第14話 『勇者パーティ、ついに王国からも見限られる』
王都・ヴェルンハイト。
王国の中心にそびえ立つ巨大な城の前で、レオナールたちは緊張した面持ちで立っていた。
「つ、ついに……王国が俺たちを認め直してくれるんだ……!」
昨日、ギルドでEランク降格を言い渡され、どん底に突き落とされた彼らだったが、「王国からの召喚命令」を受けたことで、希望を取り戻していた。
「よかった……! きっと、ギルドが間違ってたのよ!」
「そうよ! 私たちは勇者パーティーなんだから!」
王国が「本当の実力」を見直してくれる——
そう信じて疑わなかった。
しかし、門の前で待っていた騎士の顔は冷たかった。
「貴様らか。王宮会議室へ案内する」
不安を抱えながらも、レオナールたちは城の中へと足を踏み入れた。
王城の会議室。
そこには、王国の高官たちがずらりと並んでいた。
さらに、見慣れない人物——異国の装束をまとった神聖教会の使者が同席している。
(神聖教会……? どうして……?)
彼らは、勇者の選定や聖剣の管理を担う機関だ。
ということは——
(まさか、新たな勇者の選定!?)
期待に胸を膨らませるレオナールだったが——
次の瞬間、王国の高官が冷たい口調で言い放った。
「貴様らを召喚した理由は一つだ」
「“勇者”としての正式な資格を剥奪する」
会議室に静寂が広がった。
「——は?」
あまりにも突拍子のない言葉に、レオナールの思考が一瞬止まる。
「ちょ、ちょっと待ってください! 私たちは勇者パーティーなんですよ!?」
「どうして……!? そんなの、おかしいです……!」
だが、王国の使者は淡々と事実を述べる。
「お前たちの戦績は記録されている。直近の討伐失敗、ギルドでのEランク降格、騎士団との戦闘テスト……どれをとっても、“勇者”と呼ぶにはあまりに不甲斐ない」
「そして何より——」
彼は一枚の文書を取り出し、レオナールたちに突きつけた。
「“ユーク・アーデル”の存在が確認された」
「……!!」
ユークの名前を聞いた瞬間、場の空気が凍りついた。
「ま、まさか……」
「ユーク……あの地味な補助役が……?」
王国の使者は冷静に続ける。
「ユーク・アーデルは、すでにSランク冒険者として正式に認定されている。加えて、王都近郊でドラゴンを単独討伐した記録が残っている」
「今や“王国が認める最強の冒険者”であり、お前たちが“勇者”を名乗る理由は、もはやどこにもない」
「そ、そんな馬鹿な……!」
彼の拳が震える。
信じられない。
あの、自分たちが“役立たず”だと決めつけ、追放したユークが……王国の最重要人物になっている!?
王国の使者は、さらに追い討ちをかけるように言った。
「今後、貴様らに与えられていた資金援助や特権は全て撤廃する」
「国としては、今後ユーク・アーデルと正式に接触し、“新たな勇者”としての役割を依頼する方針だ」
「ふ、ふざけるな……!」
レオナールは叫び、会議室の机を叩いた。
「ユークなんて、ただの補助役だったんだぞ!? そんな奴が、俺たちの代わりになるはずがない!」
しかし、王国の使者は冷ややかに言い放つ。
「……本当にそうか?」
「むしろ、お前たちの方こそ、“ユークの補助”がなければ何もできなかったのではないか?」
レオナールは言葉を失った。
王城を追い出されたレオナールたちは、呆然と城門の前に立ち尽くしていた。
「……私たち、本当に……終わったの?」
「うそよ……こんなの、認められるわけない……」
そして、レオナールは拳を握りしめ、低く呟いた。
「ユーク……ッ!!」
「絶対に……お前を取り戻す……!」
怒りと嫉妬を滲ませながら、レオナールは闇に消えた——。
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