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境鳥村立中学および小学校
野咲ミク 中学担任
相原リョウコ 小学担任
霧山ユリ 中2
藤アラシ 中2
藤タイスケ 中2
星ホクト 中1
杜人イズミ 中1
霧山アン 小6
藤サクラ 小5
星ミナミ 小4
天城マヤ 小2
射手ヒロ 小1
9月最初の日曜日
藤家では双子兄弟アラシとダイスケが何やらこそこそ。
普段1対1で殆ど会話をしない2人。
妹サクラは気になって聞き耳を立てるが聞こえない。
遅い朝食を済ませ出掛けるようだ。
部活に行くつもりか?
ダイスケはともかくアラシに理由はない。
家を出て向かったのは学校とは反対方向。
もう、尾行しかない。
2人は食事処「テングランド」に入った。
朝食を済ませたばかり。昼食には早い。
甘いモノか?兄弟で?アレ達が?
どうする?中に入る?それともヒロに連絡?
迷っていると2人は店から出てサクラと鉢合わせ。
「何やってるんだ?」
「アンちゃんのとこに行こうかと。」
サクラの咄嗟の言い訳に
興味なさそうに「ふーん」とだけ答えて戻ろうとしたので
「2人は何してたん。」
アラシとダイスケは顔を見合わせ、それから「それらしく」サクラから少し離れ
2人でこそこそと打ち合わせてから
「最近このあたりに変なのがウロついてるだろ。」
「お前らだよ」と言いたいのをぐっと堪えて
そういえば2人のバイト先でおかしな連中を見かけたような事を言っていた。
私は何も見ていない。
サクラが返事をする前に
「テングランドで聞き込みしてた。」
「で?」
「見たことがあるってだけだった。」
「俺達が知っている以上の情報はなかった。」
「それで、これから何処行くん?」
「帰る。」
「は?」
「暑くて。」
「面倒くて。」
だめだ。こいつらはダメだ。
「お前も気をつけろよ。」
「何にだよ。」
2人ともそれぞれの手伝い(バイト)先では
接客ではなく裏方として従事しているため
他の従業員の話を聞いただけ。と前置きし、
長期の宿泊予約。
片言の日本語。タブレット持ち。
全員眼鏡。
「白Tに『黒式』の文字。」
ホクトとユリの背後に現れたのは
白いTシャツ(ジャケット着用している者もいる)に、眼鏡の3人。
家族ではなさそうなのはTシャツと眼鏡以外の共通点が見えないから。
アラブ系中年男性一人、欧米系少年男子一人。
アジア系の女性一人
ホクトとユリは顔を見合わせ、
「海外からの団体観光客」としての認識で一致。
それなりに都会で暮らしたホクトは気にならないが
ユリは「日本人以外」を殆ど目にしたことはない。
後々、ホクトがそれを知り
「観光地なのに」と驚くのだが、ユリは戸惑い
「気にした事はなかったけど、日本人のお客しか来ない。」
だからなのか、いや違う。
三人の恰好があからさまに不審者なので「ワクワク」している。
今にも声をかけそうだったので
「観光の邪魔をしないようにしましょう。」
ホクトが放置を推奨し、ユリも納得しかけたが
「こんにちは。」
挨拶したのはアジア系の女性。流暢な日本語で続ける。
「お2人は地元の方ですか?」
「はい。地元の中学生カップルです。」
霧山ユリの返答に後ろの二人が顔を見合わせた。
「カップル」に喰いついたのか?
よくよく見ると全員が片耳にイヤホンを装着。
手にするタブレットに目を落としながら
それぞれの国の言語で会話をしている。
目の前の女性も戸惑いながら
「地元の中学ということは境鳥中学の生徒さん?」
「まあはい。」
女性も会話の輪に加わり置いてけぼりのホクトとユリ。
「逃げますか?逃げましょうか?」
「待て。もう少し様子を見よう。情報が欲しい。」
不審者と呼ぶには興味をそそる格好をしている。
「通報する準備はしておきます。」
中央にいた男性がホクトとユリの前に出る。
「石油王か?石油王なのか?」
声にこそ出さなかったが2人同時に叫んでいた。
整えられた無精ひげ。とでも言おうか、その顔立ちと
白いシュマーグが石油王らしさを強調して見せた。
当然ただのステレオタイプとして「たとえ」の石油王であって
まさかこんなド田舎の温泉街に石油王が来訪するとは思っていない。
男はホクトとユリに何やら話しかけるが言葉がわからない。
2人は顔を見合わせ戸惑っていると
男はタブレットを操作し、その画面を2人に見せた。
「怪獣出現に伴う避難計画」




