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第40話 『王宮の異変——英雄が剣を抜く時』

 ——シュンッ!!


「……逃げたか」


 ユークが剣を収めると、

 セリナがそっとユークの隣に立った。


「ユーク……今のは……」


 ユークが眉をひそめる。


「“核”の力とは違う……

 だが、あの気配……異質だった」


 セリナが不安そうにユークの腕を掴む。


「ユーク、大丈夫?」


 ユークは無言でセリナの手を握った。


「俺は平気だ」


「でも……あの人は……」


 ユークが庭園を見渡す。

 冷たい風が夜空に漂う中、

 さっきまでそこに存在していた“異質な気配”が消えている。


「間違いない。

 あいつは“俺”を狙っていた」


「どうして……?」


「“核”を受け継いだことで、

 俺に興味を持った存在が現れたってことか」


「また……襲われるかもしれない?」


 ユークが無言で頷く。


「だからこそ——」


 ユークがセリナの瞳をじっと見つめる。


「俺が——お前を守る」


 セリナの頬が赤く染まる。


「ユーク……」


「お前がいるなら——

 俺は絶対に負けない」


 ユークの瞳が青く光った。

 セリナは不安げに見つめながらも、

 ユークの手を強く握り返した。


「……信じてる」


 その時——


 ——ギィィィィン!!


「また……!?」


 ユークが即座に剣を抜く。


「違う……!」


 セリナが驚いたように声を上げる。


「今のは……王宮の内部から!」


 ユークが目を細める。


「行くぞ!」


 ユークとセリナが駆け出す。


 ——ザッ……ザッ……!


 王宮の廊下を駆け抜けると、

 魔力の波動がさらに強くなるのを感じた。


「この魔力……さっきのフードの奴とは違う」


「でも……危険よ!」


「わかってる」


 その時——


 ——ガシャァァァン!!


「きゃああああっ!!」


 女性の叫び声が響いた。


 ユークが一気に駆け出す。


 ⸻


 ——ガシャン!!


「くっ……!」


 ユークが部屋の扉を蹴破ると、

 そこには——


 黒い霧を纏った騎士がいた。


「また騎士か……!」


 騎士は巨大な剣を手にし、

 その目は赤く光っている。


「セリナ、下がってろ!」


 ユークが剣を構える。


「《アビス・ストライク》!」


 ——ゴォォォォ!!


 青と黒の斬撃が放たれる。


 しかし——


 ——ギィィィン!!


 騎士は剣を交差させて斬撃を受け止めた。


「……受け止めた!?」


「ユーク!背後!!」


「——ッ!!」


 ユークが即座に回避する。


 ——ズォォォォン!!


 騎士の剣が地面を抉る。

 床が粉砕され、石片が宙に舞う。


「速い……!」


 ユークが歯を食いしばる。


「だが!」


 ユークの瞳が青く光る。


「《真なる万能適応》——空間操作」


 ユークの周囲の空間が歪む。


「これで……」


 ユークが剣を振るう。


 ——ザシュッ!!


 騎士の胴体を一閃。


「……終わったか?」


 しかし——


 ——ギギ……ギギ……


「……!?」


 騎士の体がゆっくりと再生していく。


「再生……!?」


「ユーク!!」


「——これで終わりにする!!」


 ユークが再び剣を振るう。


「《アビス・ブレイク》!!」


 ——ゴォォォォッ!!


 ユークの剣から放たれた斬撃が、

 騎士の体を完全に貫いた。


 ——ザシュッ!!


「……終わったか」


 騎士の体が紫色の霧となって消えた。



「ユーク!!」


 セリナがユークに駆け寄る。


「怪我は……!?」


「平気だ」


 ユークが剣を収める。


「だが……これは確実に何かが始まっている」


「ユーク……」


 セリナがユークの手を握る。


「もしまた……

 あなたが狙われたら……」


 ユークがセリナの手を強く握った。


「俺は負けない」


「でも……」


「心配するな」


 ユークがセリナの頬に手を当てる。


「俺がいる限り——

 お前に指一本触れさせない」


 セリナの目が潤む。


「ユーク……ありがとう」


 ユークが微笑む。


「さあ……

 戻ろう」


 ユークとセリナは手をつなぎ、

 ゆっくりと廊下を歩き出した——


読んでいただきありがとうごさいます!

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