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境鳥村立中学および小学校
野咲ミク 中学担任
相原リョウコ 小学担任
霧山ユリ 中2
藤アラシ 中2
藤タイスケ 中2
星ホクト 中1
霧山アン 小6
藤サクラ 小5
星ミナミ 小4
天城マヤ 小2
射手ヒロ 小1
JJ・R・R・トールキンは
自身の研究対象であった言語体系の成り立ちとして
ホビットの冒険や指輪物語を創作したと言われている。
「私達が神話や伝説を捏造してしまえと?」
星タツゴロウは笑って頷いた。
その後子供達が書き込んだ模造紙を眺め
「巨人がいるのは横向山かな?」
「その予定です。」
「土砂災害とダムの決壊を想定か。」
なるぼと。と
地図にはない地形の細かい部分を指摘する。
ここから用水路がある。こっちにも畑がある。
結構本気で、いや乗り気になっているように見えた。
それに呼応するように霧山ユリは
相反して急激に熱が冷めているようだった。
ホクトにはそう見えた。
ただだからと言って手抜きを始めたわけでも
あからさまに口を出さなくなったわけではない。
その後も積極的に夏休みにの課題に取り組ん゛多。
霧山ユリの熱量がそのまま祖父に移動してしまっただけだろうか。
夏休み明け間もなくの暑い日。
担任野咲ミクが完成した「怪獣出現に伴う避難計画」を
正面の黒板にマグネットで貼り付ける。
「県に提出する事になったから」
「写真撮るなら今日中にな。」
皆がスマホを取り出し撮影開始。
ホクトは既視感を抱いた。
二枚の地図の「何に」そう感じたのかは判らない。
小学生の頃に歩いた道を思い出したとか
先日の農園や農場を訪問が原因か?とも考えたが
どうやらそうではない。のは感覚で判る。
近付いて、離れて、と何度か不自然で怪しく動くホクトに
妹ミナミが冷たい視線を向けている事に気付く霧山ユリ。
「ホクトがまた何やらやっている」と思ったものの
何をやっているのか判るはずもなく
他の皆がそうしているようにユリもスマホを取り出し撮影しようとする。
正面に立ち、ホクトの横でスマホを構えて立つ。
スマホを横に構え二枚の模造紙を収め、
縦に構えなおし一枚ずつ撮影しようと試みる。
ユリのスマホの画面がホクトの目に入り
その瞬間、背中が冷たくなって震えた。
ホクトは慌て自分の携帯電話を取り出す。
撮影ではなく、撮影された写真を開く。
天文台近くの岩場の先の開けた円形状の空間。
その脇で霧山ユリが撮影した写真。
不自然に削られ成らされた岩の壁。
鋭く細い何かで意図的に削られたような線。
その日に一度見ただけで、それが何かは考えもしなかった。
ホクトは携帯を上下逆さにする。
横向山
八手湖、境鳥川
すぐに気付かなかったのは
山の中に、何かがあったから。
霧山ユリのスマホに通知が届く。
ホクト?
何の写真だ?
全員分の自由研究の課題が提出されたとみなされ、
小学生達は全員が
「ついでに」と他の課題を提出する中
藤兄弟は残りの宿題を片付けるべく早々に帰り支度。
「あと3日で片付くのか?」
担任野咲ミクが心配するフリ。
「24時間ありゃジェット機だってなんたら。」
「ここ(学校)でやってもいんだぞ?」
「夏休みなのに殆ど毎日来たんだ。」
「残り3日くらい夏休ませて。」
藤兄弟は逃げるように帰宅。
「私達は二学期の準備で忙しいから」
「宿題終わったなら残りの夏休み満喫しなさい。」
野咲ミクと相原リョウコは教室から出る。
小学生達は昼食にテングランドへ。
藤サクラがホクトとユリも誘う。
「宿題取りに一度戻るから先に行っていて。」
ホクトが答え、
「私はミクちゃんに呼ばれているから先行ってて。」
小学生は何も疑うことなく教室を出る。
その声が聞こえなくなってから
「黙って送ってきたのは何か理由があるんだよな。」
「見てもらいたいものがあります。」
案内したのは湯の星。ホクトの部屋。
「片付けろ。いやこれは片付いているのか?」
物置替わりに使われていた部屋には多くの段ボール箱。
乱雑に、ではなく部屋の隅に積まれている。
「タツゴロウ冬」「ノリコ秋冬」等記されているので
星家の衣類が置かれているのだろう。
ホクトは机の脇に置かれたタイトルのない段ボール箱を開ける。
取り出したのは「じゆうちょう」。
夏休みが終わる。




