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魔女達のティータイム  作者: こう


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ティータイム1


 オルテイウス国の南部。陽気な人々が暮す更に奥。人の踏み入れない樹海の奥には魔が満ちていた。

 満ちた魔の影響で巨大化した植物が、闊歩する動物を養分として食い荒らす。

 そんな危険な場所に、ティーテーブルを囲む四つの影があった。


「アー疲れた。フェイクを四つも用意しやがって。国を一周してきたわ」


 そう言って姿勢悪く椅子に腰掛けるのは、黒髪に紫水晶の目をした美女。少年のように短い髪をかき混ぜて、背もたれに大きく寄りかかる。


「知っているヒントがあって助かったわ~。あれに気付かなかったら、私もぐるぐる同じ所を廻っていたかも!」


 明るく、楽しそうに微笑む亜麻色の髪をした少女。緑のワンピースに白いエプロンドレスが、ほのぼのした空気にとても似合う。


「その、遅れてごめんなさい……。迷わなかったけれど、出発が遅れてしまって……」


 肩身が狭いとばかりに身を竦ませているのは、浅黒い肌と瞳を持つ異形の女。黄金の瞳を困ったように彷徨わせ、高い背を精一杯縮めて小さくなっている。

 空席が埋まったのを確認した銀髪の女が、眼鏡の位置を直しながら口を開いた。


「これより【魔女集会】を開催します」


 言い終わるのと同時に、四人の前に紅茶が並ぶ。

 光の粒がテーブルを駆け巡り、軽食と焼き菓子が人数分現れた。


「まずは近況報告を。新しい魔女を見付けた人はいる? 棲んでいる土地の状況は把握していて? 同じ魔を宿した魔女同士、しっかり情報は共有しましょう」

「そのつもりがあるなら集会場所のお知らせは謎解きじゃなくて隠し文字とかにしろよ。謎解きが面倒くさい」

「たまには頭を使わないと衰えてしまうわ」

「改善する気はねぇのな」


 嫌そうに顔を歪ませた黒髪の女は、行儀悪く焼き菓子を手掴みにして大きな口で頬張った。食べかすが溢れるが全く気にせず口に詰め込んでいく。


「あの、近況報告の前に一ついい?」


 そっと手を上げたのは、肩を丸めて小さくなっていた異形の女。


「では、赤の魔女どうぞ」

「その呼び方やめてちょうだい」


 が、すぐに脱線した。


「なら棲んでいる場所から山の魔女?」

「それを言うならあたし森の魔女になるんだが」

「毎回そこで躓くわよね~。身体的特徴で呼んだ方がわかりやすいから我慢しましょ? 棲んでいる場所だと、私も森の魔女になるモノ」


 魔を宿している魔女達は、自分でも把握出来ない所でその魔が行使される時がある。

 とくに言葉は意味を持つ音なので、命令したり相手を支配したりするのにとても便利。相手の名前がわかると魂すら握る事ができるので、できるだけ名前を口にしないようにしていた。

 魔女同士も適用して、あだ名も長年使えば互いに自分を意味していると認識するので、言葉の魔女句が影響しやすくなる。なので定期的に変えようとするのだが、結局色に落ち着いていた。


 黒髪の、黒の魔女。

 銀髪の、銀の魔女。

 赤毛の、赤の魔女。

 緑の服を着た、緑の魔女。


 一人だけ由来が違うが、いつも緑の服なのでそちらで覚えられていた。


「……我慢。そうね……ええ、ごめんなさい……その、皆に聞きたいのだけれど」

「おう」

「どうしたの」

「なぁに?」

「……従者の子について」


 恐る恐ると口にしたのは、今回の集会に連れて来た従者の事だった。

 驚いた事に、全員が人間の従者を連れていた。


 黒の魔女の従者は、身体を徹底的に鍛えた筋肉隆々の大男。

 銀の魔女の従者は、彼女と同じ眼鏡をした長身の男。

 赤の魔女の従者は、小柄で華奢で愛想はないが、自分の魔女をじっと見つめていた男。

 緑の魔女の従者は、ひょろりとしていたが誰よりも荷物を抱えて甲斐甲斐しい男だった。


 そんな従者達は魔女達と同じように、従者達は少し離れた場所でお茶会をしている。

 危険な植物だらけだが、銀の従者が魔法を使って結界を張っていたので問題ないはずだ。


 それがどうしたのかと、銀の魔女は首を傾げる。首を竦めて小さくなる赤の魔女に、黒の魔女は何かを察してお茶を飲んだ。この草木生い茂る中で、赤の従者だけ足音が小さかったのを黒の魔女はしっかり覚えている。


 嫌な予感を察知。


「従者の子? とってもいい子なのよ! 少し前に拾ったのだけれど、どんくさい私の代わりにお料理や掃除を手伝ってくれるの! あの子の作るミートパイ以外はもう食べれそうもないわ!」

「嘘だろ平和かよ」


 しかし緑の魔女のとても天真爛漫な笑顔に出鼻をくじかれた。

 お花が舞っている。


「流石、緑の魔女……でもあなたの従者も、獲物を狙う目をしていたわよ……?」

「獲物?」

「兎でもいたのかしら?」

「嘘だろ銀のもわかってねぇの?」

「貴方が兎にならないことを祈るわ……」


 緑の魔女はほんわかしていたが、銀の魔女は本気で理解できないらしい。真剣に考えているようだが、問題点の見付かっていない顔をしている。


 赤の魔女は縋るような目で黒の魔女を見た。

 黒の魔女は粗暴な面が強いが、察しが良いので彼女が聞きたい事は分かっていた。


 あの従者、なんか問題あるんだろうな。

 だから他の従者達について聞きたいのだ。


「あいつは少し前に拾った。行く当てもないし死にたくないらしかったし。一人で生き抜く技術は教えこんだんだけどねぇ、どうも独り立ちしない。まだまだ親離れができてねぇな。能力ばっかり身について豆腐メンタルでどうしようもない」

「手厳しいわね」

「お、親離れ……親離れね……」


 なるほどと頷く銀の魔女と、遠い目をする赤の魔女。

 多分聞きたい話と違うんだろうなと思ったが、期待に応えるような話は一切ない。


「うちのはメンタル雑魚だからな。比較にならねぇと思うぞ」

「メンタルの問題なの?」

「でもちゃんと育てたのね、偉いわ黒の魔女ちゃん」

「勝手に育ったみたいなもんだけどな」

「でもあの子の肩、凄い筋肉よ? あなたが鍛えたのではないの?」

「やり過ぎて人の皮を被ったゴリラになったのは認める」

「あなた……」


 呆れた顔をした銀の魔女は、前に垂れた銀髪を耳に掛けて嘆息した。


「わたくしも気まぐれで拾って、今教育中よ。何事も計画性が大事なようだから気を付けるわ」

「流石銀の魔女! 教育熱心ね!」

「流石銀の魔女。イケナイ女教師」

「黒の魔女は集会後少し残りなさい」

「居残り授業とか拒否だわ」

「銀の魔女はあの従者をどこまで育てるつもりなの……?」


 やんやと騒ぐ魔女達だが、赤の魔女の疑問通り、銀の従者は人間では難しい結界も当たり前のように張っていた。人間でなければ後継者に近いレベルで知識が詰め込まれていそうである。


「で、言い出しっぺの赤の魔女は従者がどうしたって?」


 三人の視線が赤の魔女へと向かう。

 赤の魔女は、怖々と口を開いた。



見登場の魔女達の説明は、魔女達の登場するお話で。

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