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第一話 

第二章

最初に空が変わったのは、六月の終わりだった。

あの日のことは、今でもはっきり覚えている。梅雨特有のどこか重いような湿った風が吹いて、遠くで雷みたいな音がした。 けれど、あれは雷じゃなかった。

「誠、早く!」

千春が手を振っている。 放課後の帰り道、いつもの坂道。 制服の袖をまくった腕が、夕陽に照らされて赤く染まっていた。

「そんな急ぐことある?」

「あるよ。ほら、見て」

彼女が指さした空には、黒い点のような影があった。鳥のような。 だが違う。 あれは羽ばたきもせず、低空を這うようにその影を大きくしている。

「、、、あれは、飛行機?」

「戦闘機だよ。珍しいな、この辺りを飛ぶなんて」

胸の奥が変にざわついた。 理由はわからない。 ただ、嫌な予感だけが、じわりといやな汗とともに広がっていく。

影はますます大きくなり、 風が変わった。 湿った夏の空気が、一瞬だけ、ぴたりと冷え込む。

「ねえ誠、、、なんか、近づいてきてない?」

千春の声が震えていた。 僕は答えられなかった。

次の瞬間、空が裂けたような轟音が響いた。

耳が痛い。 地面が揺れる。 千春が思わず僕の腕を掴んだ。

その瞬間、僕は初めて知った。 “戦争”という言葉が、教科書の中だけのものじゃないことを


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