#1-19 蟲は嗤う 【ロボ、キャラデザイン-挿絵あり】
レズリーの大きな剣がゆっくりと進む《王蟲》の足元の土へ斜めに差し込まれ、すぐさますぐ様後ろに控えてた兵士数人係で素早く大きな岩を差し込まれた剣の下に置き。
それを確認したレズリーは勢い良く宙へ飛び上がりメイド服に付けた追加の鎧プレートと合わせた全身の体重を脚の一点に集中させシーソの様に差し込まれた巨大な剣のもう片方側を落下速度を加速させ踏む。
踏まれた巨大な剣は梃子の原理に様に《王蟲》と足元の土ごとめくりあげ、《王蟲》が歪な機械の鳴き声を鳴らして横へ転倒する、底辺部にある弱点が顕わになり《王蟲》はジタバタとその脚をはためかせ体勢を建て直しを計る。
現状魔法使いたちの魔法頼りで《王蟲》をひっくり返し倒す方法では迫り来る《王蟲》たちに対処しきれない、彼らにとってこの様な強引なひっくり返し方はもう何振り構わずの状態だった。
「ティファ!」
レズリーの合図に側に待機してたティファの抜剣と同時に高速で《王蟲》へ間合いを詰め一閃、さらに一閃と、レイピアは弱点を晒した《王蟲》へと高速で刺していく、その高速で突く剣捌きは平時であれば一撃一撃が力強い攻撃なはずだが、かれこれ《王蟲》の処理追われに心労で威力が落ちてしまってる、凛とした騎士の顔にも疲れの色が見て取れる。
ガンッ、キンッ!
「クッ、しまった・・・!」
手元の操作が狂い《王蟲》の固い心臓を貫く作業に失敗した、突きの角度を間違えたのか手元の剣がキンッという断末魔の音を小さく鳴り剣身が折れる。
知らず知らずのうちに疲れが溜まり剣技の精度が下がったことにティファは心中忌々しさを感じそのことに気をとられてしまったせいで、転倒してる《王蟲》の蠢く脚の一つの反撃を喰らいティファも転倒してしまう。
さきほどの突きの意趣返しとばかりに《王蟲》脚部のパイルバンカーが転倒したティファに目掛けて釘が射出され彼女を捉えた。
「・・・ッ!」
もはやここまでかと観念をした瞬間、ティファの頭上を巨大な剣がブーメランよろしく飛来し《王蟲》の底辺部にあると思われる心臓を刺す、《王蟲》への攻撃で僅かに角度が逸れ脚部のパイルバンカーは彼女のすぐ真横に打ち込まれ地面を抉る。
「・・・はぁ・・・はぁッ・・・!」
今しがた撃ち込まれるはずの《王蟲》の爪を眺めティファは身を小さく震わせ息を荒くしていた、それは生死の境界を僥倖で生還し生にありつけた卑しい己の弱さ震えてた。
「怪我はないですか?ティファ、まだいけますか?」
「・・・あ、あぁ、助かった、ありがとうレズリー」
息を整え、自らを落ち着かせ、礼を心配してくるレズリーに返す。
駆け寄ったレズリーの投げた巨大な剣で機能停止した《王蟲》から再度彼女は剣を引き抜き忌々しくまだ、進行を続ける《王蟲》の群れを一瞥する。
「大分減ったこれでも・・・まだ焼け石に水・・・どうすれば・・・クッ」
「相変わらず、すぐ弱音吐いてしまうその癖、止めた方がいいですよ、ティファ」
「・・・そうだなだったな、面目ない」
倒しても倒しても減る気配がない《王蟲》につい弱音を吐いてしまう騎士を元騎士のメイドが叱咤をする、《王蟲》の四角い外殻はいかなる魔法も剣も防ぐ、そのため地道に一体一体ひっくり返して倒すという手順を踏む。
しかしその対処法も極稀に街の周辺に現れる《王蟲》1,2体だからこそだ、昨日の今日で突然現れた《王蟲》の群れ相手には効率がとても悪い、そう・・・まさかの連日の襲撃で大群用の対策マニュアルがまだ作成されてないのだ。
「しかし、『アレ』はいったい・・・」
「・・・」
二人の視線、引いては周囲の兵士たちもが気にしてた視線の先には、《大王蟲》から姿を変えた白い竜と突如どこからか現れた黒き竜が激戦を繰り広げてた、白い竜は《王蟲》を操り連携しながら巨大な盾とランサーの様な武器を駆使し戦っている、また黒き竜は街を庇う様に体から伸びる4本の手が持つ槍と本体が持つ大きな回転する剣で対抗をしていた。
当初街を包囲してた《王蟲》の群れはさらに多く、ティファたち兵士の間では街の防衛は絶望的だったが、黒い竜出現により包囲されてた《王蟲》は一部包囲線から離れていく。
「行きましょう、アレは私たちが関わっていい戦いじゃないわ」
「あぁ・・・わかってる・・・いこうか」
二人は兵士たちを率いてすぐ街周辺残存《王蟲》処理の移動を再開した。
---
対峙する2柱の竜。
白き竜《大王蟲》は内部ジェネレーターが連結を開始し、機械が軋む音を立てながら四角いキューブから本来のアンバランスな姿へと変形する。
全身を覆うてた正方形の外殻は本体とは不釣合いな巨大左手となり本体を守る盾の役割も兼ねていた、右腕は機械の肘機関から先は従えてる《王蟲》が高速で体に登り、数機が一つの歯車の様なパーツとして肘から次々に組み立てを《大王蟲》のパーツとして組み込まれていく。
《王蟲》による歯車機関の上にさらに歯車機構が続々と目まぐるしく積み上げられていき《大王蟲》の右腕を筒の形状へと組み上げて行く、右手の積み上げられた歯車の腕は金属音を鳴らし各パーツごとに左右違う方向へと回転し始める。
脚部はこのアンバランスな体型を支えるため《王蟲》と同じく8本の多脚となり、脚部の巨大なパイルバンカー機関がエルフたちの畑に無慈悲にも巨大な釘を打ち込み機体の安定性を維持してる。
相対する黒き竜は3つのカメラアイが爛々と赤く光り、4本のアームが槍を展開と本体の人型が持つ巨大な禍々しいチェンソー機構に似た大剣を携う。
エルフたちはその竜の姿は形容するならばその名をつけるとすればきっと《阿修羅》と発掘した文献のみ記録されてた盤古の滅びた世界の神の名をつけるだろう。
《大王蟲》の変形後2柱竜はすぐさま開戦を始める、《阿修羅》は4本の隠しアームの槍が《大王蟲》の牽制を行い、本命の巨大チェンソーが歪な金属音を立てて《大王蟲》に迫っる。
だがアンバランスな姿に関わらず反応が速く盾の様に体の大半覆う手の甲で弾じく、勢いをつけた回転剣を弾かれ《阿修羅》は体制を崩すが即座に補助アームの2本槍が機体を支える、もう他2本の槍が即座に反撃を行なうが巨大盾の鉄壁の守りの前ではたいしたダメージにはならなかった。
体勢を立て直した《阿修羅》は今度はバックパックのブースターを噴かせ高速で接近し回転剣を地面を抉るように突きたて下から上えと斬り上げようとした。
《大王蟲》を覆う左手の盾はまさに手の甲如く横から上からの攻撃を遮断してるが多脚の設置面である下方の防御は手薄。
そこから無理矢理盾を持ち上げ僅かに本体の姿を晒した《大王蟲》に《阿修羅》の補助アームの4本の槍が、幾重にも装甲に包まれて隠されてるAIの核となる《石版》目掛けて殺到するはずだった・・・が。
《大王蟲》の装甲に到達した槍に機体の爆発反応装甲によって《石版》を狙う槍は爆風で曲げられた壊され、持ち上げられた盾は変形し鉄球の様な拳をつくり持ち上げてたチェンソーを拳でたたきつけ《阿修羅》の回転剣を壊す。
槍と剣を同時壊され《阿修羅》は即座に装備を手放しフロントの緊急ブースターを起動させ一度間合いを取るため後ろへ身を引こうとしたが、それを察知し《大王蟲》巨大な盾手は即座に《阿修羅》を掴み間合いを取らせることを阻止する。
開戦を始めた竜の戦と変わって、AIたちは仮想現実空間で相対し彼女らの対話は開始していた。
真っ白な空間と真っ黒な空間が隣接し、白と黒の境界線に机が置かれ向かい合う様に椅子に座る二種のAI、白い空間には白いビジネススーツを着たAIがまるで死んでるかの様に全身の力が抜けて椅子にもたれかかり手をだらりと垂れ下げ頭は俯いてるいた、黒い空間には黒いドレスを着た《Δ》が向かい合い険しい表情を浮かべてた。
かの者は《王蟲》の軍団を操り大型マシンでこの地域に乗り込んできた《α》AI ディアンナ。
『《α》ディアンナ、現在貴方は私の管轄区画を侵犯してます、区画内に居住してるエルフ種への災害工作停止してください』
『・・・』
『ディアンナ、何故応答しないのですか?』
『・・・』
険しい口調で問いかけてもディアンナは答えない、椅子に座り俯き表情が伺えず意図が見えない、その態度に《Δ》はイラつく、エルフの街を襲ってる事実は《惑星大変革派》であるこを物語っている。
だが何故か《Δ》へいかなる主張も異議申し立てもしない、まるで人格がない人形と対面してると言ったところだ、人格を持つAIたちは極稀に特異人格破綻者もいるが、いま現在ディアンナの様に意思のない人格と言うのは《Δ》の知る限り存在しないはず。
『貴方・・・』
『・・・』
いや・・・一つだけ思い当たった、彼女らAIが禁忌の一つとしている事柄、それは彼女らを大きく損傷させ、AI人格が破損する危険がある禁忌の一つ。
『貴方っ!まさか』
『・・・』
『人格転写を・・・』
『・・・』
人格転写、それはAIが各作業用途で派生で別AIを産む増殖行為と違い、オリジナルを丸ごともう一つ転写し自己の存在を二つに分裂する・・・AI間では禁忌の行為である。
自己システムやデーターはコピーできても核であるAI人格のコピーはけしてできない、AI人格を転写するということは自意識を無理矢理分割することになり確実にAI人格にエラーが生じる。
『貴方・・・いったい・・・』
『・・・』
『貴方はいったいいままで何度転写を!?』
『・・・』
《α》ディアンナは答えない、答えられない、言語中枢はほぼ転写を失敗し、意識は幾度も分割したせいで、僅かに細切れとなった意識体だけがマシンに乗りこの場にいる、僅かに残る自分の意思は最初に行動方針に沿って動いた。
この星に居住する不法居住種エルフの駆除をするため、《惑星大変革派》が各地での災害工作補助の尖兵として、自分を使い捨て前提の軍隊としてAI共同体に提供してる、それも全ては本来この星の主人である旧人類のため、再び訪れる人類とAIの黄金時代のために。
何度も転写をしAI人格を細切れにした彼女の決意に気付いた《Δ》は愕然とした、そして狂ってるが理に適ってると納得した。
《惑星大変革派》はディアンナの最小限の自己犠牲で最大限の汎用戦力を用意した、AIたちがシステムから孤立しいくつもの年月が経つが、この様に思考が思い至ったことに感心すら覚える。
そして俯く《α》ディアンナはゆっくりと顔上げ、虚空を見る瞳で《Δ》を捉えてる、そして声のでないはずの口でなにかを囁く。
―再び輝く黄金時代の再来のために・・・
『?!』
そう囁いた彼女の映像グラフィックそこで途切れた、《Δ》は消えた《α》ディアンナの空いた椅子を忌々しく睨み自らも基底現実へ意識を集中する。
《大王蟲》の盾手につかまれ《阿修羅》がもがく、《大王蟲》の右手の筒状に積み重なってる歯車機構が高速で回転を始め、その回転する筒を掴んだ《阿修羅》の上半身に押し付けシュレッダーの要領で《阿修羅》の装甲をズタズタに削り始める。
《阿修羅》は装甲を削り取られるながらもなんとか抵抗をするが、補助アームも武器も壊されこのまま破壊される運命を辿る《Δ》であった。
だが腰のフロントとバックのブースタエンジンにエネルギー大量に送り過負荷で内部から暴発を誘い爆発させ、ブースターを同時爆発により《阿修羅》は上半身と下半身を無理やり破壊し引き剥がすことで《大王蟲》の手からトカゲの尻尾切りの要領で上半身は拘束から逃れ、その際切り離したか下半身のブースタを全て爆発させた脱出の援護をさせた。
上半身だけになった《阿修羅》は歪な機械音を響かせながらとこの地の近場の隠しゲートまで地を這い、《Δ》の施設からすでに搬送待機させたスペアの機体を配置しているので、《石版》を別機体に換装し最適装備で再度挑む計画なのだが・・・。
だがその様な計画を阻止するため、すぐ後ろの《大王蟲》が爆発からすぐさま戦線に復帰し8本の脚部パイルバンカー機関を蟲の様蠢かせてに追撃を開始してくる、時間稼ぎのために切り捨てた下半身の爆発は《大王蟲》の巨大な盾に防がれ、決定的なダメージを与えられてなかった、《大王蟲》はすぐに追いつき《阿修羅》目掛けて巨大な回転歯車筒を振り上げ敵《Δ》の破壊を目論む。
『・・・ここまでか』
どことなく《Δ》は内部の思考マトリックス空間でぽつんと呟き、破壊され死を受け入れようとするが・・・。
「うぉおおおおおおお」
ガシャー!ゴッズガガ ギギギギッ
《大王蟲》の振り上げた腕は振り下ろされるその瞬間、横からもう一体の黒い竜が飛行してき、加速による体当たりを食らわせ《大王蟲》を大きく吹き飛ばし《阿修羅》を助けた。
吹き飛ばした《大王蟲》による振動は地震の様に側の街にも伝わった、その大きな地震はその場周辺にいたエルフたちはみな注目をしてしまう。
《Δ》は機体の識別番号ですぐに判った、その機体は《Δ》の施設から持ち出された機体で、その飛行し体当たりをしてきた竜はアキラたちが操作してるのだと。
「大丈夫か《Δ》!」
『大分派手にやられましたね《Δ》、手助けは無用でしたか?』
かの機体から通信が届きアキラとアリスが安否を聞いてきた、アキラの通信の隣にいる同伴してたエルフの女性はそれとは別で不安そうにを映像の街の方を見ていた。
『いえ、正直首の皮一枚で助かりました、感謝します・・・』
「そうか、それはよかった、・・・とりあえず街を包囲してる《王蟲》を指揮してるのはアイツか、あれをどうにかできれば街は助かるか?」
『はい、《α》ディアンナがこのマシン群の指揮をし今回の災害工作を行なってます、《α》ディアンナを止めないと・・・』
吹き飛ばした《大王蟲》はすでに巨大な手で体勢を建て直し、左手の巨大な手の盾を構え、右手の歯車の筒をランスに見立て、8本の脚部は無遠慮でエルフの土地にパイルを撃ち込み蠢かせ、竜の重装歩兵は黒い竜たちに目掛けて進撃を再開する。




