↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/102

第76話 封印の鍵と学長の決断

 ルミナス学都の中心部にそびえる学術院本館。その最奥に位置する学長室の扉を、ユークは強く叩いた。


「……入れ」


 中から響いたのは、低く威厳に満ちた声。


 ユークとセリナは目を交わし、ゆっくりと扉を開ける。


 重厚な書棚に囲まれた部屋の奥、巨大な机の向こうに座る男——学都ルミナスの学長、グラン・ロウヴァンが鋭い眼差しを向けてきた。


「ようこそ、ユーク・アーデル。君とはいずれ話す機会があると思っていたが……まさか、このような状況で訪れることになるとはな」


 長い白髪を背に流し、深い蒼のローブをまとった老賢者。その瞳には、全てを見透かすような光が宿っている。


「学長……単刀直入に聞きます」


 ユークは鋭い視線を向け、言葉を続けた。


「この学都には封印が施されている。そして、それはローブの男が仕掛けたものだ」


「……ほう」


 グランは目を細め、深く頷く。


「なるほど。やはり君は気づいたか」


 その言葉に、セリナが驚いたように顔を上げた。


「学長……ご存じだったのですか?」


「無論だ」


 グランは静かに立ち上がり、壁に掛けられた古びた地図を指し示した。


「このルミナス学都は、かつて“古の封印”の守護を担う地だった。そしてその核となるのが——封印の鍵だ」


「封印の鍵……!」


 ユークは眉をひそめる。


「それが今、どうなっているのか知っていますか?」


 グランは一瞬だけ沈黙した後、静かに答えた。


「……おそらく、ローブの男が奪った」


「……ッ!」


 セリナが息を呑む。


「では……この封印は?」


「既に発動している。君たちが戦っている間にな」


 グランは重々しく言葉を紡いだ。


「学都は、外界から完全に遮断された。今この瞬間、誰もこの地を出ることはできない」


 ユークは拳を握りしめる。


(奴の目的は、俺たちをここに閉じ込めることだったのか……)


「だが」


 グランはユークの表情を見据え、続ける。


「封印は完全ではない」


「……どういうことです?」


「“封印の鍵”は奪われた。しかし、封印そのものを解く手段がないわけではない」


 グランは机の引き出しを開き、一冊の分厚い書物を取り出した。


「これは、“古の封印”について記された文献だ。ここに記されている方法を用いれば、封印を強制解除できる可能性がある」


 ユークはその本を受け取り、パラパラとめくる。


 そこに記されていたのは、封印を打ち破るために必要な三つの鍵——

 1.魔力探知を極めし者

 2.刻印の書を解読する者

 3.“適応する者”


「……適応する者?」


 ユークは違和感を覚えた。


(まさか……)


 グランはユークを見据え、ゆっくりと頷く。


「“万能適応(オールマイティ)”を持つ君こそ、この封印を解く鍵の一つなのだ」


「……俺が?」


 ユークの目が鋭く光る。


 封印を破るために必要な三つの要素——


 そのうちの一つが、まさか自分自身だったとは。


「……面白くなってきたな」


 ユークは剣の柄を握りしめ、ゆっくりと息をつく。


(だったら、やるしかない)


 封印を破るため、そしてローブの男の本当の目的を探るため——


 ユークは、次なる行動を決意した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。