#1-18 アムリタの海に満たされて 【挿絵あり】
真っ白な通路を一組の男女が走ってた。
「はぁ!はぁ!どうなってるんですか?!アキラ貴方は一体!はぁ!」
「はぁ!はぁ!とりあえず詳しい話は後だ、《王蟲》の群れ片付いたら、妖精でも古代神殿の竜のことなんでも教えてやる!」
昨日のレズリーほどではないが、俺も全力疾走すればそこそこ脚の速さに自信はあった、だが生憎後ろでやっとの思いで俺に付いてきてるピュティは顔を真っ赤に今にも息が切れそうで辛そうだ、このまま彼女をここに置いておくわけもいかず、自然と俺は彼女に合わせた速さで走っている。
「はぁ!はぁ!今ぁ!なんでもて言いましたね!なんでも教えて貰いま、はぁ!すうよ!・・・がっ、はぅ」
「無理して走りながら喋るな!舌噛むぞ・・・」
注意がてら後ろを見ると、俺に付いて走るピュティは涙目でうるうるとその青い瞳で何かを訴えてた、 あ・・・噛んだのか。
『マスター、現在街の周辺全方位にて《質量転移空間》を経由し正方形マシン群が包囲されてます、同時に《Δ》との交戦を始めました』
アリスは姿を出さす声だけで俺に状況報告をし、表示された視界端のウィンドにはつい今しがた撮った写真なのだろう、街の周辺にさきほど見た映像よりも《王蟲》の数が増えてた、《Δ》が操る《魔竜》以外にもいちお城外で兵士たちが《王蟲》に対応してるようだが、昨日よりも数を増してる《王蟲》相手では焼け石に水なのは明白だ、事実上《王蟲》の大群VS《Δ》になってる。
「出撃が思いのほか速かったな、それで街の住民たちはどうなってる?」
『正方形マシン群は同時に街周辺を封鎖を行なったので、街の住民は避難が間に合わず街の中央部へ避難してるようです、所謂篭城です』
「そうか、思ったより状況は芳しくないな・・・あとその正方形はややっこしいからアレは彼女らの表記《王蟲》で統一しろ、ややっこしい」
『了解、辞書登録します』
あの《王蟲》の群れに封鎖された街の手助けのために、昨日の様に衛星からの砲撃するにもこの地下施設から街までは遠すぎる、なんとか《Δ》が善戦してるが、全方位いる敵相手にはやはり多勢に無勢。
「はぁ!待って!はぁ!アキラ!はぁ・・・!」
「もうすこしだ、頑張れピュティ!」
無論いまから俺たちが全力疾走して戻るには時間が掛かりすぎる、またあの長いマンホールみたいな梯子を上り街までたどり着いた頃には後の祭りである、そこでアリスが提案したとんでもプラン提案に沿って俺たちはある物の前まで長い通路を走ってた。
長い白い通路がやがて終着に差し掛かり俺とピュティは大きな空間に出た、さきほど俺とアリスが《Δ》に問答をされてたあの格納庫だ。
そしてそこの鎮座する一体の黒い《魔竜》これに乗り地上へいくというのが、アリスのとんでもプランだった。
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オハヨウゴザイマス
―メインシステム起動、パイロット認証を開始します―
・・・
・・
・
―エラー、《鍵》による安全認証が確認できません、セーフティーモード起動―
・・・
・・
・
システムが無機質な声で起動し、真っ暗に包まれた空間が青白い立体映像で座ってたコクピットを球体の円を囲む様倉庫の映像が表示する、円を囲む映像の外にいるピュティはこの不思議な光景に目を丸くしていた、空中に浮ぶ絵を掴もうとピュティは触るがもちろん映像は彼女の手を透過する、その光景にさらにカルチャーショックなのか口をパクパクして何か言いたいが何を言えばいいか判らない様子だった。
一方俺というと、アリスに促され乗り込んだこの機体のコクピット、起動するまで暗くてよく判らなかったが独特なフォルムな形をしコクピットの後ろにはまたもや《石版》が置かれ、認証起動のためコクピットの青いジェルで満たされた穴に両手をつ込ませて、ジェルで満たされた奥の操縦桿らしきものを握ってた、背中の脊髄頚椎に掛けて数個の機械の様なにかが体に張り付きいくつもの電線ワイヤーが後ろの設置された《石版》の設置基盤に接続されてた、認証を開始と同時に張り付いた機械の針が背中を刺し脊髄部分に鈍い痛みが走る、すぐさま鎮痛剤の様な物でも討たれたのか痛みはすぐ収る、 そしてコクピットを包む様な立体映像は俺の首や眼球にリンクしてぐりぐり映像が動く、アリスのシステムアシストによりいまやこの竜は俺と一体化してる感覚だった。
―ニューロンコネクト、確認―
・・・
・・
・
『幸いなことに、この機体は大戦後期時代製なため、鍵がなくともセーフティーモードで起動が出来ました』
「鍵がないて警告してたけど、大丈夫か?」
『はい、鍵の認証が行なえなかったので、パイロットの脳保護機能が作動し当機体の通常戦力がかなり制限されてるみたいですが、地上へ帰還するだけのため問題はありません』
「そうか」
『あと注意点としては、私がこのマシンのアシストするので、その間は衛星からの監視が行なえません』
「一度に一つのことしか操作できないてか、判った、それならしょうがない」
アリスの説明に納得はしたが、鍵がないため機体の機能が制限され、さらにマシン操作中は衛星が使えないと言われるとどことなく不安になってしまうが、現在街に高速で戻る方法はコレしかない。
「あ、あのアキラ・・・聞きたいことあるんだけど・・・」
「駄目だ、後にしろ」
「はぅ」
何がなんだかわからないピュティは、次々に湧き上がる疑問、そして今まさに自分が《魔竜》の中にいるという不思議体験、この疑問を一つでも解消したいとこだが、そんな彼女の疑問にアキラは即答で却下し子犬の様にしゅんとなってしまう。
―アムリタの注水開始します―
システム音声がそう告げるとコクピット内の底から青い水が注入され始め、凄い勢いで水位が上がりコクピット空間は胸元まで水が上がってきた。
「なっ?!」
「え、ええ?!」
水がどんどん注入されコクピット内で溺れそうな俺とピュティは突然のことに戸惑い足掻く、だが生憎コクピットに固定された手と背中を機械で接続された俺はそのまま水に囚われゴボゴボと口の中の息を吐き出し溺れてしまう、自由が利くピュティも水の上の空気を吸おうともがくがやがて空間全部が水に満たされ抵抗も虚しく溺れてしまう・・・はずだった。
いきなり溺死とは笑えない冗談だなと思い、意識が遠くなる・・・あれ?。
『マスター死んだフリしないでください、これは搭乗者保護用の有機ナノマシンジェルです、衝撃の99%を遮断し、搭乗者の身体バイタルも逐一チェックできるので、肺に満たしても息できるので大丈夫です』
「え?あ、あれ?」
「ふぇ?あれ?私溺れたはずじゃ・・・」
あのまま水の様なジェルに飲まれたは俺たちはどうやら溺れたと勘違いしたらしい、そゆう大事な情報を事前に教えて欲しいわけなんですがアリスさん・・・。
コクピットはアムリタという保護用のジェルで満たされ、五感は注水前となんら変わらないとこに驚きを隠せない、それはピュティも同じであった、そしてなにより何から何まで謎の連続ばかり直面してたピュティに一つの変化が現れた。
「あ、あ・・・あの」
「どうしたピュティ?」
「女の子が目の前に・・・」
「え?ピュティお前、見えるか?!」
先ほどからコクピットの横でちょこんと立ってるアリスにピュティは視線を向けてた、間違いなく見えてるのが判る。
「どもー」
ただの気まぐれか、それともエルフが主人へ抱く不信感の払拭のためのアシスト目的なのか、ナノマシンの水にアリスは姿を投影し、おかげでピュティは初めてアリスを認識できていた。
そしてピュティーに向けたアリスの第一声はまるで友達感覚の様ななんとも軽い物だった、そんなアリスを認識できたピュティは初めて会った妖精に武者震いをし目をさらに丸くさせていく。
「あ、あの、初めまして・・・あ、あの、わ私、ピュティ・・・ピュティ・ドリアドネて言います!精霊様ですよね、お目にかかれて光栄です!」
『精霊じゃないですけど、時間がないのでこのまま精霊て事を受諾します、はいよろしくピュティ、私は《Ω》のアリス、以後お見知りおきを』
「お、めが? あ、はい、よろしくお願いします!アリス様」
アリスに名を呼ばれたことが意外なのか、ピュティは目をぱちくりし、俺と目が合い、また視線をアリスに戻す。
「あ、あの聞きたいことが・・・」
『駄目です、後にしてください』
「はぅ・・・」
ピュティはまた子犬の様にしゅんとしまう
「挨拶は済んだか、じゃいくか」
『了解しました、急ぎましょう』
相槌を打つ様にアリスは返事をする。
『あ、そうです、ピュティ、マスターに掴まっといてください、ブースター加速で揺れます』
「え?は、はい!」
《魔竜》は加速するためブースターユニット青白く光り点火し機体は振動を増す、有機ナノマシンジェルは外部からの大きい衝撃をカットするが、細かいブースターの小さい振動はカットが出来ない、ピュティは言われたとおり俺の側でコクピットの隣の来て俺に掴まり備えてる。
『では・・・行きましょう』
格納庫の大きな扉が警告音を出し開閉していく、扉が開き俺たち3人を乗せた黒き《魔竜》はブースターの加速開始し、青い粒子の残像を尾を引く様に巨大な地下空間の滑走路を滑空し地上を目指す。




