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境鳥村立中学および小学校

野咲ミク 中学担任

相原リョウコ 小学担任

霧山ユリ 中2

藤アラシ 中2

藤タイスケ 中2

星ホクト 中1

霧山アン 小6

藤サクラ 小5

星ミナミ 小4

天城マヤ 小2

射手ヒロ 小1


正午近くになり片付け始めるホクトに

「お昼あるからここで食べましょう。」

それじゃあと電話を取り出すと

「ミナミちゃんに言ってあるから大丈夫。手洗いに行こう。」

管理棟内のトイレで手を洗い戻り

ダム管理棟展望室のベンチで霧山ユリの持参したサンドウィッチを食べる。

「ここって食事しても平気なのかな。」

「前に黒部さんが大丈夫って言ってた。」

混んでいなければ。とも言われたが

ホクトとユリ以外に観光客はいない。

「避暑地っていうほど高い場所にもないし」

「天文台も一般開放していないし」

「ダムには自販機が一つとパンフレットがあるだけ。」

「中にも外にも売店も食堂もない。」

「職員はどうしてるのか聞いたら皆お弁当だって。」

いつそんな事聞いたのか詳しい。

「そもそもこの温泉街って」

霧山ユリは立ち上がり

温泉街が見える窓の前まで行って見下ろす。

「ホテルと旅館以外はテングランドしかない。」

小さな村とはいえコンビニもない。

「今まではこれが当たり前だったから」

「でも、ちょっとおかしいと思わない?」

村や温泉街の事情を知らないホクトは

こうなっているのだから、そうなのだろう。としか思えなかったのだが

ユリのスケッチを見てそれを改めた。

学校、湯の星、ホテル大太楼、

ホテルシエルシャトー、テングランド、霧山荘。

それからマンション2棟

「なんというか、いろいろと足らないような?」

「例えば?」

「公共施設がひとつもない。あ、学校はあるけど。」

「役場はトシちゃんの、大太楼の中にあるよ。交番と消防分署も。」

「なにそれ。いいの?」

「いいか悪いかは知らんよ。」

「郵便局とか銀行は」

「それも大太楼の中にある。」

「なにそれいいの?」

「知らんがな。」

「大太楼の中ってどうなってるんですか。他にもまだ何かありそう。」

「小さいけどケーセンあるよ。ダイスケが貢いでる。」

「コンビニもスーパーもないけど普段の買い物はどうしているのかな。」

「ネット。もしくは」

頼代(よりしろ)の商店街かスーパーじゃないかな。」

川の向こうの市にある商店街。

以前一緒にそこの喫茶店に入ったが他の店は覚えていない。

「学校で必要な物は学校で買えるね。」

他に必要な施設って

「あ、大事な物が、病院は?」

「診療所がある。」

「もしかしてまた大太楼の中?」

「いや、マンションの一階。薬局も一緒。」

「ちなみにもう一棟のマンションに介護施設ある。」

「幼稚園とか保育園とかは?」

「ああ、それは無いなぁ。でも」

「うちにも他のホテルにも託児所あるから必要無いんじゃないかな。」

「聞く限り住みやすそう。他に何か必要?」

「ドンキとかモスとかピザも配達圏外。」

「温泉街の向こうにも何軒かありますよね?」

「農家と養鶏場と山羊の牧場ならある。」

「ヤギ?ヤギって、ヤギ? 」

「他に何の山羊がある。あと羊もいる。」

「山羊と羊って一緒に飼えるの?」

「一緒ではないよ。別々の場所にいる。」

「あと馬と犬もいたかな。」

ホクトが興味を持ったようなので

「マッピングついでに全部見て回るか。」

夏休みの予定が決まった。

が、

ホクトは夏休みの課題「写生画」の存在をすっかり忘れ

未完成の作品がしばらく教室の後ろ壁に飾られた。


帰宅後、夕食を済ませ明日の支度をしていると

風呂上りのミナミがガリガリ君を咥えながら

「ん。」

ホクトにもガリガリ君を差し出す。

「ありがとう。」

「いやこれホクトのだから。」

アイスを渡すと

「明日出掛けるんでしょ?」

「うん。防災マップ作りにあちこち行く。」

「牧場も行くんでしょ?」

「知ってるの?」

「アンちゃんから聞いた。私も行くから。」

ホクトがその言葉に答える前にホクトの電話が震える。

「相原先生からだ。」

ホクトが電話に出て会話中、ミナミは部屋を見渡す。

電話を終えると

「リョウコちゃん先生なんだって?」

「私が引率するから家で待ってなさいって。」

「ユリさんが野咲先生に相談したら」

「いつの間にか全員参加になったみたい。」

「ふーん。アイス溶けるよ。」

慌てて封を開け食べ始める。

「明日何持って行けばいい?」

「飲み物とタオルくらいかな。」

「虫除けとか汗拭きシートとかは?」

「それは僕が持って行くよ。お昼は持って行かなくていいって。」

「じゃあ私ばあちゃんにカメラ借りる。」


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