通されお茶を出される。

「今いくつ?」「体調はどう?」

「こっちに来たのはいつ?」

「ノリコさんとは同級生でね。」

「困った事になったらいつでも来なさい。」

気遣っている台詞ではあるが口調はずっとキツイ。


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