第36話 『観測者との決戦——適応者の資格』
ユークとセリナは、静かに核に歩み寄った。
——ドクン、ドクン……
核は脈動し続けている。
その脈動に合わせて、ユークの体に魔力が直接流れ込んでくる感覚がある。
「……感じる」
ユークは目を細めた。
「この核から……世界の全てが生まれている……」
「……ユーク……」
セリナが不安げにユークの袖を掴む。
「核に触れれば……全てが終わるかもしれない……」
「……でも、進むしかない」
ユークは剣を収め、
ゆっくりと手を伸ばした——
ユークの指先が核に触れた瞬間——
——ゴォォォォォン!!
黒い光が一気に広がった。
「っ……!!」
ユークとセリナの体が一瞬にして黒い空間に引きずり込まれる。
ユークが目を開けると、そこには広大な黒い空間が広がっていた。
そして——
目の前に《観測者》が立っていた。
「やはり、お前が核に触れたか」
観測者がフードを下ろすと、
彼の顔がはっきりと現れる。
漆黒の髪、鋭い赤い瞳——
その目には、まるでユーク自身を見透かすような視線が宿っている。
「観測者……」
「ようこそ、“適応者”よ」
「……どういうことだ」
ユークが剣を構える。
「核に触れたということは——
“適応者”としての資格を示したということだ」
観測者が杖をゆっくりと持ち上げる。
「だが——その資格が本物かどうか、試させてもらおう」
「……試す?」
「核の力を受け継ぐには、“核”を完全に制御できる力が必要だ。
そのためには——お前自身が“力”を示さねばならない」
「なるほど……
つまり、お前を倒せばいいんだな?」
観測者の唇がわずかに笑みを浮かべる。
「その通りだ、適応者よ」
——ゴォォォォォ!!
観測者の杖から黒い雷がほとばしる。
「ユーク、来るよ!!」
「——やるしかない!!」
——ズォォォォ!!
観測者が杖を振ると、
黒い雷が空間を走る。
「《ダーク・テンペスト》」
——バチバチバチ!!
雷がユークに襲いかかる——
「——くっ!!」
ユークが剣を振ると、
空間が歪み、雷の軌道がねじ曲がる。
——ギィィィン!!
「……雷を歪めた?」
「俺は“適応者”だ」
ユークが剣を握る。
「適応すれば——お前の力も俺のものだ!!」
ユークの剣に黒い雷が集まり始める。
「《雷適応》——発動!!」
——バチィィィン!!
ユークが雷を剣に纏い、
一気に観測者に斬りかかる。
——ザシュッ!!
「……フン」
観測者が杖を一振りすると、
ユークの剣が跳ね返される。
「なるほど……
適応者としての力は本物のようだ」
「なら——本気を出してくれ!!」
「セリナ!」
「分かってる!」
セリナが杖を振り上げる。
「《ライト・ブースト》!!」
ユークの剣が白く輝く。
「——行くぞ!!」
ユークが空中に跳躍し、
一気に観測者に斬りかかる。
「《ライトニング・ブレード》!!」
「……来い」
観測者が杖を振ると、
空間がねじ曲がる。
ユークの剣が歪む——
「甘い!!」
ユークが空間を“適応”し、
軌道を修正してそのまま観測者を斬り裂いた——
——ザシュッ!!
観測者の体に黒い霧が舞う。
観測者は微かに笑った。
「……見事だ、適応者よ」
観測者が体勢を立て直し、ユークを見つめる。
「お前に——核を受け継ぐ資格があることを認めよう」
ユークが剣を下ろす。
「つまり……俺が核を制御できるってことか?」
「そうだ。
だが、その力をどう使うかは——お前次第だ」
ユークは剣を収め、セリナに目を向ける。
「……終わった?」
「いや……これが始まりだ」
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