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第78話 封じられた扉

 夜明け前の静寂の中、ユークとセリナは学都ルミナスの東へと向かっていた。


 ローブの男との戦いは終わった。しかし、戦いの最中に仕掛けられた封印はまだ解けていない。この学都全体が何者かによって閉じ込められているのだ。


「……封印の鍵の場所は分かったのか?」


 ユークは隣を歩くセリナに尋ねる。彼女は魔力探知を使いながら、慎重に進んでいた。


「いいえ、まだ特定できていないわ。でも……魔力の流れを追っていけば、何かしらの手がかりが見つかるはず」


 ユークは小さく頷いた。


「まずはその”魔力の流れ”が集中している場所を探ろう。封印があるなら、必ず何かしらの痕跡があるはずだ」


「ええ。学都の中央部……大図書館の地下にも異常な魔力反応があったけど、もう一つ気になるのがこの東の区域なの」


 セリナは前方を指差した。


「東の端に、古い扉があるわ。そこに魔力の流れが集まってるの。でも、扉の奥がどうなっているのかは分からない……」


 ユークは剣の柄を握りながら、その先にある建物を見つめた。


「なら、行って確かめるしかないな」


 ***


 学都の東端に、長年放置されてきた貯水施設がある。その地下には、誰も近寄らない”古い扉”が存在していた。


「これが……」


 ユークは目の前の扉を見上げた。風化した石造りの扉には、古代文字が刻まれている。しかし、その意味は判然としなかった。


「ここに封印の鍵が?」


 ユークが確認するように問いかけると、セリナは首を横に振る。


「鍵があるかどうかは分からない。でも、この扉が封印の魔力と関係しているのは間違いないわ」


 彼女はそっと手をかざし、魔力探知を行う。


「……やっぱり、何かが奥にある。でも、それが何なのかまでは分からない……」


 ユークは剣を握りしめた。


「なら、開けてみるしかないな」


 その瞬間——


 ゴゴゴゴ……ッ!


 扉がわずかに振動し、周囲の空気が重くなる。


「っ……この感覚……!」


 ユークは直感的に後ろへ跳んだ。直後、扉の隙間から黒い霧が漏れ出し、それはまるで意思を持つかのようにうごめき始めた。


「封印の守護者……!」


 セリナが息を呑む。


「やっぱり……この扉を守る”何か”がいたのね!」


 ユークは剣を構えた。


「つまり、この扉の奥には封印の鍵に繋がる何かがある可能性が高いってことだな」


「ええ。でも……この守護者を倒せるかしら?」


 黒い霧が形を変え、巨大な獣のような姿になった。


 ユークは迷わず前へ踏み込む。


「やるしかないだろう!」


 剣を振りかざし、霧の獣へと切り込む。


 封印の鍵はまだ見つかっていない。だが、この扉の奥に何かがある。


 それが、学都ルミナスを覆う封印を解くための手がかりになるかもしれない。


 ユークの剣が、霧の闇を切り裂く——。

読んでいただきありがとうごさいます!

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