第20話 『追放の果て、新たな道へ』
王都近郊の森。
夜の静寂を破るように、レオナールの怒声が響いた。
「ユークッ……! 俺は、お前を許さない……!!」
レオナールはボロボロだった。
彼の剣は砕け、衣服は裂け、膝をつくほど消耗している。
しかし、彼の目はまだ狂気に染まっていた。
「お前が……お前がいなければ……俺たちはこんなことにはならなかったんだ……!!」
「……まだそんなことを言ってるのか」
ユークはため息をついた。
(もう完全に壊れてるな)
この男は、かつて「勇者」だった。
しかし今はただの「過去に囚われた男」だ。
レオナールは力なく剣を持ち上げる。
そして、最後の一撃を振り下ろした。
——だが。
ガキィン!!
一瞬。
ユークが軽く剣を弾いただけで、レオナールの剣は完全に折れた。
「っ……!!」
ユークは無言で剣を収める。
「もう終わりだ」
レオナールは膝をつき、折れた剣を握りしめる。
「俺は……まだ終わってない……終わるはずがない……!」
しかし、もう戦う力は残っていなかった。
「……俺にとっては、とっくに終わった話だ」
ユークは静かに言い放ち、背を向ける。
——ここで終わりだ。
もう、こいつと関わる必要はない。
だが、レオナールの執念は、これで消えるのだろうか?
ユークはそんな疑問を抱きながらも、その場を後にした。
ユークは森を抜け、丘の上から遠くの街を眺めていた。
ここでの出来事を思い返す。
追放されたこと。
Sランク冒険者になったこと。
そして、王国の貴族やギルド、裏社会が自分に注目し始めたこと。
このままこの辺りに留まっても、結局同じことの繰り返しだ。
ユークは、遠くに見える王都の灯りを見つめる。
「……次は王都か」
王都には、多くの情報が集まる。
錬金術の研究機関、ギルドの中心地、貴族たちの陰謀、そして——
「何か面白いもの」があるかもしれない。
ユークは薄く笑い、静かに歩き出した。
第一章『追放と覚醒──万能の力が世界を変える時』 完
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