第89話『決着の刻』
封印の間に満ちる闇と適応の力。
ユークとザヴァートの刃が交錯するたび、空間が悲鳴を上げるように揺れ、魔力の奔流が爆ぜる。
「クク……見事だ。だが、これでどうだ?」
ザヴァートの《奈落の剣》が奔流となって襲いかかる。
純粋な斬撃ではない。斬撃そのものが“呪い”となっており、掠っただけで魔力を喰われる死の一撃。
「……甘い」
ユークの身体が、まるで風に溶けるように動いた。
直撃するはずだった一撃は、髪の毛一本すらかすめることなく宙を裂く。
「何……?」
ザヴァートの目がわずかに揺らぐ。
その一瞬——ユークはすでに懐へと入り込んでいた。
「お前の剣は見切った」
刹那、ユークの剣が閃く。
轟音とともに、ザヴァートの防御を切り裂く一閃。
だが、ザヴァートは即座に後方へ跳躍し、間合いを取る。
左肩から黒い霧が噴き出し、傷がふさがっていく。
「……なるほどな。貴様のスキル、万能適応……」
ザヴァートは剣を構え直し、目を細める。
「ならば、この速度はどうだ?」
次の瞬間、ザヴァートの身体が掻き消えた。
——否、超速で移動したのだ。
魔力の爆発を伴い、黒い軌跡が空間を裂く。
ユークの首を狙う斬撃。
しかし——
「……遅い」
ユークの身体が自然と傾ぎ、ザヴァートの剣が空を切る。
「……バカな!」
ザヴァートが驚愕した次の瞬間——
「俺の番だ」
ユークの剣が、残像すら残さぬ速さで閃いた。
一閃。
ザヴァートの胸元を貫く、絶対の斬撃。
「……が……っ!」
ザヴァートの身体が硬直し、闇の力が弾けるように霧散する。
ユークは剣を引き抜き、静かに息を吐いた。
「あんたは強かったよ。でも……俺は、もっと先へ行く」
ザヴァートは崩れ落ちながら、不敵に笑う。
「フ……フフ……なるほど……それが……万能適応……か……」
そう呟くと、彼の身体は闇と共に消え去った。
***
静寂が訪れる。
ユークは剣を収め、封印の中心へと歩みを進めた。
今度こそ——封印を解く時だ。
「……行くぞ」
光が空間を満たし、新たな物語が動き出す。
——次回、封印の真実が明かされる!
読んでいただきありがとうごさいます!
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