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032

境鳥村立中学および小学校

野咲ミク 中学担任

相原リョウコ 小学担任

霧山ユリ 中2

藤アラシ 中2

藤タイスケ 中2

星ホクト 中1

霧山アン 小6

藤サクラ 小5

星ミナミ 小4

天城マヤ 小2

射手ヒロ 小1


ハヤタ農園から車でほどなく

「ちきんふぁーむGO」の看板。

ハヤタ農園に負けず劣らず広い敷地に大きな建物。

出迎えたのはオーバーオール、長靴、麦わら帽子の男性。

そして足元に大きな犬。

「ゴウです。」

何だから甲高い声の挨拶を子供達は無視して挨拶を返す。

「よろしくお願いしまーす。」

同時に、やはり仰向けに転がる犬を撫でくりまわす。

ゴウ氏は子供達を引き連れ歩くが目の前の大きな建物を素通りする。

「まずはこちらから。」

目の細かい金網で囲われた広い鶏舎。

屋根部分は半分ほどが採光用に透明な板になっている。

中には端に小さな小屋が並ぶだけで

鶏達は自由に動き回っている。

ゴウ氏は二重になっている出入り口を開け子供達を中に案内。

「段差に気を付けてください。」

地面から直接金網ではなく、30cmほどコンクリートの土台がある。」

「イタチやキツネなどは穴を掘って侵入してくるので」

「それなりに深くまでコンクリートで囲っています。」

霧山ユリは通り過ぎた建物を眺めてから

「ここは触れ合い広場的な?」

「いいえ、ただのリスク分散ですよ。」

詳細を聞こうとする前に

「小屋の中に卵が落ちているかもしれません。探して。」

小学生達動き回る鶏をはワーキャーと避けながら卵探索開始する中ユリは

「ここには何羽?」

「20から30羽程度に調整しています。」

「鶏卵用?鶏肉用?」

「主に鶏卵です。」

ユリが他にも質問をしようとするが

「あったー。」「見つけたー」の声に

「では一度預かりましょう。洗浄してお昼に使いましょう。」

ゴウ氏は子供達か卵を受け取りそれをスタッフに渡し

子供達に外の水道で手を洗うよう指示してから

「では次の施設にご案内します。」

先ほど通り過ぎた大きな建物ではなく

その隣にある天井が高く広い倉庫のような建物。

中には両端に小屋があるものの鶏達は放し飼い。

「平飼いと呼ばれる飼育方法です。」

「先ほどの鶏舎とは規模が違うだけ?」

「厳密には異なりますがまあ似たような感じですね。」

「さっきのは屋外でこっちの室内って感じ。」

星ミナミの言葉にぐるりと見渡す。

窓はあるものの開閉はできず空調は換気扇のみ。

「平飼いは地鶏を呼称する条件の一つでもあります。」

「と言っても申請するつもりはないので地鶏にはなりません。」

「どうして?」

「まあいくつか条件があってね。」

「例えば1立方メートルに10羽以下とか。」

「1m1mですよね。そこに10羽って逆に狭くない?」

「だよねー。」

最後に案内されたのが気になっていた大きな建物。

「ここは見学コースからの見学になります。」

通路の先には今までより広い鶏舎。

遠くの端が見えないほど多くのケージに入った鶏がずらりと並ぶ。

「食事はもちろん、照明、空調、温度湿度を管理しています。」

「不意な停電に備え太陽光パネルも設置。」

順路を進むと大きな機械が並ぶ。

「産み落とされた卵はこちらで洗浄、検査になります。」

「今はいろんなセンサーがあるので殆ど人の手は必要ありません。」

「洗浄検査を終えるとサイズ別に分部し梱包です。」

「ぶっちゃけこの施設で人の手が必要なのは箱詰めから出荷までですね。」

燥いでいた子供達もこの鶏舎に入ってから一言も喋らない。

ゴウ氏の言葉だけが響く違和感に気付いたのはホクトだった。

「鶏の声が聞こえませんね。」

「この先に入るには消毒し、清潔な作業服を着る必要があります。」

「1日どれくらいの卵が収穫できますか?」

「ここでは1万から1万5千です。」

「随分と幅があるような?」

「休ませたり入れ替えたりしますから。」

霧山ユリがさらに質問しようとするが

「申し訳ないがあまり答えられません。」

「どうして?」

「いやあ貴方たちの先生から見せるだけでいいからと。」

「は?」

「見せるだけ見せたら自分たちで考えさせるからって。」

「ミクちゃん先生か。判りました。ありがとうございます。」

「本当はね、もっといろいろと説明したいんだよ?本当だよ?」


その後敷地内にある別棟の事務所に案内され

食堂兼会議室へと通される。

席に着くと

「お待たせしました。さきぼど皆さんが採った卵を使ったオムライスです。」

「ちなみにお米と玉ねぎピーマンはハヤタ農園産です。」

目を輝かせる子供達。

一斉に「いただきます」と同時に食事開始。

美味しさに唸り、舌鼓を打つ子供達の中、ただ一人静かに

霧山ユリが尋ねる。

「鶏達って何年くらい卵を産みますか/」

「7~8年くらいは産むと言われていますが」

「うちでは2年ほどで入れ替えますね。」

霧山ユリは手を止める。

「ここからいなくなった鶏はどうなるのでしょう。」

「殆どは食用に回ります。」

全員が手を止める。

ゴウ氏はただならぬ空気を察した。

「あ、いや、違いますよ?」

「オムライスの中のお肉はスーパーで買ったものですよ?」

肉が固くなるので加工用に利用されるからと必死に伝えた。


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