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第64話 『交錯する思惑』

 《アルカナの塔》を後にしたユークとセリナは、夜の闇に包まれた王都の石畳を静かに歩いていた。


 王城での《魔導晩餐会》を経て、ついにユークたちは《王家の聖剣(エクス・ルミナス)》の秘密に辿り着いた。しかし、それは同時に、黒の書が孕む“真の脅威”を知ることでもあった。


「……まさか《王家の聖剣》が、黒の書を封印するために作られたものだったなんて」


 セリナが不安げな声を漏らす。


「そして、その聖剣を解放すれば、黒の書の力を完全に消し去ることができる……」


「だが、同時に塔を維持する魔力も失われることになる」


 ユークは険しい表情でつぶやいた。


「それでも……やるしかないんだろうな」


 セリナはユークを見上げた。


「本当に、やるの?」


「ああ。黒の書が存在する限り、塔も王国も、そしてお前も安全ではいられない」


「……でも、塔が崩れたら……」


「その時は……俺がなんとかする」


 ユークはセリナの手を優しく握った。


「セリナ。お前を守ると決めたんだ」


 セリナは驚いたようにユークを見つめ、やがて小さく微笑んだ。


「……ありがとう」


 その時——


 突然、二人の背後から強烈な魔力が放たれた。


「誰だ!」


 ユークが即座に振り返り、剣を抜いた。


 闇の中から現れたのは、一人のフードをかぶった人物だった。


「……ユーク・アーデル。そしてセリナ・エルフェリアか」


「お前は……誰だ?」


 フードの奥から、冷たい笑みが浮かぶ。


「王家の聖剣を狙っている者——とでも言っておこうか」


「……何?」


 その瞬間、フードの男が強烈な魔力を放ち、空間が震えた。


「避けろ、セリナ!」


 ユークはセリナを庇い、剣を振るって魔力の波を受け止める。


「強いな……さすが《王家の聖剣》の継承者」


「貴様……!」


「だが、次は受け止められるかな?」


 男の手に、黒い魔法陣が浮かび上がる。その魔力は、黒の書の力に酷似していた。


「……黒の書の力を操っているだと……!?」


「さて——どうする?」


 ユークは剣を構え直し、目を鋭く細めた。


「やるしかないだろう……!」


 ユークの瞳が鋭く光り、王家の聖剣が淡く輝きを放つ。


「お前の目的を聞かせてもらおうか……!」


「フフ……聞いたところで意味はない。だが——楽しませてくれよ、継承者!」


 男が笑みを浮かべた瞬間、闇が激しく渦巻いた。


「セリナ、下がってろ!」


「ユーク!」


 ユークは力強く地を蹴り、一瞬で敵との距離を詰める。剣を振り下ろし、空間を切り裂くような一撃が炸裂する——


「——ここで終わらせる!」

読んでいただきありがとうごさいます!

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