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第九話

翌日から、学校は“別の場所”になった。


教室の前には帝国兵が立ち、 黒板には帝国の旗が掲げられ、 授業はすべて帝国式に置き換えられた。


「帝国による統治は正義である」 「帝国に従うことは市民の義務である」


そんな文章を、 兵士が無表情に読み上げる。


誠は机の下で拳を握った。


千春は怯えたように小さくなっている。


だが、教室の中には―― その言葉に頷く生徒がいた。


「従っておけば安全だよ」 「逆らっても意味ないし」 「帝国の人、優しい時もあるよ?」


誠は信じられなかった。


同じ教室にいるのに、 同じものを見ているはずなのに、 どうしてこんなに違うんだ。


胸の奥がざわつく。




今日もまた、生徒が一人連れていかれる。


ありもしない内容を告げられたクラスメイトは、顔を青くし、つれていかれる。


しかし、それを見て笑みを浮かべるものがいる。


どうやら彼が報告(密告)したようだ。


気に入らない生徒を虚偽の内容で告げ口をする。


ここはもう平和なクラスなんかじゃない。









密告をされ、つれていかれる生徒たちはみな、2,3日たつと戻ってくる。




今日も一人、帰ってきた。




だが―― 別人になっていた。


腕にも、背中にも、首にも、 服の上からでもわかるほどのあざ。


歩き方はぎこちしく、 目は焦点が合っていない。


千春が息を呑む。


「……ひどい……」


男子は席に座ったが、 誰とも目を合わせなかった。

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