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043

境鳥村立中学および小学校

野咲ミク 中学担任

相原リョウコ 小学担任

霧山ユリ 中2

藤アラシ 中2

藤タイスケ 中2

星ホクト 中1

杜人イズミ 中1

霧山アン 小6

藤サクラ 小5

星ミナミ 小4

天城マヤ 小2

射手ヒロ 小1


担任から渡された地図の場所に到着するホクととイズミ。

2人の共通認識は「和風の大きな屋敷」ではあるが

道場たる証の「看板」は見当たらない。

2人顔を見合わせ門をくぐり

正面の引き戸を開ける。

「たのもー」

ホクトのそれなりに大きな声の挨拶にイズミも面食らう。

横に大きな靴入れ。

一段あがって広い空間は半分畳、半分板。

そこには(おそらく)空手の道着の女性と

見覚えのある消防隊員達。

道着の女性がホクトに

「道場破りなら歓迎する。入りなさい。」

ホクトは「失礼します」と靴を脱ぎあがりイズミもそれに続く。

「ピザ職人っ。」

声を発したのは救助隊員タケナカ氏。

「あの時はご馳走様。」

救命隊員のマナベ氏もホクトを認識。

「ピザ職人て?」

道着の女性が尋ねる。

「この子の学校に救命講習に行って」

「石窯で焼いたピザをごちそうになっりまして。」

隊長のヤマオカ氏が返答。

「ピザ勝負なら受けないよ?」

「どうして?」

「職人と呼ばれるような奴相手に勝ち目があるとは思えない。」

「では看板はいただく。」

「フ。我が道場には掲げる看板はないっ。」

「なん、だと。」

膝から崩れ落ちるホクト。

「では仕方ない。今日はこれまでとしよう。」

立ち上がり帰ろうとするホクト。

咄嗟にその襟を掴む道着の女性。

「待て。お前は何しに来た。」

「道場破り以外に道場に来る理由なんてないでしょう。」

「そうなの?」

隣で呆然とするイズミに尋ねる。

「いや、あの、ここで救命講習を受けろと。」

「と言っているが?」

「僕は道場へ行けとしか言われていません。目的は達しました。」

襟を掴んだまま

「人見知りだと聞いていたが冗談も言えるな。」

「話が通っていたならどうしてこんな茶番。」

「もしかしたら逃げ出すかもと言われていたから。」

「おのれ担任。」

道着の女性はホクトを離し、改めて挨拶。

「私はこの道場の師範。小室アヤ。」

「消防の方からの皆さんとは面識があるようだから割愛する。」

「ただもうちょっと待ってくれ。」

「道場の子供達も集まってから始める。」

長い黒髪を後ろで一つに束ねているだけで結構雑な感じではあるが

指揮隊長ヤマオカ氏より少し背が高く

背筋がスッと伸び、ただ立っているだけの姿なのに

ホクトもイズミも見惚れてしまった。

「2人も道場に通うか?」

「もう中学生。」

「高校生もいる。」

「通うの大変。」

「走れ。」

「無理。」

下って橋を渡って登る。

それだけで修練になりそうだ。

「強くなれるぞ。」

ホクトは一瞬考える。

師範小室アヤは見逃さない。

もう一押し、二押し。

「怪獣相手でも?」

何かの「たとえ」か、冗談か。

いいや真剣だ。

「条件による。」

真面目なトーンでの返答にホクトも驚く。

「まずサイズ。」

怪獣、と言うからにはデカイのだろう。

「知能があるのか。」

「それから形態。」

二足歩行なのか四足なのか。それ以外か。

「外殻があるのか?体毛か?」

「素手の攻撃は通りそうか?」

怪獣。と言ったはずだが?

倒す事前提で話ているような?

「もしかして熊くらいに考えていますか?」

「熊の種類とか状態、状況次第で変わる。」

「林とか森の中なら動きに制限あるし」

「足場が悪くても難易度は上がる。」

倒せるの前提?

「肉厚だから打撃は効果的とは言い難い。

「かと言って熊の関節とかよく判らん。」

「先ずは熊と戦うような状況を作らない事を考える。」

熊と戦う状況とは?

いやまあ確かに人里に現れたって話も聞く。

逃げの一手しかないだろう。

身体が動いてくれれば、だけど。

「その怪獣は何かしたのか?」

「何かって?」

「暴れて町を壊すとか。炎を吐いて町を焼き尽くすとか。」」

「判りません。するかも。しないかも。」

小室アヤは「うーん」と唸ってから

「自衛隊って一般人が出動要請できるんかな。」

知らんがな。

「まずは110ですね。」

冷静なオマオカ隊長。

「信じてくれますかね.。」

「怪獣出たら大騒ぎで通報するまでもないでしょうけどね。」

「多分手に負えないって知事から自衛隊に災害派遣要請かな。」

「市町村から県知事でしたっけ?」

「警察って県だよね。」

他の隊員も加わりてんやわんやの中、

小室アヤがぼそりと呟く。

「自衛隊で無理なら私にも倒せないかな。」

実はこの人こそ怪獣なのでは?


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