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037

境鳥村立中学および小学校

野咲ミク 中学担任

相原リョウコ 小学担任

霧山ユリ 中2

藤アラシ 中2

藤タイスケ 中2

星ホクト 中1

霧山アン 小6

藤サクラ 小5

星ミナミ 小4

天城マヤ 小2

射手ヒロ 小1


「最後は気道異物の除去についてです。」

「簡単に言うと喉に何か詰まって息ができない人への対応です。」

「何度も言いますがまずは救急車を呼びましょう。」

方法は二つありますが

「生徒の皆さんは一つだけ覚えてください。」

マナベ隊員がリトルスミスを背後から抱え

少し前かがみにさせながら

「背部叩打法です。」

背中の、肩甲骨の間あたりを掌の付け根で

力強く何度も叩く。

叩きながら

「腹部突き上げ法もありますが」

それは先生お二人に覚えていただく事にして

皆さんはこれだけ覚えましょう。

言いながらなおも叩き続けるマナベ隊員の表情を見て

何かしらの闇を抱えているのでは?と誰もが感じていた。

「吐け。吐きやがれこの野郎。」

聞こえるか聞こえないかの声量で荒ぶるので

見兼ねたヤマオカ隊長が

「そろそろ先生方に腹部突き上げ法を。」

「ああ、そうですね。」

汗を拭いながらリトルスミスを後ろから両手をホールドし

「おへその上、みぞおちより下を確認して」

握った拳を手前に、やや上に向かって腹部を突き上げます。」

「ただし、乳児、妊婦には絶対に実施しないように。」

「では実際にやってみましょう。」

全員すべての講習を終えると

「では質問を受け付けます。」

ヤマオカ隊長が言うと真っ先に藤ダイスケが挙手。

「マナベ隊員の好みのタイプは?」

直後に担任からの怒声が飛ぶかと身構えたが何もなし。

振り向くと野咲ミクの姿がない。


中庭の石窯近くではコチキーが丸まっていたが

野咲ミクに気付くと、伸びをしてから弾むように

トットットと小走りで足元にすり寄る。

野咲ミクは蹴らないようにヨロヨロと避けなら

頭巾を被りエプロンを纏って石窯でピザを焼くホクトの元へ。

「もうすぐ終わるがどうだ?」

「大丈夫です。すぐにでも焼けます。」

野咲ミクがスマホを操作しながら

「送った。」

「何処で食べます?外暑いですよ。」

「お前が作業してる理科室でいいよ。」

渡り廊下を渡ってすぐの教室。

「エアコンも付いているしそこの冷蔵庫に麦茶も冷やしてあるから。」

野咲ミクがスマホを見て

「終わったってよ。」

「では焼き始めます。すぐに焼けますから支度始めてください。」

中庭に置かれた会議用長机に並べられたピザ。

ホクトはアルミのピザピール(ピザ用の大きなヘラ)を使い

石窯にピザを入れ、火加減を確認しながら器用にクルクルと回す。

「何でそんな事できるん?」

いつの間にか現れた霧山ユリが背後から覗き込む。

「昨日動画見て。」

長机に並ぶピザを見て呆れるユリ。

「これも全部ホクトが作ったん?」

ホクトは焼きあがったピザを取り出し新しいピザを乗せる。

「いいえ、生地はマヤさんのお父さんに頼んで。」

乗せたピザを再び窯の中へ。

霧山アン、藤サクラが中庭に現れ

「焼けたの持って行っていい?」

「いいよ。どんどん焼くから消防署の人達から食べてもらって。」

「ユリ姉も中で手伝ってよ。ピザ切り分けて。」

「おう。」

入れ替わりで焼けたピザを運ぶ子供達。

何度目かに相原りョウコが現れ

「あと何枚?」

「これともう一枚です。」

「じゃあ私これ持って行くから最後のはホクト君持ってきて。」

ホクトが最後には焼いたピザを持って理科室に入ると

「お疲れ様。これ飲んで。」

相原リョウコがビーカーに入った麦茶を手渡す。

「あ、いや外にペットボトルが」

「冷たいの飲んで。外のは取ってくるから。それより」

「皆にピザの説明してあげて。」

「説明?」

ピザと麦茶を交換して相原リョウコがピザを置くと

霧山ユリがピザカッターで切り分ける。

「これ(ピザカッター)って日本発祥なんだよ。」

「そうなの?イタリア人はどうやってるの/」

「ピザが出てきたらとりあえずナイフとフォークで切り分ける。」

「食べるのは手掴みだけど。」

「で、だ。」

切り分けたピザに手を伸ばす野咲ミクに

「なんで学校にピザカッターあるん?」

「ピザを切る以外に使い道があるのか?」

「そんな事よりホクトよ。」

「消防署の方からいらした皆さんがシェフを呼べと言っているぞ。」

担任の言い方に戸惑いはしたが

苦情や不平不満ではなく感嘆と賞賛だった。

「こんな美味しいピザは食べたことがない。」

お世辞交じりだろうが嬉しい。

「どうやって作ったの?」

説明ってこれか

「生地はそちらの天城さんからの提供で」

マヤが慌てて

「いえ、私ではなくて父が作りました。」

「トマト、ピーマン、バジルはハヤタ農園さん。」

「チーズはヤマト牧場さんからそれぞれいただきました。」

作り方は生地に具材を乗せて焼くだけ。

ホクトも一切れ食べて

「食材が新鮮なので美味しくならないわけがない。」


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