047
境鳥村立中学および小学校
野咲ミク 中学担任
相原リョウコ 小学担任
霧山ユリ 中2
藤アラシ 中2
藤タイスケ 中2
星ホクト 中1
杜人イズミ 中1
霧山アン 小6
藤サクラ 小5
星ミナミ 小4
天城マヤ 小2
射手ヒロ 小1
「これを作ったのは貴方達かと聞いています。」
どうやら日本人の女性が通訳代わりに尋ねる。
「まあ、そうですね。」
霧山ユリの返事を伝えると
男は喜びユリの手を取り
「素晴らしい。ぜひ詳しい話を聞かせてくれ。」
興奮し握った手をブンブンと振り回す男に対し
「それはできません。」
ユリは手をほどき
「これは村の最重要機密事項です。」
ホクトからは見えなかったがきっとキメ顔しをしている。間違いない。
それよりも、後ろの二人が何やら会話をしているのが聞こえた。
「世界に発信しているのに機密って?」
「ここに掲載されている以外の情報があるってことだ。」
英語(しかも丁寧な)だったのでホクトにもなんとなく聞き取れた。
面倒なことになりそうだな。
逃げるか?逃げるべきか?
僕1人で逃げたら後で怒られるだろうな。
ユリの目の前の男は引き下がらない。
何を言っているのは判らないが霧山ユリを説得しようとしている。
隣の女性はタブレットを持ちながら同時通訳を試みるが情熱に追い付いていない。
ユリはあまりに捲し立てる男の顔の前に手のひらを向け制した。
「お前達は何者だ?who are you.」
聞いちゃった。
聞かなくていいこと聞いちゃった。
ホクトは何かを諦めた。
案の定、男はニヤルと笑い、
ついでに隣の二人も何やら姿勢を正し斜に構えた。
しかし帰ってきた言葉に驚愕した。
「ワレワレハ、ウチュウジンダ。」
この人に宇宙人語を教えたのは誰だ。
「リーダー連れてこいって言っているけどどうしようか。」
ユリも宇宙人語が堪能のようだ。
「温泉組合長あたりですかね。」
ホクトが答えるとそれを聞きもせず
男は後ろ手を組んで大声で
「ウルトライツツノのチカイっ。」
突然叫ぶ男に続き、二人が直立し後ろ手を組み、
「ヒトツ、ハラペコノママガッコウニ」
「なんなの?情報がとっ散らかって面倒なんだけど。」
「5つ全部言わせて。」
「お断りだ。まともに会話するつもりがないなら帰る。」
霧山ユリがマトモな会話をしようとしていたとは思えないと思ったホクト。
女性はユリにワイヤレスのイヤホンを一つ渡す。
「日本語に設定しました。」
ユリがイヤホンを装着するのを待ってから
アラブ系の男性が改めて自己紹介をする。
「私の名はワイアール。偽名だが許してほしい。」
「黒式団のリーダーである。」
白いTシャツに黒文字で「黒式」
「クロシキって何ですかね?」
ホクトがユリに小声で尋ねる。
「Men In Blaclだろうな。」
「その通りだ。」
「ただ黒いスーツはこの時期暑くて。」
「Men In Blackってあの映画の?」
「MIBって組織は都市伝説としてあるんよ。」
霧山ユリが得意気に続ける。
UFOを見たと称する人物を調査する機関。
だが秘密の機関であるためその名称がわからない。
現れたのが黒いスーツ姿の人物だったので
「Men In Blackiと呼ばれている。」
「CIAとかFBIとかPTAみたいな?」
「まあそうね。」
ホクトとユリの会話も同時通訳されているようで
「勘違いしないでくれたまえ。」
「我々はどこの国の機関でもない。」
隣の女性が続ける。
「この人、ワイアールの道楽です。」
「道楽?失礼な。真剣な研究機関だ。」
「ワレワレは宇宙人だってのは何?」
「ただの冗談だ。」
「ウルトラ5つ誓いってのは?」
「それは我々黒式団の合言葉である。」
「一つ、天気の良い日は」
「いやもういいので。」
「何故最後まで聞かない。続ける、一つ、」
無視して女性に尋ねる。
「黒式団ってのは何する団体?」
「簡単に言うとXフィイル。」
後ろではウルトラ5つの誓いを絶賛合唱中。
「Xファイルって知ってる?モルダー?」
「いいや判らないよスカリー。もう何も判らないっ。」
「疲れているのよモルダー。専門家に診てもらいなさいよ。」
ユリとホクトの小芝居を無視し、
「ただ先ほどワイアールが言ったように国家の機関ではありません。」
発端は某大学での神話の検証サークル。
そこからいつしか世界中のモンスターやエイリアンの調査に。
「XファイルなのかMIBなのかはっきりしないけど」
「いったい何をしにこんなド田舎の温泉街に?」
ワイアールは合唱から抜け
ホクトとユリにタブレットの画面を見せる。
「これだよ。」
画面はウェブブラウザ。
開かれているサイトは境鳥村役場
「怪獣出現に伴う避難計画」




