第28話 副業×廃旅館(15)
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―――朝露旅館―――
「来ちゃった…。」
係長は朝露旅館を見上げながら、目を潤ませた。
「今回はこの裏の森の方だ。」
和馬は係長の背中をトントンと慰めるように叩くと旅館裏の森へ歩いて行った。
そこに林巡査部長と薮下巡査が後に続く。
「結局、支所からの応援はありませんでしたね。」
薮下巡査は1時間程前の出来事を思い出す。
戸田裕也を捜索するため、応援を要請したものの、朝露旅館近くの森での捜索に協力してくれる者はいなかった。
「地元の人間が怖がるのも無理はない。俺も昨日のあれを見てから呪いやら神隠しやらを信じるようになった。先輩の怖がるのを見ても、もう素直に笑えなくなった。」
「林君、笑っていたんだね。」
「それにしても少し拍子抜けしました。もっとおどろおどろしい雰囲気が漂っているのかと思っていたので。」
薮下巡査は辺りを見渡す。
秋晴れの空に赤や黄色の紅葉が美しく映え、一同は思わず景色に見とれてしまう。
遠くではモズの高鳴きが聞こえ、爽やかな風に揺れる葉の音が押し寄せる波のように聞こえる。
美しい景色と鳥のさえずりを聞きながら4人は森の奥へ進んでいった。
しばらく歩いているとクロモジの群生地に差し掛かった。
「クロモジの群生地か。ここから更に北に行った先が禁足地だ。気を引き締めていこうぜ。」
和馬が声をかけると、3人は表情を硬くした。
北に進むにつれて、段々と辺りは薄暗くなり、先程まで聞こえていた鳥のさえずりが聞こえなくなっていった。
「どうやら禁足地って所に近づいているようだな。」
林巡査部長は辺りを警戒するように見渡す。
「おそらく、ここから先が禁足地だ。」
和馬は歩みを止めた。
和馬が視線を送る先に、まるで枯葉剤でも撒かれたかのように草や花、木までもが茶色く朽ち果た異様な光景が広がっていた。
「そこから先に入るな。」
後ろから話しかけられ、和馬は振り向く。
そこには、神宮斎が立っていた。
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