第27話 副業×廃旅館(14)
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前回の続きです。
社務所の中の応接室。
「じゃあ、作戦会議を開催します。」
和馬を中心に係長、林巡査部長、薮下巡査、神宮正玄、神宮尊、奈美が1つのテーブルを囲って座っている。
「あたし、いる?」
奈美が集まった面々の顔を見ながら呟いた。
「一応、この神社の巫女だからな。」
正玄は大きな地図をテーブルに広げ、赤い油性ペンで朝露旅館近くの森を丸く囲った。
「昔、源泉が出ていた場所はこのあたりだ。」
「俺とパパさん、林巡査部長、薮下巡査は戸田裕也の捜索を担当する。」
「うちは湯守の大神の祠を見つけ、本来の神に戻っていただくための神楽を捧げる。」
「父さんが神楽を舞うの?」
「親父が何度か練習しているのを見て、なんとなく覚えている。ただ、湯守の大神に捧げる神楽は神主と巫女が二人で舞うのが正式なものだ。」
「うちの巫女ってなると…」
正玄と尊は奈美を見つめた。
「あたし踊りとか無理―。」
奈美は頬杖をついて、スマホをいじりながら話す。
「親父さんは誰と神楽を舞っていたんだ?」
「確か、しずって言う、気の強い巫女だったな。」
「その人って今どこに?」
「いや、村に住んでたとは思うけど、親父よりも年上の巫女さんだったからな。もうとっくに亡くなっているじゃないか?」
「そうか…。」
「待って。しず…しず…どっかで聞いたことあるような…ないような…。」
奈美は目を閉じて、考え込む。
「あ!もしかして天野しず?」
「そうだ!天野しずって名前だ!…奈美、なんで知ってるんだ?」
「どっかで聞いたことある名前だと思ったら、高校一緒だった奴の曾ばあちゃんだ。まだ生きてるよ。いつも縁側の椅子で寝てる。」
「朝露旅館近くの集落に住んでいる天野さんか?」
係長は和馬に尋ねた。
「確か、孫の隼人さんがクロモジの精油を作ってて、それを嗅ぐと昔の記憶が蘇ってしゃきっとするっていうばあちゃんか。」
「クロモジは湯守の大神が好んだとされていて、この神社の御神木にもなっている。だから神事や神楽を舞う時に使われるのもクロモジだ。親父も神楽を舞った後にはクロモジの香りを纏っていた。しずさんの記憶にクロモジの香りが強く残っているのも頷ける。」
正玄は厳かに悠々と神楽を舞う父親を思い出す。
「でも、あのばあちゃんが踊れるとは思えないけど。一生昼寝してるし。」
「試してみる価値はあるが、しずさん自身が断るかもしれん。」
「じゃ、天野に連絡しとくー。」
「天野のばあちゃんのことは、正玄さんと尊さんに任せるよ。俺たちは先に祠と戸田裕也を捜索する。」
「わかった。これを持っていけ。」
正玄は和馬達に御札を渡した。
「禁足地へ入る者の穢れを祓い、神域で道を違えぬよう祈りを込めてある…気をつけろよ。俺たちもすぐに合流する。」
「超怖い…。」
係長は泣きそうな顔で呟く。
「先輩、泣いてます?」
「泣いてねぇよっ!」
「林さん…俺は泣きそうです。」
薮下巡査は係長と林巡査部長のやりとりを見つめながら、目を潤ませている。
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