#2-13 キャラメル 【ロボデザイン-挿絵あり】
魔獣 ゴブリン
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「お、おい・・・まだ買うのか・・・」
レイチェルと名乗るエルフの女性の後を付いたはいいものの。
「リンゴを4つ、あとそっちのキャラメルとチョコも一斤ずつ」
「あいよ!」
そういうと露店でお菓子の計り売りをする店主にレイチェルは代金を支払い、紙袋を二つ手渡される。
あの後、露店街への寄り道をすると言い出したこの謎の女は、さっきから時折立ち止まっては売り物を物色をしていた。
「おい、一体どゆうつもりだよ!」
「・・・」
俺の抗議など眼中にないのか、レイチェルは構わず先へいく。
「はぁ・・・なんなんだよ、ほんと」
結局のとこ≪EXE≫の情報を餌にまんまと俺はこの女の掌の中からいいように弄ばれてるいる様な気がするのだ。
「・・・」
「なんだ?」
ふとレイチェルが立ち止まり俺に振り向く、そっと手を差し伸べられ、その手の上にはキャラメルの一つが置かれていた。
「???」
「あげる、貴方に」
「・・・お、おう」
ご機嫌取りのつもりか、何故かキャラメルの一つを渡してきた。
仕方ないからそれを取りそのままポケットに放り込もうとしたのだが・・・。
「・・・」
「・・・、まだなんかあんのか?」
「・・・食べないの?」
今食えと、申すのかこの女は?。
「・・・わ、わかった、食えばいいんだろ!」
コクンコクンと頭を頷くもんだから、仕方なくキャラメルを口に投げ込み頬張る。
とても月並みの感想だが、塩味とよく練りこまれた牛乳の芳醇な味わいが口いっぱいに広がり、美味しい。
美味しいのだが・・・この状況は一体なんなんだ・・・?。
「・・・」
俺が食べたのを見届けて満足したのか、また俺を置いてレイチェルが歩き始める。
「はぁ・・・調子狂うな・・・」
『なんかマスター完全に子供扱いされてますね』
この状況面白いのか、コアラ如く俺の肩にぶら下がっていたアリスはにっししと無邪気に笑う。
「それより、ちゃんと監視してるんだろうな?」
『モチのロンロンです、衛星からマスターの周囲一帯を監視してますが、いまのとこ何もないです、女の方も何かする様子はない、至って普通の市場での買い物客ですね』
だろうな、先ほどからその状況をずっと見てたわけだし、とりわけレイチェルにも気になる不穏な行動はない。
「はぁ・・・なんか妹のショッピング付き合わされてる気分だな」
『へぇ~マスターもこーゆう経験あるのですね、童貞だからてっきりないものかと』
この幼女AI滅茶苦茶失礼なこと言いやがったな、実体がないからて言いたい放題いいやがって・・・。
「・・・どうした?」
「あ、いやなんでもない」
アリスのしょうもない絡みに付き合ってたら、レイチェルが振り返り俺を訝しむ。
そりゃそうだ、はたからみたらずっと俺が一人言をしゃべってるみたいなモンなわけで・・・。
「・・・そう」
「それより、もう買い物はいいのか」
「もうそろそろ時間だわ、買い物はこれで終わらす、ついて来て」
「お、おう?時間? 」
そう言い、レイチェルの後を追いそのまま俺たちは露店市場から離れる。
すこし歩き、王都の中心から離れ居住ブロックを抜け、気づけば大きな城壁の付近のまで来ていた。
城壁の一角隅にそれらはひっそり存在していた。
「おい・・・ここて」
「あぁ、墓場だ」
いくつもの石碑が等間隔に並び、故人がここに眠ることを示す墓場に来ていた。
レイチェルといえばおかまいなく、ずかずかと墓場の中に入る
「肝試しでもする気か、今度は」
「こっちだ」
墓場を進むと、小さな小屋があった、おそらく墓守の小屋なのだろうか、レイチェルはドアを開き俺を中に入る様促す。
「ここは・・・」
室内は至って普通で、質素な椅子と机、寝具がないのが気がかりだが、それ以外はとりわけ怪しそうなものはない。
「そこの椅子に座ってて」
「お、おう・・・」
いわれるがまま俺は手短な椅子を引き、座る。
そしてレイチェルは荷物を机に置き、部屋の棚から一冊の大きな本を持ちより椅子に座り同じく机に置く、すると本はパラパラと自動に捲り上がりピタッとあるページで止まった。
『ほほう~』
いつしかアリスがその本に関心あるのか、じっと見つめていた。
レイチェルは開いた本をキーボードを押す様紙面を打つ。
―ピッピッーピッ
アラートの様な警告と共に、小屋の中が振動を始める。
「うぉ、なんだこの秘密基地みたい仕掛け!」
振動と共に部屋床が昇降リフトの様に動いていた、天井がどんどん離れていきそしてシャッターで穴が塞がれていく。
「なぁ、お前らホント一体なんなんだ?、こんな隠れアジトとかなんで知ってるんだ」
「・・・」
「無視かよ・・・まぁいいさ」
この女とことんん愛想がないとだけは判った、まぁ好かれたいとは思ってないからいいが。
『この先は何かの施設ぽいですね、電信機器を検知しましたけど、いちおハック出来ますけど、します?』
>>ややっこしいことになりそうだから、とりあえず様子見だ。
『ラジャーです~』
そう心の中もとい、内線でアリスにそう指示をする、こゆう時の内蔵型AIてヤツは便利ではあるが、どこからが心の声なのか内線なのかは線引きが非常に難しく、いまだに慣れない。
「・・・」
「・・・」
グオオと、部屋全体がリフトで動いてる音以外、俺とレイチェルは無言だった、しいて言うなら気まずい。
こゆう時相手がピュティなら鬱陶しいほど俺に話題振ってくるだけに、あの微妙な鬱陶しさは今のこの状況では恋しい。
たった数分程度だったが、凄く長く感じるほどの時間を体感する、ゴトンとリフトが止まったのを機にレイチェルは椅子から立ち上がり、地上で仕入れた荷物を持ちドアを開け俺を部屋の外へ促す。
部屋の外は僅かな暗視照明がある大きな通路口だった、それを進むと何かの音が聞こえてきたのだ。
―ガシャガシャ
「ん?」
―ガシャッガシャ ドンッ!ドンッ!
「わっ、なんだ!」
「・・・」
音の元をなんとなく探してたら暗くて先が見えない高い天井から、唐突に何かの重い物体が降ってきたのだった、それも2つ。
『おかえり、ルー姉』
『ルー姉、ルー姉!お土産!お土産!』
「チョコとキャラメル買ってあるよ、あとで見張り番交代したら取りに来な」
『やたぁ!』
『いえぇい!』
「お、おいなんなんこいつら」
ガシャガシャと機械音を軋ませ降ってきた物体は2体の小型の機械、大きさは王蟲ぐらいの大きさの小鬼だったのだ。
『おや?ルー姉その人は?』
小鬼の一機が俺に気づいたのか、カメラ?もとい顔をこちらに向ける、手に持った鉄筋の様なこん棒を俺に向ける。
「この前話で出てた、旧人類だ、話付けたから問題ないわ」
『でもルー姉、旧人類て私たちを滅ぼそうとしてるAIの親なんでしょ、この先行かせても大丈夫なん?』
「あぁ、私が責任を持つわ」
『まぁ、ルー姉がそう言うなら・・・』
『ちょっとまってね、ゲート開くね』
そう言い小鬼の一機が大きく飛び跳ね天井の闇へと消えた、そしてゴォンと、音と主に前方の壁がちょっとだけ持ち上がり光が漏れ出す、そこをレイチェルは潜り抜ける。
「こっちだ」
「お、おう」
『おい旧人類、ルー姉に変なことしたらかならず殺すからな・・・』
同じく持ち上がった壁の隙間を潜ろうとした俺に、残った一機のゴブリンがそう俺に言葉を投げ、そのまま跳躍し天井の闇へと消えていく。
『なるほどね、重機用マシンを改造してるのですね、ハッキングは容易の様ですね』
ニヤリと去った2匹の小鬼をアリスは眺める。
先ほどから反応がないと思えば、アリスは相手の改造機械乗っ取れるかどうか検証ししてたみたいで、それなりに優位性を確認できただけでご満悦の様子であった。
「さてはて・・・王国の地下にはどんなお宝があるのかね」
そうして俺はレイチェルを追う様に壁の隙間を潜るのだった。
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魔獣 ゴブリン
レイチェル専用機




