第55話 『第一の試練:戦の間』
「では、案内しよう」
ラザルフが手を軽く振ると、黒と白の大理石でできた巨大な扉が静かに開いた。
その先に広がっていたのは——
「……広間?」
ユークとセリナはゆっくりと足を踏み入れる。
塔の内部は異様な静けさに包まれていた。
壁には古代文字が浮かび上がり、天井には巨大な魔法陣が描かれている。
「ここが《アルカナの塔》の試練の間か……」
「君たちには、三つの試練を受けてもらう」
ラザルフが無表情に告げる。
ユークとセリナはそれぞれ剣と弓を手にし、周囲を見渡した。
「“黒の書”に関する情報が知りたいなら、これを突破してもらう必要がある」
「その試練、どんな内容なんだ?」
「ふふ……それは始まってからのお楽しみだ」
ラザルフが指を鳴らす。
ギィィィィン……!!
床に刻まれた魔法陣が光を放ち、空中に文字が浮かび上がった。
『——第一の試練:戦の間』
「……やはり戦いか」
ユークが剣を構える。
その瞬間、空間が歪み、漆黒の鎧を纏った騎士が現れる。
顔は兜に覆われ、赤く輝く目がユークたちを見下ろしていた。
「試練を突破できなければ、ここで終わりだ」
ラザルフが冷たく言い放つ。
「いくぞ、セリナ!」
「ええ!」
鎧の騎士が巨大な剣を振り上げる。
ユークは瞬時に間合いを詰め、斬撃を繰り出した。
ガキィィィン!!
剣がぶつかり合い、火花が散る。
「——重い!」
騎士の剣を受け止めながら、ユークは歯を食いしばった。
だが、ユークは即座に動く。
剣を押し返しつつ、騎士の脇腹を狙って切り込む。
スッ——
騎士が軽く身をかわし、ユークの攻撃をかわす。
反撃の一撃が振り下ろされる——
「ユーク!」
セリナが素早く矢を放った。
矢は騎士の膝に命中し、動きが一瞬鈍る。
「ナイス!」
ユークはその隙を逃さず、一気に剣を振り下ろす。
ガキィィィン!!
鎧の表面に亀裂が走る。
「効いてる……!」
だが、騎士はすぐに体勢を立て直し、再び剣を振り上げた。
ユークは即座に距離を取り、セリナに声をかける。
「セリナ!援護頼む!」
「わかってる!」
セリナが矢を連続して放つ。
騎士は剣で弾くが、その動きが僅かに乱れる。
(今だ!)
ユークは地面を蹴り、一気に踏み込む。
剣に魔力を集中させ、黒いオーラが刃に宿る。
「——《魔力解放・穿閃》!!」
剣が騎士の胸部を貫く。
バキィィィン!!
騎士の鎧が砕け、崩れ落ちた。
赤い光が消え、静寂が戻る。
『第一の試練、突破』
ラザルフが微かに笑った。
「なかなかやるな」
ユークは剣を納め、セリナと視線を交わす。
「ふぅ……なんとかなったわね」
「まだ終わりじゃない」
ユークが顔を上げると、次の扉が静かに開いた。
『——第二の試練:心の間』
「“心”……?」
「次も、簡単にはいかないぞ」
ラザルフの瞳が鋭く光る。
「どうする? やめるなら今のうちだ」
「冗談だろ?」
ユークは口元に笑みを浮かべる。
「——次も突破してやるさ」
ユークとセリナは扉の向こうへと足を踏み出した。
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