第13話 『最強パーティ(※ユーク抜き)、Eランクへ転落しました』
王都の冒険者ギルド。
豪華なシャンデリアが吊るされた広いホールには、多くの冒険者たちが集い、依頼の申し込みや報酬の受け取りに列を作っていた。
その一角で、勇者レオナールのパーティーが受付の前に立っていた。
だが、以前のように堂々とした態度は消え去り、彼らの顔には焦りの色が浮かんでいる。
「どういうことだ!? 俺たちは“勇者”だぞ!?」
彼はカウンターを叩きながら、ギルド職員に詰め寄った。
「……申し訳ありませんが、レオナール様。ギルドの評価基準に基づき、貴方たちのパーティーは Eランク相当 と判定されました」
「Eランク……!? 冗談でしょ!?」
魔法使いのリーナが目を見開き、驚愕の声を上げる。
「……私たちは勇者パーティーなのに……」
聖女エレナの顔も青ざめていた
ギルド職員は淡々と説明を続けた。
ギルド職員「レオナール様たちは、直近 5回の依頼のうち3回が失敗に終わっています。また、戦闘中の負傷率が急激に上昇し、討伐対象の討伐成功率も著しく低下しております」
「ぐっ……!」
悔しそうに唇を噛むレオナール。
「ギルドとしても、これ以上の高ランク依頼を貴方たちに任せるのは危険と判断しました。今後はEランク相当の依頼のみ受け付けることになります」
そう言い終えると、ギルド職員は目の前の書類に「Eランク降格」と記入し、スタンプを押した。
その瞬間、まるで現実を突きつけられたかのように、勇者パーティーのメンバーたちは呆然とした表情になった。
そのやり取りを見ていた周囲の冒険者たちが、ひそひそと話し始める。
「おいおい……勇者パーティーがEランク降格だってよ」
「最近、やたら依頼に失敗してるって噂だったけど……マジだったのか」
「なんだよ、“勇者”って名ばかりだったのか?」
嘲笑と軽蔑が混じった視線が降り注ぐ。
つい最近まで、彼らは「王国最強のパーティー」として称えられていた。
しかし今や、その栄光は完全に崩れ去っていた。
「……チッ!」
歯ぎしりをしながら、彼は周囲の視線を睨みつけた。
しばらく沈黙が続いた後、リーナが震える声で言った。
「ねえ……もしかして、ユークがいなくなったせいじゃない……?」
その言葉に、全員がハッとした。
「……そんな、まさか」
「いや、そんなわけ……あいつは補助役だっただろ?」
レオナールも一瞬動揺したが、すぐに顔をしかめ、強引にかぶりを振る。
「くだらん……そんなはずがない!」
彼は拳を握りしめ、低く唸った。
レオナール「あいつがいた頃はたしかに調子が良かったかもしれない……だが、ユークはただの補助役だったんだ。俺たちの実力には関係ない!」
そう言い聞かせるように言ったが——内心では、不安が広がっていた。
(いや、待て……本当にそうなのか?)
ユークがいなくなった途端、なぜか戦闘が思うように進まなくなった。
魔法の威力が下がり、回復の効果も落ちたように感じる。
以前なら楽に勝てた敵にも苦戦し、気づけば敗北が続いていた。
まるで——
「ユークがいたから勝てていた」
——そう思えてしまうほどに。
そのとき、近くで別の冒険者たちが話している声が聞こえた。
「そういや聞いたか? なんか、最近 Sランクに認定されたばかりの冒険者が、単独でドラゴンを討伐した らしいぜ」
「ああ、それ、王都でも話題になってる。どこの貴族の出かと思ったら、完全な無名らしいぞ」
「しかも、どこのギルドにも正式に所属してないって話だ」
リーナが息を呑んだ。
「ねえ、それって……」
「……まさか……」
レオナールは拳を強く握りしめた。
(ありえない……そんなの……認めるわけにはいかない!)
焦りに駆られたレオナールは、カウンターを強く叩いた。
「なあ! ギルドマスターと話をさせろ!」
「……申し訳ありませんが、ギルドマスターはお忙しいので——」
「頼む! 俺たちは“勇者”なんだ……! こんな扱いを受けるわけにはいかない!」
しかし、職員の表情は冷たいままだった。
「申し訳ありませんが、ギルドの評価基準は公正なものです。貴方たちの実力では、Eランク相当という判断になりました」
その言葉に、レオナールはついに沈黙した。
ギルドを出た後、レオナールは誰もいない路地裏で壁に拳を叩きつけた。
「……ふざけるな……!」
背後ではリーナやエレナが沈んだ表情で立ち尽くしている。
彼らの誇りはズタズタにされ、勇者パーティーとしての地位も、完全に崩れ去った。
だが——
「……まだ終わりじゃない」
彼は暗い笑みを浮かべた。
「……ユーク。お前を見つけ出す。そして、俺たちの元に戻らせる……!」
読んでいただきありがとうごさいます!
この作品が面白かったら、感想、ブグマ&評価(下の星マーク)をお願いします!




