第33話 『覚醒せよ──時空を超える力』
ゴォォォォォ……!!
黒い空間が激しく揺れる。
「——《アビス・ディストーション》」
アビス・ヴァルナクトが右手をかざした瞬間——空間がねじ曲がり、ユークの体が引きずり込まれるように傾いた。
「——くっ!」
ユークが剣を振り下ろす——が、剣の軌道が歪む。
ガキィン!!
「……遅い」
ヴァルナクトが一瞬でユークの背後に回る。
「——《エンドレス・デスサイズ》」
ヴァルナクトの手に現れた巨大な黒い鎌が振り下ろされた。
——ザシュッ!!
「が……っ!」
ユークの肩が裂かれ、血が飛び散った。
「ユーク!!」
セリナが叫ぶ。
「フッ……その程度か?」
ヴァルナクトの冷たい声が響く。
「万能適応……大したことはないな」
ユークは膝をつく。
「……ふざけるな」
ユークがゆっくりと立ち上がる。
「俺の万能適応は……まだ終わっちゃいない」
ユークの体が青白く輝き始めた。
「《時空適応モード》——限界突破」
ユークの体に青白い魔法陣が浮かび上がる。
「時空適応……限界突破……?」
セリナが驚愕の声を漏らす。
「——適応する」
ユークが剣を振り上げた。
「……来い」
「ならば——受けてみろ!」
ヴァルナクトが鎌を振り上げる。
「《クロス・オブ・ダークネス》」
空中に巨大な黒い十字架が出現。
十字架から無数の黒い刃と雷が降り注ぐ——
「——適応完了」
ユークが剣を横に振る。
「《アビス・ディストーション》」
「——何!?」
空間が歪み、黒い刃が方向を変えてヴァルナクト自身に向かった。
ガキィン!!
「貴様……空間歪曲を……?」
「お前の力……もう適応した」
「なら……これでどうだ?」
ヴァルナクトが手を上げると、周囲に巨大な魔法陣が出現した。
「《ダーク・ジェネシス》」
黒い腕が地面から無数に現れ、ユークを掴もうとする。
「——なら、こっちも適応だ!」
ユークの瞳が輝いた。
「《フェイズ・ストライド》」
(→ 空間跳躍+攻撃強化)
ユークの体が残像を残して姿を消す。
「——消えた!?」
次の瞬間——
ヴァルナクトの背後にユークが現れる。
「——《ヘルフレア・スラッシュ》!」
(→ 闇+炎属性の二重属性攻撃)
ユークの剣が炎と黒い光を纏い、ヴァルナクトの背中を一閃——
ザシュッ!!
「が……っ!!」
「——ならば……これで終わりだ」
ヴァルナクトの瞳が赤く光る。
「《ラスト・カラミティ》」
空間全体が黒く染まり、重力が狂い始める。
「くっ……動けない……!」
「ユーク!!」
セリナが駆け寄ろうとする——が、黒い霧に阻まれる。
「ダメ……このままじゃ……」
セリナが手を胸に当てる。
「ユーク……お願い……」
——輝け
セリナの胸元から青白い光が溢れ出す。
「……この力は……」
「——セリナ、力を貸してくれ!!」
ユークの体にセリナの光が流れ込む。
「《ディスペル・ライト》」
光が黒い霧を吹き飛ばした。
「……これで終わりだ」
ユークが剣を持ち替える。
剣が赤と黒の光に包まれる。
「《アルティメット・エクスプロージョン》!!」
(→ 光+闇+炎属性の融合技)
ゴォォォォォォォォ!!
ユークが一気に空中に跳び上がり、ヴァルナクトの真上から剣を振り下ろす——
「これが……終焉だ!!」
——ザシュッ!!
剣がヴァルナクトの胸を貫く。
「が……ぁ……っ!!」
ヴァルナクトの体が黒い霧となって消え去る。
——ヴァルナクトの姿が消えた。
残響のように、黒い霧が空間を満たしていた。
その霧が静かに消えゆくと、辺りには沈黙だけが残った。
ユークはゆっくりと剣を収めた。
剣先には、ヴァルナクトとの激戦の痕跡が僅かに残っている。
「……終わったのか……」
ユークは息を整えながら、静かに呟いた。
心臓が早鐘のように脈打ち、体の奥から力が抜けていくのを感じる。
その時——
「ユーク!!」
セリナの声が聞こえた。
振り返ると、セリナが駆け寄ってくる。
「……無事か?」
「無事じゃないわよ!」
セリナが涙を滲ませながら、ユークの胸に飛び込んできた。
「……心配したのよ……!」
ユークは驚いたが、すぐにセリナの頭を優しく撫でた。
「大丈夫だ。……お前のおかげで、勝てた」
「……よかった……本当に……」
セリナの声は震えていた。
「ほら、泣くな」
ユークはセリナの肩を軽く叩き、微笑んだ。
「お前がいたから、俺は立ち続けられたんだ」
「……うん」
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