第73話 万能なる極致
夜の学都に、剣戟の音が鋭く響いた。
ガキィンッ!!
ユークの剣とローブの男の黒刃が激しくぶつかり合い、衝撃波が広場に広がる。
「クク……やるな」
ローブの男が影を纏いながら笑った。
ユークは冷静に剣を構え、ローブの男を睨みつける。
「万能適応……本当に万能なのか、試してやろう」
ローブの男の背後から無数の黒い槍が形成される。
それが一斉にユークを貫こうと迫った瞬間——
「《フレイム・ウォール》!」
ゴォォォォォッ!!
ユークの周囲に紅蓮の炎が立ち上がる。
迫り来る黒槍が火に触れた瞬間、砕け散った。
「炎……?」
ローブの男が目を細める。
「万能適応は”属性”にも対応できる」
ユークは冷たく呟くと、剣を突き出した。
「《フリーズ・ランス》!」
剣先から放たれた氷の槍が、ローブの男を貫こうとする。
ローブの男は影を展開し、それを防ぐ。
「氷もか……」
「当然だ」
ユークが剣を構え直した瞬間、足元に影が広がる。
「逃がさないぞ……!」
ローブの男が影を鞭のように操り、ユークの動きを封じようとする。
——が、ユークの瞳が鋭く光る。
「《サンダー・ブラスト》!」
バリバリバリッ!!!
ユークの剣から雷光が放たれ、影を焼き払った。
ローブの男が苦悶の表情を浮かべる。
「クッ……!」
「まだ終わりじゃない」
ユークが手を広げると、彼の周囲に炎・氷・雷の魔力が渦を巻く。
「《エレメンタル・コンバイン》!」
ゴォォォォ!!
炎と氷と雷が絡み合い、一つの巨大な槍となってユークの手に形成される。
「……そんなことが……!」
ユークの瞳が冷たく光る。
「万能適応は”融合”にも対応する」
ユークが槍を振りかざした瞬間——
「——消えろ」
「《トリニティ・スパイラル》!」
ドォォォン!!
雷と炎と氷が絡み合いながら螺旋を描き、ローブの男に叩きつけられた。
凄まじい爆風が広場を包む。
「がっ……!!」
ローブの男が膝をつき、黒い霧が体から漏れ出す。
「まさか……これほどの力とは……」
ユークは剣を収め、冷たく言い放つ。
「終わりだ」
「まだ……終わらん……!」
ローブの男が再び影を纏おうとした瞬間——
ユークが剣を突き出す。
「《シャドウ・ブレイク》!」
ズバァァァァァァッ!!
ユークの剣が黒い影を切り裂き、ローブの男の体を貫いた。
ローブの男の体が崩れ、影が霧散していく。
「……ぐぅ……」
ローブの男が膝をつき、苦しげに呻く。
「貴様……一体……」
ユークの瞳が冷たく光る。
「万能なる者。それが俺だ」
ローブの男の体が完全に霧散し、消え去る。
ユークは静かに剣を収める。
「……終わったか」
「ユーク!」
セリナが駆け寄ってくる。
「大丈夫!?」
ユークは静かに頷く。
「問題ない」
「……本当にすごいわね」
セリナが微笑み、ユークを見つめる。
ユークは夜空を見上げる。
暗闇の中に、一筋の流れ星が光った。
「……次は”鍵”か」
ユークの目が静かに細められる。
セリナがユークの手を握る。
「きっと……大丈夫よ」
ユークは微かに微笑むと、静かに歩き出した。
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