第77話 封印を解く鍵
学都は静寂に包まれていた。
しかし、その静けさの裏で確実に異変が起こっている。
ユークとセリナは、学長グラン・ロウヴァンから告げられた衝撃の事実を胸に、学長室を後にした。
——この学都は封印され、外界から隔絶された。
——そして封印を解く鍵の一つは、ユーク自身の“万能適応”にある。
「……これから、どうする?」
セリナがユークの隣を歩きながら問いかける。
ユークはしばらく黙ったまま考え込んだ。
「まずは、封印を解くために必要なもう二つの鍵——“魔力探知を極めし者”と“刻印の書を解読する者”を探す必要がある」
「でも……“刻印の書”って何なの?」
セリナの問いに、ユークは学長から渡された書物を開きながら答えた。
「古の封印について記された書物にこうある。封印の術式は特殊な“刻印”によって形成されている。その構造を解読することで、封印の解除が可能となる……と」
「つまり、その“刻印の書”を読める人が必要ってことね」
「ああ」
ユークは静かに頷く。
「そして、もう一つの鍵——魔力探知を極めし者についても手がかりが必要だ」
セリナは少し考えた後、そっと口を開いた。
「魔力探知……なら、私も少しはできるけど……」
「セリナ」
ユークは真剣な眼差しを向ける。
「お前の魔力探知が、どこまで通用するか試してみてくれ」
セリナは一瞬戸惑ったが、すぐに覚悟を決めたように頷いた。
「……わかった。やってみる!」
彼女は立ち止まり、静かに目を閉じた。
魔力探知——それは、周囲に満ちる魔力の流れを感知し、不可視のエネルギーを“視る”力。
今までセリナはこの力を応用し、敵の魔力や罠の存在を察知してきた。
だが、それはあくまで基本的な範囲の探知に過ぎない。
(もっと……広く、深く……)
セリナは集中し、魔力を研ぎ澄ませる。
——そして、次の瞬間。
「……!?」
彼女の意識に、奇妙な魔力の流れが飛び込んできた。
「ユーク!」
セリナは目を見開き、ユークの腕を掴む。
「どうした?」
「……学都の東側。何か、強い魔力の反応がある……!」
ユークの表情が引き締まる。
(まさか、封印に関わる何かか……?)
「行こう、セリナ!」
ユークは迷わず駆け出した。
セリナもすぐに後を追う。
封印の謎を解くための第一歩——
二人は、学都の東へと向かうのだった。
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