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境鳥村立中学および小学校
野咲ミク 中学担任
相原リョウコ 小学担任
霧山ユリ 中2
藤アラシ 中2
藤タイスケ 中2
星ホクト 中1
杜人イズミ 中1
霧山アン 小6
藤サクラ 小5
星ミナミ 小4
天城マヤ 小2
射手ヒロ 小1
ほどなく道場に通う子供達がワラワラと到着。
師範はその相手に追われ
ホクトとイズミは居心地悪そうに端へ。
消防士3名の紹介の後、
講習は滞りなく終了。
「では解散。気を付けて帰りなさい。」
道場の門下生達が道場を後にする。
ホクトとイズミもその流れで帰ろうとしたが
「境鳥の2人はちょっと待って。」
呼び止めたのは隊長のヤマオカ氏。
まだ何かあるのかと身構えたが
「君たちの作った防災マップを見たよ。」
「あの恥ずかしいやつ?」
「恥ずかしいの?」
「村で作った防災マップで充分だったってオチがついて。」
「いやいやそんな事はない。よくできていたよ。」
担任経由で村役場に提出(?)
役場の職員が丁寧にパソコンで複製。
土砂災害、ダムの決壊を想定した避難経路だけでなく
災害時に持ち出す物リストと備蓄用品リストが実によくできていると。
消防と警察とで情報交換の後ブラッシュアップされ共有。
ホクト含め生徒達に知らされていないが
村の公式ホームページに掲載済。
「あれ?世界に発信?」
「私も見ましたよ。」
マナベ隊員が自身のスマホで開く。
ご丁寧にタイトルが改変
「境鳥村怪獣ハザードマップ Sakaidori VillageMonster Hazard-Map」」
ホクトにとっては改悪でしかない。
とんだ赤っ恥をかかされたものの
講師達が引き上げたので自分達もそろそろと帰ろうとしたが
小室アヤに呼び止められる。
「この後の予定は?」
ホクトはイズミと顔を見合わせ
講習終了後の予定の話はしていなかったなと確認。
「僕はどこかでお昼を済ませて帰ろうかと。」
「私も。」
「それなら一緒にお昼にしよう。」
ホクトとイズミの返事を待たず小室アヤが何処かに電話を始めてしまう。
何処で何を食べ刺させられるのかと不安になる。
小室アヤは電話をしながら
「ホクト。魚捌ける?」
「魚によるかと。」
ホクトの返事に電話に戻り
「大丈夫だ。他に必要なものは?うん。判った。」
電話を終えとると
「じゃあ行こうか。」
行くって何処に。
「いい鯵があるって。」
つまりそれで何か作れと。
「大抵の調味料はあるから。」
いい鯵と言うからには刺身でいけるのだろう。
なめろうがいいか。カルパッチョにしようか。
昼食のおかずにするならアジフライか。
車に乗せられ、見覚えのある通り。
丘の上の公園。
一般車両通行禁止の看板の脇をすり抜け
そこから登る霧山ユリと歩いた道。
ここから境鳥村が見える。
この先には神社があるような事を言っていた。
到着したのは道場ほどではないが大きな屋敷。
「この奥に神社があって、ここはその宮司の家。」
「ここで僕に鯵料理を作れと?」
「よく判ったな。」
「何かのイベントですか?」
「いやただの昼食。」
小室アヤがガラガラと引き戸を開ける。
「こんちわー。」
返事がない。
「まだ向こうにいるのか。まあいいや。」
とっとと靴を脱いで上がってしまう。
「二人も上がって。支度しよう。」
勝手にいいのか?
右手に広い居間。左手はどうやら広間。
居間の奥に広い台所。
古い感じではあるが清潔で整頓されている。
シンクも作業台も冷蔵庫さえも大きい。
台所、と言うより調理場だ。
圧倒されていると玄関戸の開く音。
「ごめん。着替えてからそっち行くね。」
女性の声。
「今来たとこだからゆっくりでいいよ。」
「親父さんは?」
「今日は会合。戻るのは夕方かな。」
「カスミは?」
「まだ戻ってないよ。」
「今何処いるの?」
「昨日はプラハにいたよ。」
プラハってチェコだよなとホクトに尋ねる。
ホクトは黙って頷く。
ぼとなく声の主が調理場に現れる。
「こちらがこの神社の神巫女さん。」
小室アヤの紹介に本人が続く
「橘ユイです。」
「ホクト君の事はユリちゃんから聞いてね。」
「面白そうだから会ってみたくなって。」
霧山ユリの職場体験先の神社はここだったのか。
などと思い返す余裕がホクトにはなかった。
玄関の戸が音を立てた瞬間に背中が震え
それからずっと鳥肌が収まらない。
その原因はきっと、間違いなくこの女性だ。




