#1-13 EXE
「---!----,---,-------,--------,--」
シュッ スパッ
「しかし、なんというか器用に魔法を使うもんだな」
「アキラ!ちょっとだけ待ってください~あそこのデカイ石も気になります」
俺とピュティは森の探索中、ときおり彼女は落ちてた大きな石を見つけ、謎の小さな虫眼鏡でその石をじっと鑑定しては、折りたたみの指揮棒のような小型杖で詠唱し、魔法で石の一部をカッティングをしては、持ち込んできた麻袋に入れてた。
ピュティ的に普段来れないとこなのか、嬉々として石の鑑定に勤しむ姿を俺は遠くで眺めてた。
『あのアンドロイドたちが言う魔法とは、大気に散布された環境|ナノマシン(演算粒子)に執行コマンドを打ち込んで、そこから得られる運動エネルギーや現象を魔法と彼らは呼称してます』
「まぁ、高度に発展した科学は魔法と見分けがつかないて、どこかのSF小説家が言ってたが、昨日の《王蟲》の騒ぎで意識しなかったが、改め近くで見るとなかなか魔法て興味深いな」
『ちなみ、魔法を彼らに伝授したのは私たちAIらしいです』
「へぇ~・・・え?どゆこと?」
世間話みたいにさり気なく重大なカミングアウトしてくるアリス、その魔法を崇拝してる魔法使いがすぐそこに居るわけなんだが。
『創造種たる人類が我々AIと彼らアンドロイド種を残しこの星を去り、残された我々は基本アンドロイドの世界になるべく干渉せずこの星の環境管理してましたが、いくつもの年月をかけて衰退し続けるアンドロイドたちを見かねた我々24門が一門《Λ》のAI一門が彼らにナノマシンに干渉する技術を伝えたのが魔法の起源らしいです』
「ふーん・・・まるで神の火を人間に伝えた神話みたいだな、」
アリスの魔法起源の薀蓄に関心しつつ、どかかAIとエルフの関係は神と人間の関係に近いのかと思ってしまった。
「火を伝える神の話、古代ギリシアのプロメテウスの逸伝ですか、なるほど言えて妙です、実際その通りに《Λ》AIによるナノマシン干渉演算術式はアンドロイド種の生活を豊かにし生活を劇的に改善しましたが、のちにその技術はアンドロイド同士の争いの道具にもなりましたけどね、まったく愚かしい」
「人間に似せて作ったのがエルフなんだ、特性が似てしまったんだな」
『ま、当の《Λ》AI一門は、技術漏洩について他23門にそのことを問題視され、制裁決議で21賛成1反対1棄権により《中央》による《Λ》一門サブAI含めて独立処置のち、地上にてその魔法たる技術を全て回収するまでは《Λ》の24門から破門とのこと、そう公式記録にはあります』
「なんだそれ?」
『マスターに判りやすく言うのなら、ネットに拡散された画像を全て削除するまで刑が終わりまテン』
「無理じゃん」
そゆう世界の魔法裏設定をこの《Ω》AIのアリスがさり気なくこの場で喋っているが、そゆうのはもっと旅の後半になってから知りたかった。
『もっとも、後々私たち23門のAIもまさか《中央》によって全て通信暗号スタンド化されて、もはやそれどころの話じゃないんですがね』
お手上げのポーズをとりながらアリスは溜息を付く仕草を見せるよう振舞った。
「前から思ってたんだがお前たち、そのAIて全部自閉モード状態で通信障害が起きてるんだろ?」
『はい』
「《中央》がどうしてお前らをそうしたのかは知らないけど、ようはお前らAIと口利きたくないからそうしたのかもしれないのに、それで情報引き出せるAIてほんとにいるのか?」
『安心してください、策はあります』
アリスは俺を見上げてコクコクと頷いた、その仕草が若干胡散臭いだが・・・。
『厳密にはマスターには、私たち24門以外にある例外AIの端末をさがして貰います』
「25個目のAIてことか?」
俺の問いにアリスは指で舌を舐めては、頭をグリグリ捏ねてはポクポク考え始めた。
て、一休さんかい!
『マスターに説明するのが難しいので、判りやすくかいつまんで説明しますと、その探すべき端末AIは私たち24門と同じ人格AIですが、いかなるコマンドの執行干渉を受けず《中央》と同等のセキュリティーレベルを持つAIです』
「ほう」
『特例AIはサブAIの派生することもなく、何を管轄してるのかも私たち24門はわかりません』
「えらく雑なAIがいるもんだな」
『そもそも創造種の人類が完璧であるはずのAI管理システムに不安定要素を設置したのが不明ですが、ただいかなるコマンド干渉も受けない、また同等のセキュリティーレベルのため《中央》に接続ができるという可能性がとても高いです』
「ふむ」
『そのシステム上にだけ存在する謎の特例AIを、私たち24門は暫定的に
《EXE》
と呼称してました、個の識別には大事ですからね』
そして一休さんモードが飽きたのか、今度は身近な大岩に座りぶらぶらと足遊ばせながら、すこし離れたとこで岩を鑑定したり切ったりしてるピュティを眺めてた。
『マスターにはその例外AIを通して《中央》に接続し、舞様の現在地を探して貰います、私はそれをサポートします』
「その《EXE》とやらがこの森にあることを祈ろう・・・」
いつそれが見つかるか判らないが、この異世界?に放り出された妹を探す旅を始めた俺の唯一の手がかりだった。
『マスターは、有神論者なのですか?』
《いや、ただの喩えだ、本気にするな」
とそこでピュティが石の選定が終わったのか、こっちに手を振って歩いてきた。
「アキラ、ごめんなさい、待たせちゃったわね」
と袋いっぱいに石を詰めてたのか、その袋を重そうだった。
「えらく詰め込んだな」
「えへへ、なかなか魔素純度が高い魔鉱石が多かったから、これでも相当選別したんだよ」
「そ、そうか・・・」
「ふふ、これで私の魔法研究が捗ります!」
と満足そうな笑顔をみせてくるピュティだった。
「ほれ、重いだろ貸してみ、金貨分の労働はしてやるぞ」
「あっ・・・ありがとうございます!アキラは優しいのですね!」
女の子に重そうな荷物を持たせたままなのは何故か気が引けそうだったから、ピュティの麻袋を持つことにが、石を結構入れてるせいかこれはなかなかこれは重い・・・。
「さぁ、ここら辺一帯はもういいだろ、いくぞピュティ」
「は、はい!」
『マスター、今度はこっち側を探索してみましょう、ナノマシン濃度が微弱ですがすこし濃い目になってます』
俺とピュティはアリスに誘われるがままさらに森の深くへ進んでいく。
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