#2-12 赤い宝石の瞳 【挿絵,キャラデザあり】
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「動くな、振り向くな、じっとそのままで、そうすれば我々は何も危害を加えない」
「なっ・・・人のケツの下に地雷置いといて、危害を加えないだと」
そう開幕上から目線に僅かながらに俺はイラついた。
「気を悪くしたなら謝罪しよう、そしてこれからワタシの質問に答えてもらいたい」
その男とも女とも判別がつかないノイズ声、俺の返答などお構いなしに続ける。
『マスター、相手はAIではありません、ですが気を付けてください』
視界に表示されたのは衛星からの写真、俺が座る椅子の真後ろの椅子にフードを深く被った人物、そして生憎その人物が男なのか女なのか判別がつかなかった。
「・・・っ」
『マスター、ここで相手から情報を引き出すのが重要です、相手に従うフリをしましょう』
どちみち俺には拒否する権限がない、だがタダで従う気もない、適宜機会を伺ってこいつから情報を引き出す。
「ではまず君の名を」
「・・・、速見明だ、であんたらは何者だ?」
俺とその謎の人物は背合わせで互いに明後日の方向で会話を始めるのだった。
「・・・、それはまだ君には教えられない」
「はぁ、他人に名前を聞いといて、自分は駄目てか」
俺はわざとらしく悪態をつき相手の反応を伺うが、どうやら反応はなかった。
「ではアキラ、最初にこの質問をさせてくれ、君はほんとに旧人類で間違いないか」
「あぁ、いちおそゆうことになってるらしい」
「では、何故この時代に?」
そんなことを聞いてどうするんだ?という感情と、相手が知りたい情報の優先順位の意図がわからなかったのだ。
てっきり昨日の≪狂牛≫関係や≪飛竜≫のことを聞かれるもんだと思っただが違った。
「事故だよ、生死に関わる様な事故で、冷凍されてそのままこの時代まで放置されていた、AIが気紛れで治療してこの時代に生き返ったと言えば納得してくれるか?」
「冷凍者・・・ではその管理AIは今どこに?」
「・・・」
やはりAIの存在は知っている様だった、だがこの質問はすこし困った、治療したのはマリアだが現在連れてきたのはそのサブAIのアリスだ、何よりこちらの手のうちを晒すべきかどうか・・・。
ちらりととなりでいまだ衛星を操作し上空から相手を撮影しているアリスに目をやる。
幼女は人差し指をその小さな唇にあてがうジェスチャーを俺に送り、指示をする。
「AIは置いてきた、あーしろこうしろて小五月蠅くてね」
「・・・」
俺がそう答えるとその人物はすこし考え込む様子なのが衛星から確認はできたが、相変わらず相手の素性がフードでよくわからないのだ
「どうした」
「嘘が下手な様だな」
「・・・」
「君は見たところ人類軍兵士にも見えない、魔竜の操作は通常の者ではそう簡単に扱える代物ではない、一部は操作にはAIの肩代わりが必要なはずだ」
「・・・、はぁ、知ってて俺を試したな」
どうやら何もかもお見通しの様だ。
「続きだ、おまえは先の牛の魔竜との戦いで相手のAIと接触をしたな、何を聞かれた?」
「そんなことまで知ってるのか・・・、パーティーのお誘いはされたよ、断ったけどな、これは嘘じゃねーよ」
「AI破滅派の保護要請を断ったと言うことで間違いないか?」
「俺は保護指定受けてるパンダじゃないからな、いちお、そうなる」
たしかに昨日の戦いで敵AIフィリアットから≪惑星破滅派≫に来ないかと誘われていた、俺はいちおAIたちが狂信する≪旧人類≫て括りのせいでもあったからだ。
「なぜ断った?君にとってこの世界は縁もゆかりもないはずだ、やつらの要請は君にとって都合のいい条件だったはずだ?それをなぜ?」
「・・・何故だろうな、自分でも判らないな、ただ漠然とあゆう勝負にもならないやり方で、力を誇示し他者を支配するやり方はスキじゃない、そのなんだ・・・フェアじゃないんだ」
「・・・」
「それに縁なら、もう出来てしまった」
「・・・」
脳内でちらつくピュティの顔、あの日あの森でピュティと出会わなければ、あるいは・・・。
「俺は、妹を探してる、妹さえ取り戻せれば、あとはこの世界に順応するつもりだ、
だからそのためには妹の情報源を持つ≪EXE≫を探している」
たった一人の肉親、妹の 速見舞 を探す、俺がこの旅を始めた理由だ。
「そうか・・・レジル、もう、いいぞ」
「お?、ホントに、いいのか?」
「ああ、自走地雷を解除しろ、撤収だ」
さきほどから俺の隣で、我関せずとむしゃむしゃとピザロールを食べてたレジルと呼ばれた顔の幼い少年が、もぐもぐと食べながら振り向き後ろのフードの人物に反応する。
すると俺の椅子の下をガシャガシャを何かがコイル鳴きをし、フリスピー円盤の様な小型機械が少年の足を伝い登り、少年のフードマントの中へと消えていく。
「ほんとに地雷置いていたのか・・・」
「にひひ、あんちゃんジュースありがとうね」
少年は屈託のない無邪気な笑顔で、ジュースの件にお礼をする。
「じゃ、姉ちゃん、俺食後の運動がてらルートBで帰るよ」
少年は俺の後ろの人物にそう声をかけると、ピーガシャガシャと小さなな異音がする。
わずかにフードマントから覗く足には機械が取り付けられて連結する様に金具がマントの中へと繋いでいた。
「なんだ?!」
「じゃまたね、あんちゃん」
少年はそう言い僅かに身を屈め、そして・・・ジャンプをした。
それはウサギの様に大きく跳躍し、すぐそばの裕に3階はあるだろうと建物の屋上まで飛んだ、そしてそのまま屋根伝いで飛び走り始めた。
「・・・」
さすがにそっとのことでは動じなくなった俺とはいえ、あまりに唐突の出来事で呆気に取られてしまった。
なんだあの少年・・・アイアンマンみたいに足にジェットでもつけてんのか?
「おまえらはなんなんだ!一体?!」
「・・・」
俺は即座にまだ座っているだろう真後ろのフードの人物に振り向く。
「ハヤミ・アキラ、君はフェアじゃないと言ったな、その通りだ」
その人物はそっと立ち上がり、ゆっくりと振り深く被っていたフードをめくりあげ顔を表す。
そしてさいほどまで変声機の歪なノイズ交じりの声から一転し、ノイズが消え、若い女性の声に変っていた。
「私はレイチェル、今度は私が貴方の質問に答えるわ」
露わになった人物の正体。
それは濡れ羽色の黒い艶髪をし、紅い宝石の様な人を魅了するほどの瞳、そして長い横耳が特徴のエルフの女性だった。
「あんたは一体・・・」
「・・・ついて来て、会わせてあげるわ」
「は?」
「会いたいんでしょう?、≪EXE≫に」
は?≪EXE≫だと?!いまこの女はそう言ったのか。
「ついて来て・・・」
「おい、ちょっとまって!」
『・・・』
(どしたアリス?何か懸念か?)
『これ J ですね、大物ですがピュティほどじゃないですね』
先ほどからじっと女性の胸を凝視していたアリスは、恒例のおっぱい鑑定を俺に報告する、・・・俺にどうしろと。
・・・Jか、でかいな。
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