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境鳥村立中学および小学校
野咲ミク 中学担任
相原リョウコ 小学担任
霧山ユリ 中2
藤アラシ 中2
藤タイスケ 中2
星ホクト 中1
杜人イズミ 中1
霧山アン 小6
藤サクラ 小5
星ミナミ 小4
天城マヤ 小2
射手ヒロ 小1
ホクトが正気を取り戻したのは
作業台に置かれた発泡スチロールの箱を
「いい鯵をいただいてね。」
そう言いながら橘ユイが箱を開け、直後、
「シマアジだーっ。」
絶叫が調理場に響いたからだった。
ホクトも調理場に入ってすぐにその箱に目がいって
きっとこの中に鯵が何匹かいるのだろうと思ってはいたが
中にはそれなりに大きなシマアジが二匹。
60Cmから70cmほど。1kg以上ありそうだ。
「天然のいい鯵って言われてー」
橘ユイは小室アヤに説明している。
その2人がホクトの肩に手を置く。
「あとは、頼む。」
調理場にある物は好きに使って構わない。とは言われたので
「いい包丁ですね。」
鱗を落とし、頭を落とし、からの三枚おろしまで
慣れた手つきでシマアジを捌く中一男子。
その手際にただ茫然とする面々を無視し冷蔵庫を開け
あれやこれやとごそごそと取り出し
鍋やらフライパンやら使い倒し
「お待たせしました。」
白米のご飯とあら汁。
刺身と炙りの二種盛。
生姜、ネギ、味噌で和えたなめろうと
それを焼いたさんが焼き。
あら汁に使った中骨や頭の煮付け。
さらし玉ねぎとパセリを加えたカルパッチョ。
「1人分多くね?」
小室アヤが居間へ運びながら尋ねる
ホクト、イズミ、小室アヤ、橘ユイの4名
「さっきあの人の父親?が夕方戻るような事を言っていたので。」
「じゃあラップして冷蔵庫でいいか。」
食事を終え、少しの世間話の後
「秋分の日に祭りがあるから見に来い。」
「強制のように聞こえます。」
「強要しているよ。」
ホクトとイズミはそれぞれ
神社に届いたお中元の余りものだと大きな手提げ紙袋を持たされ
小室アヤに境鳥温泉街共用駐車場まで送りとどけられる。
車が走り去って、何となく同時に紙袋の中身を見ると
水ようかんとゼリーがゴロゴロと、
缶に入っていたであろう焼き菓子と
飽きたのであろう素麺。
2人顔を見合わせ笑った。
もうすっかり何しに行ったのかを忘れそれぞれの家路へ。
と向かわず、杜人イズミは学校へ。
職員室には中学担任野咲ミクと小学担任相原リョウコ。
「せっかくのお休みに暇なんですか?」
辛辣な中一女子の言葉に
「忙しいからいるんだろうがよ。」
「これあげますから泣かないでください。」
イズミは橘家で受け取った紙袋をそのまま渡す。
「なにこれ。」
「神社に届いたお中元の余りものだそうですよ。」
「お前ははいらないのか?」
「うちにもたくさんあるので。」
「それでどうだった。」
「シマアジ食べてきました。」
「なにそれ。」
「皮を炙ったやつがいちばん好き。」
「なんの話だよ。最初から話せ。」
イズミと野咲ミクのやりとりの間に
相原リョウコが椅子を近くに置いてお茶を淹れる。
「ホクト君が作ったの?」
「よく判りましたね。」
「何となくね。」
「何なんですかあの子。聞いていた話と違いましたよ。」
野咲ミクが身を乗り出し
「だから最初から話せって。」
翌日曜日。
まだまだ暑い9月初旬。
ホクトは八手ダム管理棟展望室へ。
すぐに霧山ユリも合流。
部活をするから集合のはずが
藤兄弟は相変わらずサボり。
ホクトは昨日いただいた水ようかんを一つ渡す。
早速持参した冷たい麦茶といただく。
ホクトがその出所を話し、
霧山ユリの職場体験の詳細が語られる。
「でホクトは何しに行ったん?」
「その近くの道場で救命講習があって。」
「めちゃ美人な師範がいるとこか。」
ユリは興奮して続ける
「あの人格闘家なのに髪長い理由知ってる?」
「フツー髪短くするじゃん?」
「中学生の頃は短くしてたんだって。」
「そしたら女子に告白されまくって伸ばすようにしたって。」
聞いたのか。
「あれ?それで何で神社に行ったんだ?」
「シマアジを捌きに。」
傍から見るとただイチャイチャしているだけの中学生男女の部活。
その最中
3つの影か2人の元へ。




