第43話 『嘘…だろ…』
——ガシャアアアアン!!!
砕け散ったステンドグラスの破片が降り注ぐ中、ユークは剣を抜き放った。
鋭い魔力の波動が広間に満ちる。肌を刺すような感覚が全身を駆け巡った。
「……この感じ……」
ユークが眉をひそめる。
空気が重く、冷たい。
——いや、これはただの魔力ではない。
「誰だ……?」
ユークが剣を構えながら、ゆっくりと広間を見渡す。
——そして、そこにいた。
「……嘘、だろ……?」
広間の奥から、ゆっくりと黒いローブをまとった男が歩み出る。
フードの下から、赤い瞳がこちらを見つめていた。
「お前……死んだはずじゃ……」
ユークの剣を持つ手が微かに震える。
目の前にいるのは、確かに——
「——“アイツ”のはずだ……」
「ふふ……驚いたか?」
黒いローブの人物が口元を歪める。
「お前は確かに、あの時私を”殺した”……はずだったな?」
「……どうして生きている?」
ユークの声が震える。
だが、黒いローブの人物は嗤った。
「そんなこと、重要か?」
「……ふざけるな」
「ふざけてなどいない。むしろ——」
男がローブの袖を振るう。
——ズンッ!!
重力が倍になったかのような圧力がユークの体を襲った。
ユークは剣を持つ手に魔力を込め、足を踏み締める。
「ぐっ……!」
「よく耐えたな。だが——」
男の赤い瞳がユークを射抜く。
「お前には”真実”を知る資格がある」
「……真実?」
「それを知った時——お前は再び絶望するだろう」
——ドクン……ドクン……
ユークの心臓が高鳴る。
男が片手を持ち上げると、空間が歪み、漆黒の魔力が渦を巻く。
「さあ、見せてやろう——」
——ズォォォォン!!!
ユークが剣を構えた瞬間——
男の姿が、霧のように消えた。
「……消えた?」
ユークは周囲を見渡す。
重苦しい空気だけが広間に残っている。
「今のは……本当に”アイツ”だったのか……?」
ユークが剣を収めると、
遠くから微かに声が聞こえた——
「お前に真実を教える時が来る。その時——お前はどうする?」
ユークの瞳が鋭く光る。
「——その時は、お前を”本当に”倒してやる」
ユークの決意が、静かに燃え上がった。
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