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第51話 『新たな決意』

 王都の空は澄み渡っていた。

 ローブの男との激闘から数日が経ち、王都はようやく平穏を取り戻しつつあった。

 城壁の修復が進み、傷ついた兵士たちも治療を受け、街には再び活気が戻り始めている。


 ユークはギルドの一室で静かに目を閉じていた。

 剣は壁に立てかけられている。戦いを終えた今でも、その感触は手に残っていた。


 ——ローブの男は逃げた。


 最後の一撃で確かに手応えはあった。だが、奴は空間魔法のような術を使い、姿を消した。

 完全に倒しきれなかった悔しさが胸にわだかまっている。


「……考え込んでる場合じゃないよ」


 扉が開き、セリナが入ってきた。

 彼女は軽やかな足取りでユークに近づき、椅子に腰を下ろす。


「ローブの男のこと?」


「……ああ。あのまま逃げられるとはな」


「でも、あなたは勝ったわ。王都を守った。それだけでも十分よ」


「そうだとしても、アイツがまだ生きている以上、また王都を狙ってくるかもしれない」


 ユークは剣を握る手に力を込めた。

 セリナはそんな彼を見て、ふっと微笑む。


「大丈夫。もしまた現れたら……その時は一緒に戦いましょう」


 ユークは彼女の言葉に安堵し、少しだけ微笑んだ。


「……ところで、セリナ」


「何?」


「“黒の書”——本当に存在するのか?」


 セリナの表情が真剣になる。


「……確かなことは分からない。でも、古い伝承ではこう語られているわ」


「“死を操る禁断の魔導書”か」


「ええ。そして、その手がかりが学都ルミナスにある可能性があるわ」


 ユークは目を閉じて考える。

 死を操る魔導書——ローブの男が持っていた力は、まさにその片鱗だったのかもしれない。

 もし“黒の書”が本当に存在し、それをローブの男が手に入れたとしたら——


「……なら、行くしかないな」


 ユークは立ち上がった。

 剣を腰に下げ、セリナと目を合わせる。


「学都ルミナスへ向かう」


「決まりね」


 セリナは微笑み、弓を背にかけた。


「きっと、ルミナスには新たな試練が待っているわ」


「それでも、行くしかない」


 ユークは窓から外を見た。

 王都の空は晴れ渡り、柔らかな光が街を包んでいる。


 —— 王都編──婚約と陰謀、万能の力が揺るがす都 完。


 ——そして、新たな冒険の幕が開ける。


 ユークとセリナは静かに扉を開き、外に踏み出した。

 彼らの新たな旅路が、今始まる——。


読んでいただきありがとうごさいます!

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