第35話 『深淵の核と守護者の試練』
ゲートを通り抜けた瞬間、
ユークとセリナの周囲から一気に「音」が消えた。
——無音の世界
ユークが目を開けると、そこには広大な空間が広がっていた。
——そして、その中心に存在するのは——
巨大な黒い球体だった。
球体は直径50メートルを超えている。
表面には無数の魔法陣と光の文字が刻まれていた。
その文字は古代の言語であり、ユークにも理解できない。
球体の表面は脈動しているように光を放ち、
そのたびに周囲の空間が「歪む」——
「……これが、《深淵の核》……」
ユークは無意識に息を呑んだ。
——ドクン、ドクン……
核が脈動するたびに、ユークの魔力が吸い取られていく感覚があった。
「これは……!」
「核は“存在する”だけで、世界の魔力を吸収しているのよ」
セリナがユークの腕を掴んだ。
「核は……世界そのもの。
世界を構成する魔力と魂が“核”に集約されている」
「……つまり、これが世界の中心……?」
「正確には、“起源”よ」
観測者の声が響いた。
振り返ると、観測者がゆっくりと現れる。
「《深淵の核》は“世界そのもの”だ。
すべての魔力、魂、そして生命の起源がここにある」
「……じゃあ、これを壊したら?」
「世界が消える」
観測者は無表情で答えた。
「核は、世界を維持している“心臓”のような存在。
破壊すれば、世界そのものが崩壊する」
「……でも、ヴァルナクトが消えたことで封印が緩んでいるんだろ?」
「その通り。
このままでは、いずれ核は暴走し、世界を飲み込む」
「……なら、どうすればいい?」
「核を“安定”させる必要がある。
それには——核の中心にある“制御装置”に触れなければならない」
「……なるほど。
その制御装置を操作すれば、暴走を止められるってことか」
観測者は頷く。
「だが——」
観測者が杖を振ると、核の前に魔法陣が浮かび上がった。
「核には“守護者”が存在する」
魔法陣から、漆黒の騎士がゆっくりと姿を現す。
黒い鎧を纏い、手には巨大な剣を握っている。
鎧の隙間からは黒い霧が漏れ出していた。
その瞳は、血のように赤く輝いている。
「《アビス・ガーディアン》」
「核を守護する存在……」
観測者が低く呟く。
「制御装置に触れるには、こいつを倒さなければならない」
ガーディアンがゆっくりと剣を構えた。
「フン……なるほどな」
ユークが剣を構える。
——ゴゴゴゴゴ……!!
核が脈動すると同時に、ガーディアンが動いた。
ギィィィン!!
剣がユークの眼前を掠め、空間が裂ける。
「——くっ!」
ユークが剣を受け止める。
強烈な衝撃で足が地面にめり込む——
「……強い!」
「当然だ。
核を守護するために作られた存在だからな」
観測者が冷静に言った。
「なら……試してやるさ」
ユークが剣を振りかざす。
「セリナ、援護を頼む!」
「もちろん!」
セリナが後方に下がり、杖を構える。
「——《ブースト・フィールド》!!」
ユークの体が白く輝き、速度と魔力が増幅される。
「よし……やるぞ!」
ユークが一気に跳躍し、剣を振り下ろした——
——ガキィィィン!!
剣と剣が激しくぶつかり合い、閃光が迸る——
「……俺が核を安定させる」
ユークは目を細め、前を見据える。
「このまま世界が終わるなんて——させるわけがない」
ユークとセリナは互いに視線を交わした。
「行くぞ、セリナ」
「ええ!」
ユークとセリナは一気に走り出した——
読んでいただきありがとうごさいます!
この作品が面白かったら、感想、ブグマ&評価(下の星マーク)をお願いします!




