ティータイム2
「……その……皆の従者は、嫉妬とかしてこない?」
「うちの子はね、寂しがり屋だからしょっちゅう構ってあげないと拗ねちゃうわ」
「従者いくつだと思ってる?」
赤の魔女の問いかけに笑顔で応える緑の魔女。
しかしまるで年齢一桁の子供のような対処に、黒の魔女は長命種と短命種の時間感覚の齟齬を見た。
「嫉妬……? わたくしが育てているのはあの子だけだからされることもないわ」
「こっちもこっちで何か違うな」
子育ての嫉妬問題を問うているわけではないとわかっているのは黒の魔女だけらしい。赤の魔女は縋るような目で黒の魔女を見た。
「黒の。ねえ、あなたは? 従者が嫉妬して暴れたりしない?」
「必死か。嫉妬というより不安でいっぱいだぞうちの豆腐は。暴れる元気もないから多分あっちであたしの姿が見えなくてそわそわしてる」
「あらぁ可愛いわね~」
「緑の強いな。あの見た目ゴリラ見ただろ」
「ああ……じゃあうちだけなのね……」
頭を抱えて丸くなる赤の魔女。額がテーブルにゴツンとぶつかった。
銀の魔女は赤の魔女が何を言いたいのかわからず、確認するように問うた。
「つまりあなたの従者が嫉妬深いの? 新しく拾ってきた子に嫉妬でもするの? 子供は複数いると親の愛を求めて嫉妬すると聞くし、当然の流れではなくて?」
「……殺しちゃうの」
ぼそっと零された言葉に、流石の魔女達も固まる。
「あの子、私が拾ってくる子を殺しちゃうの……私の愛は自分一人に注がれればそれでいいって……」
「思った以上に嫉妬深かった」
なんとなく察していた黒の魔女は呆れた顔をして嘆息した。
考えてもいない展開に、銀の魔女は言葉を探し……静かに一言。
「……これ以上拾うのは、やめましょう」
「知ってからは拾ってないわ!」
「やべえ何人か消えてる」
「過激な子だったのね~」
びっくりしたわと目を丸くする緑の魔女。
そう言う問題ではないが、全くもってその通りだ。過激。
「で、おいたした従者をお仕置きしたいって事でいいのか? 何分の一殺しまでだ?」
「違うわ! あの子達の冥福は勿論祈るし、許された事じゃないけれど……これからどうあの子と付き合っていくべきか悩んでいて……」
「おい恋愛相談しようとするな管轄外だ」
復讐しないと知って引き下がる黒の魔女。代わりに緑の魔女が身を乗り出した。
「憎からず思っているなら話し合いね。お互いの妥協点を見付けないと従者君が暴走しちゃうわ」
「話せるかしら……」
「まずは気持ちを伝えるの。大事なら大事と伝えてあげて。その後に赤の魔女ちゃんが気にしている事を教えて、解決策を考えましょう。大丈夫よ! 従者君も手を染めるくらい赤の魔女ちゃんが大好きだもの!」
「笑顔でとんでもねぇ喩えしてきたわ」
素知らぬ顔をしようと思ったのに、緑の魔女の発言に思わず黒の魔女も驚いた。赤の魔女は魂が抜けた顔をしている。
そんな三人を呆れた眼差しで見ていた銀の魔女は、くだらないと一蹴する。
「従者といえど所詮人間なのだから、そこまで悩む必要もないでしょう。彼らの時間はと手も短いの。少し我慢すればすぐ儚くなるわ」
お、と黒の魔女は片眉を上げた。
赤の魔女は肩を落とし、緑の魔女は大きな目をまん丸にする。
「珍しいな。銀のが失言するとか」
「わたくしが失言?」
「自覚ねぇのが面白いな。いいぜ、言ってろよ」
にやりと笑った黒の魔女は、口端に付いた食べかすを舌で舐めとった。
「近いうちに後悔するだろうからさ」
――黒の魔女の宣言通り、銀の魔女は数年後、後悔する事になる。
次回、一方その頃従者達。




